未来
おちば
第1話
『また来年も一緒にいようね』
やたら元気に明るく振る舞って、お決まりのようなセリフを吐く。
息をするように、優しい嘘をつく。
本当はもう無理だった。私たちは私たちのままではなかったなんて、もう随分前からわかっていた。
あなたのとなりはわたしではなく、
わたしのとなりはあなたではないのだ。
元気でうるさいキャラクターだと思われているのを知っていた。仕切るのも目立つのもまとめるのも、本当はやりたくなかった。そんなことさえ言えなかった。
わたしは楽になりたかった。
自分達でやっていこうとする、みんなが好きだった。
誰かのことを、自分のことのように労るみんなが好きだった。
もう、終わりだね。
いつだったか書いたことばはもうすぐそこまできていて。
髪を短く切ったわたしに夏の終わりの匂いを残して。
きっと、もう二度と来年なんてない。
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