深愛と狂愛
「何をしているんですか?早く行きましょうよ『助さん』さん!」
真白さんはそう言いながら、俺の腕を掴んで引っ張るので俺は
「何を言ってるのかな真白さん?『はい、そうですか』って、行く訳ないでしょ!」
と言って断る。
すると真白さんは泣きそうな顔をしながら
「な、なんでですか?!私はずっと『助さん』の事を探していたのに!あんまりです」
と言って、俺の服を掴んできたので俺はさらに
「そもそも、君は俺の名前すら知らないのに良く自分の家に招待しようと思えるよね!どう考えても怪しすぎでしょ!」
真白さんに言いながら、俺の服を掴む真白さんの腕を払うと、真白さんは何かを悟った顔をしながら俺に
「なら、私がどれだけ『助さん』の事を思っているかを見せれば良いんですよね?」
「・・・・・?」
真白さんが何を言っているのか分からなかった俺はその場で考え込んでしまった。
そして次の瞬間、リューが俺に声をかける
「おいキョー!早く屈め!!」
「えっ?!」
いきなりの事で一瞬動けなかった俺に、真白さんがいきなり俺の首に腕をかけて
チュッ!!
「ん??!!」
「「「「??!!!」」」」
真白さんが俺の唇にキスをしてきた!!
それも一瞬では無く、5秒程の長めのキスだ!!
突然の真白さんの奇行により、俺はもちろんの事【RIZIN】のメンバーや香取さん達も亜然としてしまった。
そしてキスが終わると真白さんは俺の事を見ながら、恍惚した表情で
「どうですか?私がどれだけ貴方の事を思っているのかお分かりになりましたか?もし足りないのならば、今度はもっと熱いキスをしますけど?」
と言ってきたので俺はすぐに
「いや!大丈夫だ!!君の思いは充分に分かったからもう辞めてくれ!!」
と言いながら手を前に出して何度も振る。
すると真白さんは残念そうに
「えー!せっかく『助さん』とまたキスが出来ると思ったのに残念です。でも、これで私の思いは伝わったみたいですし、まぁ良いでしょう」
真白さんはそう言いながら満足そうな顔になった。
随分と感情表現が豊かな人だよ!!
ちなみに俺はと言うと、現在進行形で内心めちゃくちゃ動揺している。
(嘘だろ?!真白さん、いきなり俺にキスして来たよ!それもほっぺとかじゃ無くて唇だよ!唇!!うわーマジか?!楓ちゃんにだって唇どうしでキスした事無いのにー!って、これって俺のファーストキスって事だよな!
なんてこったー!!)
心の中で叫んでいる俺にリューが話しかける。
「悪いキョー。俺がもっと早く声をかけていれば、こんな事にはならなかったのに・・・
本当にすまない!!」
と、謝るリューに俺は
「いや、流石に今のはリューのせいじゃ無いよ!それに、俺もまさか売れっ子の歌手がいきなりキスをしてくるなんて思っても見なかったしさ!」
そう言って俺は真白さんを見る。すると真白さんが
「では『助さん』。私の思いが伝わった所で早速私の家に行きましょう!」
と言って来たので俺は真白さんにとある質問をする。
「なあ真白さん。なんでそんなに俺の事を思ってくれるんだ?俺が言うのもなんだけど、俺と君のファーストコンタクトって最悪だったし、今の格好を見ての通り俺は陰キャだぞ!」
そう、今俺の格好はいつもと同じで陰キャだし、真白さんと最初会った時も陰キャの格好な上、曲を提供するかどうか試す為に色々と踏み込んだ質問して、正直あまり印象は良くはなかった筈だ!
なのにも関わらず、なんで真白さんは俺の、いや、「助さん」の事を思っているのかが、本当に分からん?!
俺がそんな事を考えていると、真白さんは俺の質問に対して
「そんなの決まってるじゃないですか!『助さん』は私の夢を笑わないでくれた!その上、私が夢を叶えられるように曲をくれたんです!だから私は『助さん』の事が大好きなんです!」
と熱弁する真白さんに俺は軽くため息を吐いてから
「いやいや!その位で好きになられても困るんだけど・・・・」
俺が呆れていると真白さんが凄い剣幕で
「たとえ、貴方にとってその程度だとしても、私にとっては自分の夢を初めて認めてくれた大切な人なんです!だから・・・だから私は貴方の為ならなんだってします!たとえ歌手を辞めることになったとしても!」
俺は話を聞いて少し考えた後、真白さんに向かって
「・・・はぁー。たとえ君が俺の事を好きだとしても、俺が君の事を好きだとは限らないとは思わなかったのかな?
普通、どう考えても一度しか会ってない君の事を好きになる訳無いでしょ!」
冷たいが、俺は少しキツめの口調で真白さんに対して正直な思いを伝えると、真白さんは涙を流しながら
「なんでそんな冷たい事を言うんですか?もしかして私の事が嫌いなんですか?それとも貴方には好きな人がいるんですか?誰ですかその女は?!私の『助さん』を誑かすなんて許せません!『助さん』の愛を受けて良いのは私だけなんです!その女を教えて下さい、二度と貴方の前に現れないようにして上げますから!さあ!さあ!さあ!」
と、ハイライトの消えた冷たい目をしながら俺に向かって怒鳴ってくる。
その瞬間、楽屋にいた全ての人間が理解した。
「真白三葉」は頭のネジが飛んでる女性では無く・・・・かなりイカれてるヤンデレだと
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