出した答え


私からの提案に対して日和ちゃんは普段とは違った、笑みを浮かべながら


「いいよ芽依ちゃん勝負しようよ」


日和ちゃんはそう言うと、今度は私の事を睨みながら


「実は私もね、この前キョー兄を見る芽依ちゃんの視線で芽依ちゃんがキョー兄の事をどう思っているか分かってたんだぁ。でもね芽依ちゃん。それに葵先輩もですけど、この世で一番キョー兄の事を愛しているのはこの私です。そして私はどんな事があってもキョー兄を誰にも譲るつもりは無いので、そのつもりでいて下さいね。あっ!でも私が一番、キョー兄のそばにいますから勝負は見えてますけどね!」


と、笑みを浮かべながら私だけでなく、東子先輩にも牽制をしてきた。と言うより煽ってきた。


すると東子先輩も負けじと


「あら?それはつまり、木村さんは自分が一番キム兄に好かれてるって言いたい訳かしら?」


と言い返すと日和ちゃんは


「えっ?むしろそれ以外に何があるんですか?」


当たり前でしょ、と言いたげな顔で言ってきた。

すると東子先輩は顔を引き攣らせていた。

見ていた私は、相当ムカついていると思ったけど、正直私も少しムカつく。


すると日和ちゃんが私に向かって話しかける


「さて芽依ちゃん。これで私と芽依ちゃんは晴れて敵同士と言う訳だけど、いくら親友でも容赦しないからよろしくね!」


と言って、右手をさし出して握手を求めてきた。


「もちろんよ日和ちゃん!私は絶対に負けないから!」


私はそう言って握手をした後、生徒会室を後にした。


*******


私は自分の教室に行くと、すぐ席に座りこれからについて考える。

日和ちゃんと東子先輩に選挙で勝つためには私だけでは圧倒的に差がありすぎる。

向こうは現会長であり4美姫『氷姫』の東子先輩に、『歌姫』の日和ちゃんが相手と言うだけで負けているのに、さらに日和ちゃんには会長推薦と言う最強のカードがある以上、中途半端な選挙活動では勝つどころか相手にすらならない。


「うーん。これからどうしたら良いんだろう・・・・」


「あれ?どうしたの芽依?」


私が困っていると、私の事を呼ぶ声が聞こえて来た。

声する方へ向くと、そこには幼馴染で同じクラスの「石見真央」が立っていた。


石見真央は小学校の頃からの幼馴染で、小さい頃から音楽をやっていて、良く真央の演奏に合わせて私がダンスを踊っていた。

高校では、軽音部でボーカルとギターを担当していて去年の学園祭では確か、大ファンの「助さん」の曲を演奏して大盛り上がりだった。それに社交的で成績も優秀だから友達も多く、後輩からも慕われている。


「おはよう真央。うん、実はちょっと困っててさぁ」


私は手を頬に置いて困ったポーズをとる。

すると真央が


「へぇー。芽依が悩み事なんて、いつかの陰キャさんの事を相談された時以来だね!何があったかウチに言ってみなさい!ほら!ほら!」


真央はそう言うと、手招きをしながら聞いてきたので、私は事の経緯を話した。


全てを話し終わると真央は何度か頷いた後


「ふーん。ならさ!ウチが芽依の推薦人になっても良いよ!」


真央からの提案に私は驚きながら


「えっ!?本当に良いの?真央って、こう言う面倒臭い事が嫌いだったと思うんだけど?」


私の問いに対して真央は指で頬をなぞりながら


「あはは。そりゃ面倒事は勘弁したいけど、他ならぬ幼馴染の芽依の為なら、ウチは一肌でも、二肌でも脱ぐよ!それに、ウチは音楽と同じくらい面白い事が好きなんだよね!」


そう言って、ギターを弾く振りをする真央を見て私は


「それじゃあお願いしようかな!真央なら頼りになるしね!」


私がお願いすると真央が


「オッケー!それじゃあお昼休みに、軽音部の部室で作戦会議と行こう!」


「ええ、お願いするね真央!」


私がそう言って真央の手を握ると真央が


「ところで、木村さん以外の他の立候補者って誰がいるの?」


と聞いてきたので私は思い出そうとするが


「えーと、・・・・そう言えば誰だろう?」


私の返答に対して真央は呆けた顔で


「へぇ?・・・マジ?」


と言ってきたので、私は真面目な顔で


「うん。日和ちゃん以外誰が立候補したのか聞いてなかった!」


と答えた。

すると真央が焦った様子で


「ちょっと芽依何やってるの!たしか選挙管理の担当はハヤ先だったよね!は早く職員室に行って聞いて来なさいよ!」


「いや、ハヤ先って誰?」


「は?何言ってるの芽依。ハヤ先と言えば、林先生以外無いでしょ!」


「そうなの真央?」


「そうだよ芽依!ハヤ先って、割とイケメンで授業も分かりやすくて人気なんだよ!」


「へぇー、そうなんだ。言われてみれば確かに割とイケメンだけど、なんかいつもぼーとしてる感じだけど?」


私がそう言うと


「それが良いんだって言ってる子もいるんだよねぇ。まぁ、芽依には関係ないけど」


真央がいきなりからかってくるので私は少し黙ってから一言


「・・・そうだね」


と少し寂しそうに言うと、真央が


「それより早く職員室に行っておいで!」


私は真央に職員室まで連れて行かれた。


*******


林先生から色々と資料を貰い、職員室から戻って来ると教室に日和ちゃんがいた。


私はなるべく日和ちゃんと目を合わせないようにしてから、すれ違いざまに一言だけ


「負けないから」


と、私が言うと今度は日和ちゃんが


「望むところよ芽依ちゃん」


と言いながら微笑んでいた。


こうして私、緑川芽依と親友、木村日和との

生徒会長の座木村さんをかけた選挙が始まった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


これにて芽依sideは終了となります。

果たして2人の仁義なき選挙の行方はどうなるのか!

そして、未だに登場していない影浦隣寺とは何者なのか?皆さま乞うご期待!


次回はいよいよ[RIZIN]のメンバーが登場しますので、どうぞお楽しみに〜



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