ep.12

 

 チャイムがなり最後の授業が終わる。桃華に買い物頼まれているので俺はこれから買い物に行かなければならないが時計を見ると、まだ3時過ぎ。

 まだ、時間も早いしどこかで時間を潰すかと思い、何処に行くか歩きながら考える。ゲーセンは一人で行ってもな... なんて思っていると、校門付近で橘さんに声をかけられた。


「瀬見矢くん、これから暇?」


「暇だけど… 」


「なら、駅の近くにあるカフェ行こうよ!最近できた所の!」


 友達との予定は無いのか、と思ったのだがどうやら友達が急に都合ができて暇になっていたところで俺を見つけたらしい。

 まぁ、別にいいけど、と俺が答えるとじゃあ、決定だね!と急遽、橘さんと二人でカフェに行くことになってしまった。



 ────────────────────



 店内に入ると静かで落ち着いた雰囲気が俺たちを迎える。前に村田と訪れていた時はお客さんがいたが、今はいないようで例のオーナーらしき女性のみがカウンターで静かに本を読んでいる。


 窓際の席に座り、橘さんがカプチーノ、俺がカフェラテを頼む。


「外から見ると、あんまり分かんないけど内装おしゃれだね。このお店の雰囲気も

 素敵だし」


「あぁ、確かに。俺もこの店の落ち着いた感じが好きだな」


「あら、ありがとうございます」


 隣を向くと、俺たちの注文したものを持って店員の女性の方が立っている。ちょうど俺たちがこの店を褒めていた時に運んできたらしい。


「こういうお店は初めて来たんですけど、とっても良いですね!」


 橘さんがそういうと、内装とか結構こだわったので喜んでいただいて嬉しいです、と嬉しそうに微笑んでいる。


「あの、この店店員さんが経営してるんですか?」


 気になったので聞いてみる。ぱっと見、店員さんは俺らより少し年上くらいにしか見えない。


「はい、そうですよ。去年に祖父からここを貰ったので、少しリフォームしてカフェにしたんです。だけど、私の見た目だとあまりカフェを運営しているようには見られないんですよね」


 と、少し困った様に笑いながら言う。すると橘さんが遠慮なく、店員さんに聞く。


「店員さんは、何歳なんですか?」


 男の俺が女の人に年齢を聞くのは失礼にあたる様なので、橘さんが気になっていた事を遠慮なく聞いてくれるのは助かる。


「私はそこまで皆さんと変わりませんよ?今は19歳で今年20歳になります。」


「えっ、私たちと二歳しか変わらないじゃないですか!そんな年齢でカフェを経営してるなんてすごいです」


 彼女が19歳と言うことに驚いた。ということは、18歳でここをリフォームしたのか。


「いえいえ、そんなことはないですよ。偶々、お金があって始めただけですから」


 と少し顔を赤らめて照れながら言う。そして、少し話過ぎましたね。と言うと、それではごゆっくりとカウンターに戻っていく。


 少し冷めたカフェラテを飲む。相変わらず冷めていても美味しい。橘さんもこの店のカプチーノの味には大満足のようで美味しそうに飲んでいる。


「さっきの店員さんすごかったね。すっごく綺麗だったし、私たちとあんまり変わんない歳でカフェの経営してるし」


「めっちゃ優しそうな人だったしな」


 二人で少しのんびりとしてから、カフェを出た。帰り際に、是非またきてくださいね。と言われる。

 

 橘さんとまた来たいね~なんて話しをして、これから買い物に行かなければいけないので途中で別れた。







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