第104話 親にとっての子とは


お正月に帰省した時、お年玉で現金を父に渡すのはなんか違うと思った。

だから近所ではあるがコンビニでお酒とおつまみをいくつか厳選して、私の分のノンアル缶で乾杯しようと言うと喜んでくれたと思う。

親は成人した子供と1杯やるのが人生の喜びだって聞いたことあるし、何となくその感覚はわかるから。


ビール缶を開けた父と、ノンアル梅酒を開けた私で乾杯した。

おつまみも気に入って貰えたようで、ちょっとリッチなチーズかまぼこを嬉しそうに食べていた。

多分この感じで行くと、他のも好きな味だろうから明日残ってるか、残ってないかくらいかな?


子からの施しに、とても喜んでくれる。

その反応は私の思ってるより大きい事が殆どで、

やっぱり自分のことを思って施してくれるのは嬉しいものなんだなって再確認した。



母親なんて様子見に来る時でさえ、何か料理を持ってきてくれる。

私が作った料理も食べてってよーって出すと

あんたもこんなの作れたんだねぇって感心してくれる。クッキーなんかを作ってあげた時は、妹がそれをいたく気に入って暴食していた。

どんなくだらないものでも、お金かかってなくても(喜ぶものを吟味して選んだり作ったりの手間はきちんとかけている) 私からって言うのが嬉しいと思ってくれる。


今の形が私の家族の理想の形だった。

今手に入ったこと、それも奇跡で。

ずっと続く訳では無い。親は子より先に往く。

願わばこの暖かい関係が、できるだけ長く続きますように。

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