宇宙のくじら
桜原コウタ
序幕/絵本「宇宙のくじら」
どこかとおい、さまざまな人がくらしている星に、ひとりぼっちの少年がいました。
少年は友だちをほしがりましたが、なかなかうまく人と話すことができず、
友だちができません。
「この星で友だちができないのであれば、ほかの星に友だちを作りに行こう」
少年はそう思いつき、自分で宇宙船を作り、ほかの星へ友だちを作りに旅にでました。
宇宙へとでたものも、宇宙はくらく、光もなにもない場所でした。
暗く何もない宇宙だからか、少年はさびしくなりましたが、それでも友だちが欲しく、他の星をさがし続けました。
しばらく他の星をさがして旅をつづけましたが、なかなか見つかりません。
少年のさびしいという気持ちが強くなっていき、
あきらめかけた時、宇宙船をまばゆい光が包みこみました。
少年は宇宙船のまどから光の中を、目をこらして見てみると、
そこには大きなくじらがゆうゆうと泳いでいました。
「何をさがしてここにいるのかい?」
くじらは大きく、しかしやさしい声で少年に聞きました。
少年は友だちを作りに他の星へ旅をしていることをくじらに伝えたら、
くじらは微笑みながらこう言いました。
「それでは私があなたの友だちになろう」
少年はおどろきつつも、友だちができたことに大喜びました。
それから、少年は友だちとなったくじらの案内で、さまざまな星へ行きました。
水にあふれた星、たくさんの植物が生い茂る星、炎がはげしく燃え上がる星。
その星々すべてで、少年はさまざまな友だちを作ることができました。
水の星ではきれいな双子の人魚のお姫様、植物の星では陽気に踊る花たち、
炎の星では元気いっぱいな炎の精。
さまざまな星の友だち、そして大きなくじらがいて、ちっともさびしくはありません。
少年はもうひとりぼっちではなくなりました。
少年は初めての友だちであるくじらに聞きました。
「これからも、どんな時でも、僕の友だちでいてくれるかい?」
「もちろんだとも。これからも、どんな時でも一緒にいるよ。」
少年とくじらはお互いを見て、やさしく微笑み合いました。
そして、少年はくじらと共に、たくさんの友だちに囲まれて、幸せに暮らしました。
作 カール・H・ユングヴィ
絵 マーガレット・L・ユングヴィ
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