アフター・ライフ・クロニクル〜歴史を紡ぐ神の魔法。伝説に挑む少年達の物語〜

佐原さばく

少年達の覚悟

第1話 異世界転移

「おい、イネ。また徹夜か?何度注意したら済むんだ。」


教室の風景が目に飛び込んでくる。


(今、授業中か。早く終わんねぇかな)


クスクスと笑い声が聞こえる。


「イネくん、また世界史?ホントに偉人が好きなんだね。」


そして、小さい声で続けた。


「昔の人ばっかじゃなくて、私の事もみてよ」


「何か言ったか?」


「別に!もう知らない!」


もちろん、イネには聞こえなかった。


(次の授業は、数学か、寝よ)


まさか、この睡眠が人生を狂わせてしまうことになるとは、イネは思ってもいなかった。


『イネ、起きて。』


『僕はもう、起きませんよ先生。』


『先生では、ありませんよ。』


その妖艶な声にイネは疑問をもち、目を開く。すると、真っ白な空間がズンと広がっていた。


『どこだよここ』


『ここは、死後の世界です。ですが、安心してください。あなたは死んではいません。あなたを呼んだのには理由があります。偉人の住む世界を救ってください。それまで、あなたは、戻れません。』


あっさりと言われたので、イネは信じなかった。


『いやいや、待てよ!なんで、俺なんだよ!これ夢だろ。早く覚めねぇかな』


『これは、夢ではありません。貴方には、ある魔法を授けておきます。どうか、偉人達を救ってあげて、、でないと、歴史から消えてしまうの・・・』


『どういうこ・・・』


その瞬間イネを白い光が包む。そして、目が覚めた時には、教室の風景だった。という事はなく、草原が広がっていた。


「大丈夫か、少年よ!」


手を差し伸べられ、その方向に向くと、白い鎧を着て、長い金髪を靡かせた自分と同じ歳程に見える少女が立っていた。第一印象、美人だと思った。そして、何か見た事のある様な気がした。


「え?何ここ?どこなんだよ?」


「ここは、奴らが来る可能性がある。一時私の家に来るといい。」


(はぁ?)


「奴らってなんですか?」


そうイネが尋ねた時、百メートル程先に、怒号を挙げながら、剣や斧を持ち、こちらに走ってくる集団が見えた。


「来てしまったか、少し下がっていてくれ」


「な、なんですかアレ?」


この一連の流れはイネに理解をさせなかった。


「ええい、下がっていろと言っているのだ。」


「は、はい!」


彼らが迫ってくる。もう目先まで来ている。その時、イネの前の金色が光を放っていた。


(おいおい、何が起こってるんだ。)


少女は、身丈よりも大きな旗を掲げ、そして叫んだ。


『聖なる光よ、我が民衆を導きの闇をぎ払え。民衆の光マセスライト!』


その瞬間、凄まじい音と共に目の前に光の柱がたった。その光の跡に、残っているものはなかった。


(何が起こったんだ)


その、白い鎧を来た少女が振り向いた。


「ここは、危ない。まだ奴らが来るかもしれん。来い!スレイプニル!」


右手を突き上げ大声をあげる。その瞬間、時空が歪み白い毛並みの馬が出てきた。


「はぁ!?なんじゃこりゃ。」


「さぁ、君も乗れ!」


イネは、圧倒されてこくりと頷き、それに従った。その少女の後ろに乗せてもらった。

イネはこの移動間、周りを見渡し再び夢ではないかと疑った。しかし、頬を撫でる風、鼻を通る草木の匂いが現実だと訴えてきた。


(それにしても、スレイプニルと言い、この旗といい、どこかで・・・・・・)


「着いたぞ。ここが我が家だ。」


そこには、外壁で囲まれた、クリーム色の壁が特徴的な石造建築が建っていた。

中に入ると、そこは中世ヨーロッパを感じさせる木の椅子や机等があった。その、椅子にイネは座り、質問をする事に。


「あの人達はなんですか?ここは、どこなんですか?」


白い鎧を脱ぎ、細い腕のあらわになった少女は紅茶を飲み、落ち着いた口調で言った。


「まぁ、待つんだ。互いに名も知らんだろう。質問より、名乗ってからだと私は思うが。私は、ジャネットだ。君は」


「俺は、北里イネと言います。では、質問させてもらいます。ここはどこなんですか?」


「ほう、イネか。いいだろう、イネ。ここは、ビアタラモ。死後の世界とも呼ばれている。」


(死後の世界だと。あの神の言っていたことはあっているのか。)


ジャネットが続ける。


「君は、何か地球で遺していたりするのか?」


「いえ、俺はそもそも死んでいません。」


イネは、こうしてここまでの経緯を喋った。


「ほう、興味深い。私は神と出会った事は無いが、神の言うことなら信じよう。後で君の能力を見るとして。私はどういう理由でここに来させられたのか分からん。しかし、一つ分かったことがある。それは、偉人たちがこの世界には多いという事だ。」


ジャネットは、立ち上がり壁に立てかけていた旗を掴み、続ける。


「その偉人たちは、私も含めて地球での行いを反映した能力を持っている。それで、ここからがもうひとつの問いの答えになるが、その偉人たちやそれに従っている者共が、今、暴走している。それが先の者達だ。」


「え、じゃあ、さっき倒したのって。神の話を信じるとすると地球での歴史に存在しなくなってしまうんじゃ・・・」


重い空気の流れるこの部屋で瞳をうるませて、ジャネットは続けた。


「これは、仕方がないのだ!彼らの功績が失われてしまうのと同じように、私を慕ってくれている者達も奴らに襲われてしまえば、失われてしまう。そのような事は避けなければいけない。」


ひとつ、疑問に思ったイネは思い切って尋ねた。


「失われてしまえば、どうなるんですか?別に地球での功績が失われてしまっても、ここで生きていけるじゃないですか?」


整った顔が崩れて、イネのほうを睨みつけた。


「貴様!本当に何も知らないのか!ここで生きていくには、地球での人々の記憶の中にいなけばならないのだぞ。」


「つまり?」


「つまり、ここでの死は本当に無になってしまう。あぁ、この私の納めている街でも家はあっても、そこに何があったのか、誰がいたのか分からない場所がある。それが証拠だ。」


(やはりか、なんとなく察していたけれど、神が俺を呼んだ理由はそれを救えという事か。それまで、帰れないということか。まぁ、あのつまらない世界よりましか。)


この時はまだ軽視していた。


「先の話の続きだ。何か特別な力を持っているのだろう。一度私にやってみてくれないか」


「バカですか!ふざけないでください!攻撃魔法だとしたらどうするんですか!」


「貴様、私を愚弄するか。私はいたって真面目だ!」


するしない以前にイネは使い方が分からなかった。


「分かりました!良いですよ。でも、使い方教えてください!」




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