朝比奈先輩と魔王様
朝陽君の、いえあなたの会話が鮮明すぎる
くらい聞こえていたのよ
それでずっと気になっていた事が
いろいろ繋がって夢見たいな話を
信じれるようになったの』
朝比奈先輩は真剣な眼差しで魔王様を見てる
ごまかしは効かないと判断した魔王様は
少しため息混じりに
『あ〜えと〜仕事終わったらゆっくり
でいいですか?』
と朝比奈先輩と会社終わりに話す約束をした
そして仕事時間が終わり
朝比奈先輩と近くの公園でコンビニで買った
お菓子を食べつつお話をする事になった
『これ美味しいですね!』
と魔王様が驚く
『でしょでしょ!私もこれ初めて食べた時
コンビニレベルを超えてるって思ったの』
いつもの如く美味しいスイーツに会話が弾む
『そう言えばあそこに新しいお店オープンしてましたよ
なんでもネット販売店だけしかなかったどらやきのお店だとか!』
魔王様が話を盛り上げる
『え?それはぜひ行かないとだ
………
ちがーーーう!!!
こういう話じゃない!』
と朝比奈先輩が吠える
そして魔王様に疑問を投げかける
『私ね、朝陽君が退院して戻ってきてから
少し違和感を感じていたの
頭を打って記憶障害がある事はわかっているけど
どこか別人格というか朝陽君なの?って思う事が
多々あった
一緒にいて楽しいのよ
その楽しいが同性のノリなのよね
記憶がどうのっていうより別な人と話してる感じ
怪我する前からずっと見てたのよ
好きな人の些細な違いってなんとなく分かるのよ
そこに先日のおかしな事件
あの時に私なのに私じゃない目から見てるあなたが
朝陽君の姿をしてなかった
女性だった
夢だとも思ったけど
その目から見える他の全ては現実のようだった
その聞こえてきた会話から
何かいろいろ察したのだけど
実際そんな夢物語のような話があるのかどうか
ただ今まで感じてた別人のようなあなたを思いだすと
やっぱり何かあるんだって思ってしまう
何度考えてもこんな話はおかしいし
現実的に考えてもとても信じれるような
話でなないと思う
けど、けど、あなた朝陽君なの?
別人格が生まれたの?一体何を知ってるの?
ねぇあなた一体誰なの?』
その話を聞いていた魔王様は
天使の神力によるものなのか
本質を見抜く力か?
精神だけになった為に
私の魂の姿が目に映ったのか
誤魔化す必要も特にないのだが
この世界で暮らしやすくする為にも
そして今この世界で暮らしている
ラトワネや魔女の事を考えると
何がなんでも知らないを通した方が
いいんだろうけど………
先輩のこの思いに対して嘘は付けないよな〜
『さっきの話、好きって話
本物が朝陽、勇者朝陽が
帰ってきたら言って上げてください
たぶんちょー喜びますよ』
と少し笑いながら朝比奈先輩に話始める
そしてファンタジーのような話を朝比奈先輩に
伝えていく
『…という訳です
どこまでご理解いただけるか分かりませんが
そう遠くない未来にあいつが帰ってくる事は
間違いないと思うので
そこだけはご安心頂ければ』
と現状の全てを話終えた魔王様
以前より少し他人行儀になっている
呆然としている朝比奈先輩だが
『そっか!よし!わかったわ!!』
と自分を無理やり納得させた感があったものの
理解を示した
その姿を見て魔王様が驚きながら
『ふふ、そういうとこ好きですよ』
と魔王様が笑う
『あら、ありがと
で〜あなたは今後なんて呼ぼうかしら
魔王、ちゃんでいいわね
当然2人だけの時にだけだけどね』
と朝比奈先輩が返す
それをびっくしした目で見返す魔王様
2人だけの時にだけそう呼ぶと言ったの
普通、こんな状況の人物が魔王と名乗ったら
畏怖と共に距離おくだろう
なのにまだ私を拒絶しないのかこの人は
そう思って鳩が豆食ったみたいな目をしていると
『何よその顔は〜
あなたがここにいる限り
私達は今まで通りとはいかないけど
せっかく知り合えたスイーツ仲間だし
ここでお別れってのも寂しいしね
それにあなたにとって私は唯一の理解者でも
あるしね
そして全く知らない世界で1人ぼっちも
寂しいでしょ
私も楽しいしね
って事でこれからもよろしくね魔王ちゃん』
そういう朝比奈先輩に
驚く魔王様だったが
かなわないな〜この人には
っていうか人間ってみんなこういう
一面を持っているのかな
拒絶してきた時期もあったけど
今はよく分からないな
『あははは、先輩は凄いですね
じゃさっき言ってた
映えるどら焼きの店いきましょー
私、絶対うまいと自信あります』
魔王様がこの世界に来て本気で笑えた瞬間だった
つづく
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