第47話 修行

翌日




「アルフレッド様、行ってらっしゃいませ。」




「ああ。行ってくる。」




今日は5人で剣闘祭に向けた修行を行う。


何をするか具体的な内容は聞いていない。




『クレアが修行なんて大層なネーミングをしたけど…実際はどうなんだ?遊びにならなかったらいいが…』




そんなことを考えていると、教室に着いた。


集合時間の5分前だが、既に4人とも集まって話していた。




「おいアルフレッド〜!!」




「どうした?」




「オレと模擬戦しよーぜ!!」




「えぇ…」




「私もしたいです。」




「アイリスも⁉︎」




「あたしもー!!」




「ボ、ボクも…」




「って全員かよ…理由は?」




模擬戦は対人戦の練習にはなるが、俺はスキルや”闘気操術”の自主練をしたいのだ。




「だって~昨日アルフレッド来なかったじゃん!!あたしたちはずっと練習してたのに…」




「そうだよ!!オレも今日のためにいっぱい練習したんだ!!」




「んー…じゃあ午前はそれぞれで自主練をして、午後に1回づつ模擬戦をしないか?」




俺も対人戦の感覚は忘れたくないし、都合がいい。


これなら十分修行になるだろう。




「そうですね。私はそれに賛成です。」




「ボ、ボクも…!」




「じゃあそれで決定!!昼食はみんなで食べたいから、12:00にここ集合ね~!!」




「ああ。」




「分かりました。」




『そういえば昼食を持ってきていないが…適当に”アイテムボックス”にある食べ物を食べればいいか。』




5人はそれぞれ好きな場所に移動し、修行を始めた。


俺は入学試験で使った、室外の模擬戦場へ向かった。




「おっ、やっぱりアルフレッドもここか!!」




「クレア…まあ本番は外の会場だからな。日差しと気温に慣れておかないと。」




「それもそうだな!!じゃあオレは向こう側でやってくる。」




「じゃあ俺はこっちで。また後で。」




「おうよ!!」




さて…”闘気操術”の練習をするつもりだったが、クレアにこれの存在がばれると厄介だ。


ここは片手剣や両手剣スキルの練習をしよう。




それから俺は宙へ向かい、ソードスキルを行使し続けた。


スキルチェインで連続して行使することにより、無だな時間を省くことに成功した。




「ふぅ…スキルチェインは結構集中力がいるからな。かなり疲れた…」




校舎にある時計は11:30を指している。


集合まであと30分あるが…ここは早めに集まっておこう。




「アルフレッド様、練習お疲れ様です。」




「…っ!!ソフィア…?どうしてここに?」




「皆さんの昼食の差し入れに参りました。学校の方から特別収入をいただいているので。」




「そうか。その…メイド服で暑くないのか?」




「はい。教室にある冷房の魔道具と同じ効果が、このメイド服に付与されていますので。」




「なるほど…」




「ソフィアさん、こんにちは。」




「こんにちはアイリスさん。今日も暑いですね。」




「そうですね。ソフィアさんの服が羨ましいです。」




いつの間に仲良くなったのだろうか…?


ソフィアがいつも俺の部屋で仕事していて、申し訳なく思っていてので良かった。




「では…着てみますか?」




「えぇ⁉そ、それは遠慮しておきます…私みたいな堅物にふわふわした服は似合いませんから…」




「そんなことありませんよ。予備もあるので、着たくなったらいつでも言ってください。」




「わ、分かりました…」




アイリスは金髪のセミロングに水色の瞳、整った顔に綺麗なスタイル…まるでアニメのヒロインのような容姿だ。


アイリスのメイド姿…気にならないわけがない。




「帰ったぞ!!」




「ただいま~!!」




「た、ただいまなのです。」




「おかえりなさいませ。クレアさん、スーさん、イザベルさん。」




3人も○○さんって呼ばれてるだと…⁉


俺はいつまで経ってもアルフレッド様呼びなのに…




「しっかしアルフレッドも羨ましいよな~こんな可愛い子に毎日お世話してもらってるなんて。」




「可愛いなんてそんな…皆さんの方が綺麗ですよ。」




「あ、ありがとうなのです…!」




女子特有の会話…


俺にはついていけそうもない…




「全員揃ったことだし、昼食を配りますね。」




「あっ、それ”アイテムボックス”の魔道具か?」




「ええ。学校長から仕事の際に使うようにと貸して頂いたんです。」




「そうだったのか…ん?なぁアルフレッド、学校長ってどんな人だったっけ?」




「そういえば…どんな人だったっけ?」




「2人ともいけませんね。学校長は眼鏡をかけていて少し太った中年男性で、特徴が無い人ですよ!」




「あぁ、あいつか!!」




「あたしも全然思い出せなかったよ…」




『アイリス…説明は分かりやすいが学校長が可哀想だよ…』




それから楽しく昼食を終え、模擬戦を行った。


俺の全勝だったが、なかなか厳しい戦いだった。




クレアとイザベルは入学当初と見違えるほどフェイントや駆け引きが上手くなっていた。


スーとイザベルは初めて刃を交えた。


スーは”飛行”しながら槍で攻撃してくるのが厄介で、イザベルは”神の御加護”で傷を回復しながら戦うのが厄介だった。




俺は4人それぞれにアドバイスをし、ソフィアと共に寮へ帰った。




「やっぱりアルフレッドは強いな~!!」




「そうですね。まるで勝てる気がしません…」




「それに、手加減してると思うよ~」




「ボ、ボクもそう思います…」




「いつかアルフレッドに追いつきたいな…」




「そうですね…私たち4人の目標ですから。」

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