東の果て編 その26 秘密から始まる恋物語
特に階段が有るわけでも無し(緩やかなスロープはあったし下って行ってるのは確かなんだけど)階層の変化とかも無いからただのお散歩状態なんだよね・・・。
稀に宝箱が有るのが救いなんだけど銅塊、鉄塊、銀塊、土の魔水晶(小)って感じでダンジョンに来たのか鉱山に来たのかわからない。いや、ちっちゃい魔水晶以外は目的物だから嬉しいんだけどね?量が少ない。
てか、飯食ってから結構立つよな・・・。
「マッピングされてるから迷宮内への転移も使えそうだしそろそろ一度帰るか?」
「そうじゃな。我、次からは首に巻き付いたままでいいかも」
「そ、そんな寂しいこと言うなYO!!こんな何もないとこで一人歩き続けるとか10分持たんわ・・・」
いきなり鬼の様は発言をかますミヅキを思いとどまらせながら適当な小部屋から迷宮の入り口近くまで転移で戻り迷宮を出る。
思ったよりも多人数の出迎えにビックリだ。お、あの人
「閣下、ご無事でしたか!!」
「ああ、お久しぶりです騎士団長。まぁあの程度の魔物相手ならどうとでも」
第三騎士団団長とガシッと握手をし、中の様子を説明しながら外に・・・あ、二人供(元気なのと大人しいの)まだ待ってたんだ?よしよし、ご褒美に金貨を1枚ずつやろう。ああ、宿屋には来なくていいからね?ヴィーゼンまで帰るし、泊まるにしても公爵邸だから女の子連れ込んだりしたら後々(のちのち)えらい目に合うんだ。うん、またいつかどこかで。
翌日も続けて迷宮の探索。攻略じゃないのかって?昨日に続きのぼーっと歩いてるだけで特に攻めて無いし探索じゃないかな?
入り口じゃなく昨日の最終地点の小部屋よりスタートするから人数制限には引っかからないので最初からミヅキと二人。
話し相手くらいはいないとモチベーションが保てないんだもん。
昨日と違うところは・・・特に無し。既に本日も3時間くらい歩いてる。
てかアレだよな、昔読んだラノベとかだと10分くらいで次の階層に進んで1時間くらいでダンジョン制覇!!って感じのが多かったんだけど彼らが潜ってるのはダンジョンではなく地下街だと思うんだ。
大阪で例えるならばなんば○ォークとか阪○三番街だな。ホワ○ティ?あそこは現代のダンジョンだから。夜に歩くとたまにトラップ(酔っ払いのアレ)とか仕掛けられてるし強制戦闘に巻き込まれたりもある。
その日も合計10時間くらい歩いたけどたまに見つかる宝箱以外に目立ったものはなし。
いや、ダンジョンはそんな感じなんだけどさ。ヴィーゼンに戻ったらえらいことになってた。メイドさんが。
俺はここの領民を少々侮りすぎていたらしい。
工場を改装した翌日からまさかの生産量おおよそ40トン。完全に頭おかしい。どう考えても働きすぎだろう領民。
そしてソレ(塩っぽい粉)を精製するのにドーリスがひとりで頑張ったものだから・・・。
「御主人様・・・腰が・・・腰が(物理的な意味で)砕けちゃいましゅぅぅ・・・」
「お、おう、てか頑張り過ぎだろ、加減をしろ加減を。治療するから動かないようにね?」
ぎっくり腰になってたので慌てて治療する。次々と運び込まれてくる粉にプチパニックを起こしていたらしい。
「ああ、あと浜辺の村の方が大至急ロバと荷馬車と詰める袋の追加をお願いしますとのことです」
「了解した、明日にでも仕入れてくるよ・・・。まぁその前に袋を持ち上げる魔道具の作成だな」
引っ掛けたら勝手に持ち上げてザバーっと魔道具に流し込んでくれるやつ。いや、それでもそこまで運ばないといけないし、詰め終わった食塩を積み上げるだけで再度腰が死ぬな。なにか方法は・・・もうこの際アレしとくかなぁ・・・。
「・・・ドーリス、君は秘密は守れるかな?」
「・・・はい、もちろんです御主人様・・・ドーリスは今日・・・ここで女になるのですね?」
ちげぇよ・・・。『持ち運びが辛いなら持ち運ばなければいいのよ!』って事で
「今から君に・・・時空庫のスキルを授ける」
「・・・はい?お子を授けてくださる・・・のですよね?」
「『じ・く・う・こ』な?俺がいつも使ってる物を消したり出したりするスキル。いや、消してるんじゃなくて仕舞ってるんだけどさ」
「ご主人さまのご主人さまを入れたり出したりそして出したりではないと?えっ、ええと・・・御主人様はスキルを他人に付与することがお出来になるのですか?それはもう神の領域なのでは・・・」
「ああ、付与するって言うよりも『貸し与える』って言うのが正解だけどな。そういうスキルを持ってるんだよ。・・・内緒だからな?」
「もちろんです!二人だけの秘密から始まる恋物語(ラブストーリー)ですね?」
おう、もうソレでいいや・・・。
てことでドーリスに時空庫のスキルを貸し付ける。ランクは・・・結構上げとかないと量が仕舞え無いよな時空庫。奴ら(領民)本気だからな・・・。
面倒だし10にしとけばいいか。
ステータス、体格とか筋力も一応15くらいにあげておくかな。てかそこらの騎士以上の能力値だなこれ。
「じゃあ少し触れるからね?」
「上でしょうか?それともいきなり下の方に・・・」
「脱がなくても手を差し出してくれれば十分だからね?」
年齢的(23歳みたい)にも外見的にも俺の好み的にもまったく問題ないので本当にそういう関係になっちゃいそうだから裸になるのとか止めようね?
「もしもスキルについて何か言われることがあったら『メイドですから』で押し通す様に。しつこい奴には『お答えできませんので公爵家の方にお聞き下さい』って言っておけばいい」
「はい『御主人様の女ですから』ですね?」
「一文字も合ってねぇわ・・・」
一応精製の魔道具も数を5台に増やしておくかな。
「じゃあ後は任せるよ。塩に関してはドーリスに任せっきりになっちゃってすまないけどお願いしとくね」
「そんな寂しいことをおっしゃらないでくださいませ!!ドーリスは・・・御主人様のものなのですからなんなりとお申し付けを」
「いや、俺のじゃなくてここん家のメイドさんじゃん・・・」
「そんな過去もありましたね」
ヴィオラが泣いちゃうから止めてあげてね?
工場からこっちに持ってくる持ち運びも時空庫が使えれば早いし楽ちんなんだけどなぁ。さすがによく知らない領民にスキルを貸し出しちゃうのはあまりにも危険だし。
・・・いや、そもそもスキルを貸し出すんじゃなくて魔道具を使うのならいいんじゃないだろうか?
ほら『ストレージを隠すならマジックバックの中』って諺があるし。別に持ち運ぶって前提がそもそも必要ないよね?もっと簡単に今あるモノを使えばいいじゃない。
そう『地獄の業火君(改) 燃やさないバージョン』だ。大きめサイズのを置いておけば変にスキルを使うよりも問題は起きないだろう。・・・起きないと思おう。
ほら、田舎もん相手だし『王都ではコレが普通なんだ』って言い切っちゃえば大丈夫なはず。
さっそくここと工場に設置しておくか。
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