【完結】今,婚約破棄するのは悪手かと。恥をかかせたい御様子ですが、恥をかくのはあなたですよ?
西東友一
第1話
青空の下。
私の婚約者であるローカス王子の思い付きで、急遽パーティーが行われることになりました。
ローカス王子が企画した割には細かいところまで気を遣っていらっしゃり、様々な色の旗が吊るされてたり、テーブルのいたるところに彩りをよくするためにお花が飾られたりしております。目で楽しめるだけではございません。楽器隊を呼んでおり、心が落ち着くような音楽を流していますし、お料理もお飲み物も大変美味しいです。
(私へのサプライズパーティー・・・なわけはありませんよね)
彼が頑張れるのは自分ためか、目先の利益。
コーディネイト能力が上がるためだと思えば、今回は余計なことは言いませんが、散財をし過ぎれば、いくら王子といえど、貴族も民も怒ってしまいます。
『結婚してくれ』
『みんなを幸せにするためならいいですわ」
『おっ、おう・・・っ』
どや顔でプロポーズしてきて、私がお応えしたら、ハトが豆鉄砲を喰らったような顔をされたローカス王子。失礼でかわいげ気ないかとも思いましたけれど、結婚しましたら内助の功に努めようと思っていましたので、最初だけワガママを言わせていただきました。
「みんな、大事な話があるっ!!」
パーティーも中頃に主催者であるローカス王子が大きな声を出して、みんなの視線を集めます。
(あのお顔は・・・)
あの方は頭を使うのが不得意なお方。その・・・深く考えるのが苦手、つまりは、浅はかなのですが、自分は頭脳派だと思っているので、偽りの答えを導き出した自分に酔っているのでしょう。
(私ったら、はしたない。仮にも結婚する相手・・・今日もこんな風に企画できるように一歩成長したのだから、ローカス様を信じてみましょう)
「みんな、俺はこの悪女、アンと婚約を破棄することを決めたぞ」
あらあら、仮の話は無くなってしまったようです。私を指さすローカス王子。
うーん、不愉快。
「理由はなぁ、才色兼備に見せかけて、あの女は裏では陰湿な女だったのだ」
「陰湿ですか・・・」
(ローカス様のダメなところをはっきりとダメと言って差し上げた方が良かったのかしら?)
でも、私は夫(仮)の恥は妻(仮)の思っていましたので、そのことを陰口で誰かに言うこともしておりません。
「なんだ、その顔は。無垢な顔をしても、無駄だぞ。お前が魔性の女であることも確かな筋から情報を手にしている」
「確かな筋・・・?」
私が頭にはてなを浮かべていますと、ローカス王子は不敵な笑みを浮かべながら、
「このいたいけな少女、リリスから貴様の悪事はいっさいがっさい聞かせてもらった!!」
と言い、背中から小さな少女が出てきました。
猫っ毛な緑髪、ピンク色の瞳、白い肌で確かにいたいけな少女でした。
「ほら、見ろ。この蚊も殺さずに、草を踏むのもためらうような乙女の姿を。見た目は心をを現すとはよく言ったものだ」
「あっ」
私は思わず声を出してしまいました。
だって、そのリリス・・・
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