東の果て編 その14 御主人様・・・抱いて?
海側に続いては陸側の番である。
気持ち的には飽きてきたので蛇と二人で旅立ちたい想い120%の過充電状態であるが幼女と約束しちゃったのでもう少しだけ頑張る。
まずは凸凹とした荒れ地でしか無い地面を均等に平面に均す。アメリカの大規模農場・・・みたいな広大な広さはないが均す。あ、水路の問題も有るし小川の整備もしなきゃな・・・。
上流に溜池も作っておいたほうがいいかな?雨がふらない時は水魔法で貯めちゃえばいいだろうし。まぁ今のところ小川にはそれなりの水量も・・・有るとは言えないけど細かい整備は後日でいいか。
地面を平らに均した後は土壌改善だ。こちらは土魔法だけでは出来なかったので農業スキルを上げた。
てか農業スキルを上げたら肥料の生産や作物の品種改良とか成長促進なんかも出来るようになったんだけどこれはもう使うしか無いよね?
成長促進にはそれに使用する栄養分(肥料だな)も必要になるので使い勝手はそこまで良くなかったりするけど。
肥料、生ゴミで十分なんだけど持ち歩きたいとは思えないからね?生ゴミ。
すぐに使えそうなのは品種改良だな。
小麦・・・病気、虫、塩害に強くて収穫量が多く美味しいやつ!・・・そろそろ米も食いてぇなぁ。
何にしてももうすぐ秋なんだよなぁ。
今から小麦は無理だよね?と思って聞いてみたら『秋播きはもう少し先でございます』と良くわからない返事が帰ってきた。
うん?米と違って小麦って秋に蒔くものなの?良く分かんねぇな。まぁいいや、種もみとかある?あ、有るんだ、ならそれを全てよこしたまへ。
てわけでさっそくスキルで種を品種改良して農民に返しておく。
正直農業のことなんて(スキルは取ったけど知識としては)全くわからないので必要なものだけ聞いていく。
何か必要な物はあるか?農具?うん、当然必要だな鍬と鋤と鎌でいいか?大丈夫、他には?特に無いのか、そうか。
人手が余るようならしばらくは海辺の塩工場の手伝いにでもまわってくれ。
よし、お前たちにもあめちゃんをあげよう。
そんなこんなでたまにエルドベーレを往復しながらだらだらと過ごすことひと月。なんだかんだですることをしちゃえば後は他人が頑張ってくれるものである。
てかさ、塩工場。1日の生産量がおかしい。いや、陸側の農業チームが今の所することが無かったから手伝いにまわってるってのもあるんだけどさ。
1日に約1トンくらい出来てる。1000キロだよ?予定では十分の一位だったんだけど・・・。
いくら恐怖政治で縛ってると言ってもこいつら働きすぎじゃない?
塩って摂取量1日に10グラムくらいだよね?たぶん。いや、汗をかいたりしたら(海辺で走り回ってりゃ汗もかくだろうし)もっと必要なのかな?
とりあえず10グラムで計算すると1キロで100人分、1トンだと100.000人分?
どこに売ればいいんだこれ。いや、売る所はディアノ商会しか無いんだけどさ。
ちなみに最終的な製塩作業はドーリスの仕事である。毎日毎日塩っぽい粉の袋(20キロくらい)を50袋以上魔道具に移して出来た塩の袋を積み上げる。
女の子一人でさせる作業じゃないだろうと思って手伝おうとしたらこの5倍くらいまでは大丈夫って断られた。
・・・蛇、お前もあの勤労さを見習え。
卸値は1キロ大銅貨2枚にしている。村にも商会にも人手が足り無さ過ぎて俺が直接ディアノ商会まで製塩済みの塩の袋持っていって荷降ろししてるからね?
ディアノ商会の卸値は(現状は)塩ギルドと同じ大銅貨3枚で統一させている。他国の商人とあの時(御用商人の選定の時)集まった商人にはその倍、大銅貨6枚で売らせてるんだけど・・・売れるらしい。
それも他国の商人は予約を入れて先払いまでして買っているらしい。
てか「もっと・・・もっと白い粉が欲しいの・・・お願い・・・」とか言われても無理だから。いや、領民に言ったら倍くらい働きそうだけどさすがに死んじゃうから!!
てことで塩だけで毎日(は行かないけど)大銅貨2000枚→銀貨400枚→大銀貨80枚→金貨16枚の収入だな。
ひと月で金貨480枚、俺の取り分が半分を取り除いて(魔道具代と魔水晶代、あと建物の建設費などなど含む。それでもそこそこの中抜である)金貨240枚領民の給料が5%の12枚・・・領民の給料すくねぇな・・・。
今のところは食料も配給してるし住む所も用意してやったしな!・・・いや、それでも少ないなこれ。
10%でもいいかな?よし、そうしよう。一揆とか起こされたら非常に面倒臭いし。ドーリス(メイドさん)の給料は5%でいいかな?
てなわけで初めての領民の給料、全員(103名)で金貨24枚である。一人頭だと大銀貨一枚ちょっと。・・・よし、街で酒を買い込んで今日は宴会でも開いてやろう。肉もいっぱい買ってバーベキューだな!
あ、あと廃品回収で集めた布を加工して服とか下着とかタオルとか石鹸とかシャンプーも安い値段で売ってやるか。
「て事で今月の収支の発表と収入の分配である!!」
「わー」パチパチパチ
うん、手を叩いてるが蛇、お前には何もないんだ。
てなわけで細かい明細を記した収支表を机に置いてお金を分ける。
「てか素朴な疑問なんだけど・・・この最貧領地でドーリスって今までちゃんと給料は出てたのか?」
そっと目を逸らされた。お、おう、触れてはいけない所だったならごめんね?
「だ、大丈夫、これからはちゃんと払うからね?毎日ご苦労さまでした、これ、今月分のお賃金な」
「はい、ありがとうござい・・・重いです・・・お給料の入っているであろう袋が重いです・・・銅貨20まいくらい入ってるのでしょうか?」
「いや、貴族家のメイドさんの給料が銅貨ってどう考えてもおかしいだろう・・・」
「こっちはヴィオラの分、と言うよりもヴァイデ准男爵家としての税収入だな」
「ありがとう?うわぁ・・・こっちはもっと重いわよ!?銅貨100枚以上入ってそう!!」
「だからどうして二人共銅貨換算で計算しちゃうかなー」
曲がりなりにも税収って言ってるんだからせめて銀貨じゃねぇ?いや、入れてるのは金貨だし、端数があるから銀貨も銅貨も入ってるんだけどさ。
そっと袋を開けた二人がそっと袋を閉じて辺りを見回したかと思ったらまたそっと袋を開く。
「ど、ど、ど、ドーリス、銅貨が、銅貨がね、光ってるの」
「そ、そ、そ、そうですね、銅貨が、輝いて見えますね」
「その小芝居長くなるのかな?」
「御主人様・・・抱いて?」
「抱かねぇよ・・・」
さて、この後は領民を集めての祭りである。
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