第7話
何だかんだで、作業台を制作し、それで作った釣り竿で漁をしている私だが、その間に、めちゃくちゃ使い難いであろう、スキル「
面倒なのは、全てのステータスの10除算という状態異常もそうだが、そんな事は正直どうでもいい。
そうクールタイムだ。
十秒までのクールタイムは、幸運のコートの効果で無くすことが出来るけど、蕾霊の場合三分。長い。圧倒的に長い。
一回目と二回目の発動は待たなくても良いけどその次の三十秒のクールタイム、そして、その次の三分。それは、待たなければいけない。で、重要なのはその後者。まだ前者の三十秒クールタイムは、その時、通常値1の速力が加算されて逃げれるから、いいけど、一番長いクールタイム間はただのステータスが強制十分の一。
そう、速力も、HPも、MPも、防御力も。全部十分の一。
そんな丸腰よりも弱い状態を晒さなきゃいけないって、今日日のゲームは死ぬ。
HPは3になるし。3だよ、3!!
MPも6になるし!
まぁ、HPは下限拡張で無限に等しいんだけど、違うんだなこれが。
蕾霊の最終段階は、HP-時には使えないっていう条件付きなんですねこれ。
キツネさんの「碧眼」を使って耐えたとしても、HPは-だから次の段階へ進めない。
生憎、マクロのようにスキルは連続して使えるようだけど。
でも、そんな、蕾霊の発動前に結構な量の人魂を消費する碧眼を使うのはない。
だとすれば、なんか、状態異常の効果をクールタイムを無視して強制的に発動か、トリガーさせる効果ないかな。
そう言えば、スレイヤーワイトの隠し効果が使えるようになってたよね。
えっと、なんだっけ。状態異常自動回復効果の無効化だっけ?
「「左様です。
4 この常駐効果は本スキルのTierが?状態の時のみ使用が出来る。状態異常自動回復効果の無効化。任意的に、この効果を5秒間、無効化する事が出来る。しかし、状態異常回復効果が発動する
えっと、なになに。
状態異常を付与する効果が全てノーコストで再度トリガーする?
なんか良いこと思いついた。
この効果って、スキルの事? それともスキルの中身?
「「効果は、スキルの中身でございます。この場合、スキル内に、複数の効果が存在する場合、この
つまり、要らない状態異常のみ消して、必要な状態異常は復活するってことね。
そうだな。問題は
「「現在、問い合わせ中です。
返答がありました。
スキル、ライレイの効果は「→←」で表します。また効果ではないものは(→←)で表します
効果 1→「→「蕾」「開花」「若実」では無い状態の場合、Aをトリガーする。 2→「蕾」の場合、Bをトリガーする。 3→「開花」の場合、Cをトリガーする。 4→「若実」の場合、Dをトリガーする。←」
(→A→状態異常「蕾」を付与。クールタイム10秒を設定。
B→人魂を一つ消費し、状態異常「蕾」を回復。状態異常「上限拡張(+300)」「開花」を付与。クールタイム30秒を設定。
C→人魂を二つ消費し、状態異常「上限拡張(+300)」「開花」を回復。状態異常「若実」を付与。クールタイム3分を設定。
D→この効果はHP値が-の時は使用する事が出来ません。状態異常「若実」を回復。状態異常「罌粟」を付与。そして、今後、何かしらの効果により、自身が対象となった場合、HP割合、HP値が1と判定される。また、自分以外に表示される自身のHPは1となる。←)
ライレイの効果は一つのみです。またその中に条件分岐が複数あります」」
ABCDは効果じゃないのね。
「「暫定回答となりますが、ABCDは参照元として存在する為、効果ではありません。そして、これは暫定回答となるため、今後、裁定が変わる可能性があります」」
なるほどです。
三分のクールタイムがどうにかなりそうだ。
あ、でもこれ最愛の死も干渉してくるな。
まいっか。
「お母さん! 引いてる引いてる!!」
そんな青の言葉で、私の悪巧みは断ち切られた。
「あ、ごめん。って引き強!」
めちゃくちゃしなった釣り竿。
「もう、主さんたら、余はもう三桁釣り上げたのです。早く釣るのです」
「そんな事言われても。ちょっとキツネさん助けて。引きずり込まれる」
「仕方ないのです。ほれ、青も見てないで竿に集中するのです」
「はーい。
「まって、キツネさん竿折れる、竿折れる!」
「もう騒がしいですね。「閼伽」使用」
巨匠「空」が動いた。巨匠なのかは知らんけど。
「お、お主頭良いな」
確かに感心した。まさか「閼伽」にそんな使い方が。
そう、「空」は今にも折れそうな竿を自身の体でコーティングしたかと思えば、それを硬化させた。
つまり、竿は折れなくなった。
「これなら引けるのです!!」
加減していたのであろうキツネさんは、その力をフルに発揮した。
そして、見えた魚の体は、うーん、なんか見えにくいような、海の色と同化? 大きさも分からんなー。つまり、そんな変な感じだった。
「え? お姉ちゃん何? なるほど分かった。「空」お姉ちゃんからの伝言です。糸を伝って、魚の脳を破壊してくるだそうです」
万能だなー。
「お、魚が暴れなくなったのです! これなら引き上げられる! よいしょっと!」
あーそうだな。魚があまりにも強い引き上げで、中に浮いたのだが、確かに魚はいた。でも色は分からない。輪郭もあやふやで、サイズも分からない。
そのまま、キツネさんは付近の浜辺に魚を投げた。
「それにしてもデカいですねーこの魚」
お腹が破裂したかと思えば、その中から、内蔵を被り咥えた「空」が出てきた。
「この魚の肝、美味しいですよ。皆さんも食べませんか?」
「「個体名「空」がスキル「
釣り上げた魚は、「ミラーフィッシュ」です。マイワールドで「一定確率」(0.1%)で釣り上げる事が出来ます。切り身はこの世の物とは思えない程に美味な為、売価は10KG。生け捕りにした場合の売価は1MGです。また、釣り上げ難易度は、最も難しいです」」
なるほど、鱗が鏡みたいだから、海の中で姿が確認しにくかったのか。
「じゃぁー捌くか。空ちゃんが確か、〆たでしょ?」
「そうですね、〆と言うかわかりませんが、脳とか脊髄は破壊しましたよ。お母さん」
あー君も、そっち側なのね。
それに、毛並みの色変わってる。銀色だ。
「空ちゃん覚えておくと良いけど、その脊髄とか脳を破壊するのも〆の一種で神経〆って言うんだよ(確か)で、お願いがあるんだけど、大きい包丁があるか、チェストの中を探してくれる?」
「そんな、二度手間な事しなくても私が包丁になりますよ。洗うの面倒ですし」
冷静に言われてしまった。
「え? それなら良いんだけど」
そう言うと、空ちゃんは目にも留まらぬ早さで、包丁に化けた。
よし捌きますか。
なんと言うか、常識的な大きさに収まっている大きな
このマグロのサイズだとしても四人では食べきれないのですがね。
余った分はショップのおじちゃんに、格安で売るか。
えっと、捌き終わった。
あまりの脂乗りで手が何度も滑ったが、滑った瞬間に空が包丁の刃を丸くしてくれたおかげで、怪我する事無く事を終えた。
そして今、その美味しい魚を食している。
「お母さん。これすっごく美味しいね!」
「青、口に含んだまま喋らないの」
お母さんは、空ちゃんじゃないのかな。私より、よっぽどしっかりしてると思うよ。
「そんな事良いではないかー。今日は御馳走、美味しければそれでいのです!」
愉快な親戚のおっちゃんかな?
「そうだね。青ちゃん。すっごく美味しい」
「だよね、お母san。ikurademotaberareruyoneeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee」
突如、視界が揺れた。音も伸びた。
頭が痛い。すごく痛い。
手足、が痺れる、、?
「「「GMSシステムより警告。身体的状況が悪化しました。マイワールド内の時間を長期休憩モードに設定します。ゲーム時間で約二日、現実時間では約五時間。一部機能が制限されます。なお、この時、ゲーム内で仮眠や目を瞑ると言った、情報を遮断する行動は今後のプレイに有益をもたらします」」」
「「スリープを実行しますか?」」
はい。
「「テイム生物に通知。プレイヤー名「垂れ
「え? 狐ーさん、どういうことなの?」
「ごめん、余も存じ上げないのです」
「お姉ちゃんは知ってる? え、なんで首を振るの?」
「ごめんなさい。知らない」
よくわからない。
急に、お母さんが倒れた。
地面には、細い木の棒が二本転がっている。
お母さんが、使っていた食器。
「ナビゲーター、状況説明を求むのです」
「「はい。プレイヤーは、スリープ状態、つまり就寝しています。通常、本空間からはログアウトし、そのプレイヤーの所持しているテイム生物も、同様にログアウト、睡眠状態に入ります。
しかし、今回の場合、ログアウトすることが出来ませんでした。
原因、ゲームの拡張機能「スリープ」が使用出来なかった為です。本ゲームは、ソフト側での「スリープ」とハード側の「スリープ」を併用し高速休息に対応しています。しかし、使用されているGMSが数の少ない医療用な為、本機能が、ハード側の「スリープ」機能との相性問題が発生しました。
これは、ハード側の「スリープ」機能が通常版と異なるためです。
通常、ハード側の機能「スリープ」には専用空間が設けられています。しかし、医療用版の「スリープ」には専用空間がなく、また、現在実行されているソフトウェアをスリープする事が出来ません。
詳しくは裁定確認ページの「ハード機能について」を御覧ください」」
「こんな詳しく説明しなくてもいいのです。そして要約すると?」
「「要約すると、本プレイヤーの使用している物とゲームの愛称が悪い。そして説明内容設定は、持ち主の設定に依存します。今の権限では変更出来ません」」
「はいはい」
「青殿、主さんは、大丈夫なのです。でも、このワールドには敵が居るから見張りが必要なのですが。どうします? 空殿」
「え? そうですね。でもちょっといいですか? 青ちょっといい? これからお母さんは、二日間眠っちゃうんだって。でも、夜には恐ろしい敵がいっぱい湧くから、それからお母さんの事守れる?」
「守る!」
「狐さん。それでいいですか?」
「うむ」
「「サーバー時間が18時になりました。敵クリーチャーが一層発生しやすくなります」」
「余らも、ちょっと休むのです」
「何を言っているのですか? 狐さん」
「え? 余は主に振り回されて疲れたのです」
「確か、今のタスクは、地下空間を作るでしたっけ?」
「そうだけど、明日で良いのです」
「あれ、狐さん? 主様に褒められたいですよね?」
「?!」
「ほら、お耳がピクッってしました。そうなのでしょ?」
「ま、まあ」
「なら、主様が計画していた、マイホームをお母さんが寝ている間に作っちゃいましょうよ? そうしたなら、いっぱい褒めてもらえますよ?」
「確かに、そうなのです」
「地下の石を掘るだけの、簡単なお仕事ですよ? それをやるだけで、褒められるのですよ?」
「あぁー! もう分かったやる!」
「流石、私が尊敬する狐さん」
「所で、広さは?」
「横100m縦100m高さ8mの空間です」
「は?」
「本当ですよ? 嘘じゃない」
〜地下〜
「やだー! やだなのです!!」
「狐さん、やるって言いましたよねぇ?」
「言ったけど、言ったけどぉ、こんなに広いなんて聞いてないのです!」
「はぁ、仕方ないですね。やってくれたら、強いスキルの獲得機会をお教えしますから」
「え? 強いスキル?」
「狐さんも、ダンジョン管理人なのでしょう? もっと強くならなくては、簡単にプレイヤーに追い抜かれますよ?」
「それは嫌なのです」
「でしょ? 確か、スキル名は、「核融合」だったかしら。取得すると、属性に「危」が追加されたはずですよ?」
「核は危険なのです! 滅ぶべき存在、絶対に要らないのです!」
「でも良さそうですけどね。お母さんはバイオハザードつまり、生物的危険。で、狐さんはアビオハザード、無生物的危険。カッコいいじゃないですか。それが嫌なら、スキル「メルトダウン」や「核分裂」「死の灰」でも良いんですよ?」
「それは、一部の県民から反感をかうのです!」
「そんな反感をかうような物より比較的安全で強い方が良いでしょ?」
「嫌なのです」
「仕方ないですね。じゃぁお母さんに使えるスキルも、お教えしますから。それこそスキル「プリオン」なんてどうですか? 案の定、属性に「危」が追加されますけど」
「プリオン?」
「そうですよ。プリオン。可愛い名前でしょ? 「ウイルス」とか「真菌」でも良いですけど」
「確かにそれは欲しい。でもこの条件を呑むのであれば余の要件を受け入れるのです」
「なるほど、いいでしょう」
「スキル「塩基」「酸」を覚えてほしいのです。これも属性に「危」が追加されるのです」
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