東への旅編 その16 もうこれ異○界○堂じゃね?(違います)



だって姉、普通にまだ食べてるし?調理を任せるのはまだ不安だし?

まぁ下ごしらえは殆ど終わってるからそんなに時間掛からないんだけどさ。

ちなみに本日の盛り合わせの内容は『魚のフライ2種類、野菜3種類、ウインナー』である。仕入れ値が安いならエビを是非とも加えたいところだな。


俺、茹でたエビは好きじゃないけど(生はそもそも食べない)、天ぷらかフライに限っては大好物なのだ。だからエビマヨもエビチリも衣の着いたやつじゃないと食べれない!

ん?定食にウインナー必要かって?

お前・・・串カツ屋でウインナー頼まないとか・・・考えられんぞ!?

あれだろ!お好み焼き屋で豚平焼き頼まないタイプだろお前!?!?


まぁそんなことはどうでも良いとして、お皿に盛り付けたら上からソースをたっぷりと。ホントは各テーブルに置きたいんだけどさ。ほら、持って帰っちゃうヤツとかいそうだから。

治安と言うか常識というか一般人のモラルに期待出来るほど成熟した社会ではないのだ。世界一の治安を誇る日本にだって持って帰っちゃうやついるからね?


そしてマヨかタルタルも添えたいけど原価が上がっちゃうから見送りってことで。現状でも原価で大銅貨1枚程度かかってるからね?

「テイショク追加で3つお願いしますー!」「定食3丁追加あざーす!!」

店の方から妹の声、どうやらお客が増えたらしい。


「お先3番テーブル、四名様お待たせしましたー!」

「おお!!むっちゃ旨そうな匂い!!はふっ(熱っ)!?てか旨っ!?何だこれ!?」

「ちなみにエールと一緒ならもっと旨いっすよ―!!」

「おまっ、商売上手な子供だな!!わかったよ!!エールも四杯だ!!」


「エール四つ入りました―!!」


「だからどうして自分で行くのに叫ぶんだよ!!」


もちろんそれが日本の様式美だから


「てかなんだこのエール!?入れ物までむっちゃ冷たいんだけど!?まだ外くっそ暑いのにどうなってんだこれ!!・・・っかぁぁぁあぁぁ!!てかうめぇな!!冷えてるだけでこんなに旨いのかよ!!」


完全に店側のサクラみたいな反応で飲み食いしてくれる探索者の兄ちゃんたち。

「テイショク2つはいりましたー!」「定食二丁ヨロコンデー!!」

あれだな、俺は(能力値のおかげで)100人入ろうが覚えられそうだけど妹が普通にパニック起こしそうだから早急に伝票が必要だな。


・・・

・・・

・・・


てなわけで2時間足らずで営業終了である。いや、魚がね?在庫切れしたから閉店するしかなくて。

とりあえず最後まで待ってくれてたお客さんには『野菜の揚げたの』を味見してもらって帰ってもらったのでそこまでの不満はない・・・はず。


「喉痛い・・・」

「・・・腕痛い・・・」


「おう、妹も姉も今日は一日よく頑張ったな!」

「て言うかどうして未だに妹なのよ、名前で呼びなさいよ」

「・・・私も・・・」

「だってほら、変に情を移しちゃうと捨てる時に困りそうだし?」

「犬扱い!?て言うか捨てるの前提なんだ!?!?」


だって俺旅人だよ?どう考えてもそんなに長居する訳ないじゃん。


「まぁそれはそれとして、本日の売上発表ー」

「わー」パチパチパチ

「わ、わー」パチ・・・パチ

「・・・わ―」ボソッ


「本日の売上は、大銅貨で『113枚』でした!!・・・思ったほど儲からないな飯屋。いや、まぁ材料が切れたから営業時間も短かったし仕方ないのか?仕入れとか差し引いたら純利益は大銅貨70枚から80枚ってとこだな」

「お客さん30人入ったか入ってないかで大銅貨113枚・・・」

「・・・すごい・・・」


ちなみにこの日の売上は仕入れ値を大きく下回っていました。なぜなら・・・昨日フグの仕入れを止め忘れたたから。

慌てて仕入先の漁師――あ、一応組合みたいなのがあるんだ?――の所に行って明日からの仕入れの量を変更したのは言うまでもない。

フライに出来そうな魚色々っと。


ついでに晩御飯の買い物もしていくか。

あ、エビあるじゃん!!・・・でもお安くはないな。そこそこの大きさで一匹銅貨5枚くらいするもん。まぁ買っちゃうんだけどね。

ちなみにイカとかタコはむっちゃ安い。あ、イカもリング揚げにすればいいかな。タコは・・・特にいらないや。


たこ焼き?そもそもあれって本当にタコが必要か?チーズとかウインナーでいいじゃん。俺のウインナーに対する根拠のない信頼感がすごい。

いや、この世界と言うかこの街だとタコの方が圧倒的に安いんだけどさ。チーズとかも結構ビックリする様な値段するしね。


そして野菜も追加で。玉ねぎ、カボチャにナス。あ、カボチャは串カツじゃなく天ぷらだな。ちなみにキノコ類は俺が嫌いだから・・・じゃなくお高いので使えない。

しいたけの栽培とか(たぶん)してないみたいだし天然物だから都市部の平民の食卓には上がるにはお値段的に厳しいのだ。

まぁ食材いっぱい買っても時空庫に入れておけば傷まないからいいよね。てか肉類、肉類はどこですか!!



帰宅後はちゃちゃっとごはんの用意。よく働いたから気分的に空腹なのだ。


「今日の晩御飯は姉が無駄に何匹も仕入れていたフグを使った『フグの唐揚げ定食』ですー」


エビフライにしようと思ったんだけどね?姉がどうしても捌くのを見たいって言うから・・・。白子?そんな気色の悪ぃもの魚がそんなに好きじゃない俺が食うと思うか?

もちろん捨てるのはもったいないので蛇の晩御飯だ。焼いたのと揚げ物と。

うう、なんなのこいつ(白子)・・・見た目完全に猿の(ピー)じゃん・・・。


あ、もちろん白子に毒のないフグ(異世界トラフグ)だからね?

てか姉の買ってたフグ、白子付きだから余計に高かったんじゃね?

てかそもそもフグって何となく冬に食べるものってイメージなんだけど夏でも穫れるの?いや、そんなこと言ったらサバとかアジとかエビとかイカもだけど・・・。

異世界の季節感、と言うか地球と同じ生き物かどうかも不明だから気にしたら負けなんだけどさ。


あ、唐揚げはとても美味しかったです!

あと白子は姉と妹も泣きながら食べてました・・・。

それってアレだよね?アレ!女の子がアレ!!俺の白子も(ry


まぁ港町に住んでる人から見ても高級品らしいから喜んでもらえたならなにより。繰り返すが俺は絶対にいらないけどな!!

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