第9話 人材派遣会社での事務職

 ここまでくるともう自分は普通のバイト……いやそれどころかどんなバイトにすら永遠に受かる日は来ないのではないのだろうかと割と本気で思えてきていた。だったらというかどうせ落ちるならタダでは落ちたくない! 職種とかどうでも良いからもう落ちる前提で落ちても何か得られるバイトはないのだろうかと考えるようになっていた。そんなときにタウンワークを読んでいるとちょうどそれがあった!

 自宅から歩いて10分ほどの距離のビルにあるオフィス……どこにでもあるような事務作業の募集。しかしほかと違うのはそこが交通費代わりに面接者全員にクオカード1000円分を支給するというものだ。これなら落ちても1000円もらえる、そう考えると得しかないないじゃないか! さっそくウェブ応募するとすぐに面接の電話がかかってきた。基本ワードやエクセルを使って作業する事務職らしいので男は面接の前にお断りとか食らいそうな気もしていたもののその心配はすぐ消えた。面接の日は本当は歩いて10分ほどで交通費なんて本来は全く必要がないのだけれどそれを正直に伝えるとクオカードがもらえなくなるかもしれないため近くのバス停を通るようにわざとちょっとだけ回り道をして行った。面接では一応ある程度のPCスキルがあるとかhtmlエディタを使って簡単なホームページを作ったことがあるとか伝えるとわりと感心された。パソコンをあまり使ったことがなさそうな年配の男性面接官だったためか全然大したことでなくてもわりとすごいことをやったように思われたらしい。しかし当然不採用、まあそれは知っていたが履歴書を郵送してこない会社のためわざわざ後日再度オフィスにお邪魔して返してもらいに行く羽目になった。

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