サプライズと約束
しばらくして、ようやく目的地へと到着した。
「へぇー、ここがとっておきの場所なの木村君?」
「やっぱり、ここからだとパレードが見えないよキム兄!」
二人は何故俺がここへ連れてきたのか分からないようだ。
それもそのはず、ここはパレードのコースとは離れているし、建物のせいでパレードがよく見えないのだ。
「ふふふふふふ、ほら二人とも、城の方を見ててご覧」
「「え?」」
俺が城の方を指差すと二人はよくわからないまま城の方を見る。すると・・・
ヒュ〜〜〜ドッバーン!!!
突然、城の後ろから大花火が咲く。
さらに続いて、小さな花火が何発も打ち上がっていく。
バンッ!バンッ!バンッ!
三人で、花火を見ていると東子ちゃんがハイテンションで
「凄い!なんでなんで?!花火なんかやるなんてどこにも載って無かったのに?!!」
「ええそうね。どうして知ってたの木村君?」
二人は俺を見ながら聞いてくる。
美人姉妹からの熱い視線。うん、いいね!
どうやら、サプライズは成功したようだ!
ちなみにこの花火に関して俺は全く関与していない。
ならどうして知ってるのかって?
実は前日に、リューが教えてくれたのだよ!
なんでも今日は、TDWの月に一度の感謝デーの日で、毎回パレード中に城の後ろから花火が上がるのだそうだ。
なんでリューが知っていたのかは俺も知らない。リューに聞いても教えてくれなかったからだ。
(まぁ、世の中には知らない方がいい事も、一つや二つあるよな)
俺は、不思議そうにしている二人に
「ふふふ、どうだい俺のサプライズは、驚いたでしょ?!」
俺が自慢気に言うと、東子ちゃんが嬉しそうに笑いながら
「うん!ありがとうキム兄!私、とっても幸せだよ!」
と言うと、今度は南ちゃんが
「ええ、本当に嬉しいわ!ありがとう木村君、今日の事は一生の思い出よ!」
滅多に見せない、太陽のような笑顔で俺に言う。
俺はそんな二人を見て、つい
「綺麗だ・・・」
と、柄にもなく真面目な声色で言ってしまった。
だってしょうがないでしょ!
窓越しから見える花火をバックに、太陽のような笑顔の南ちゃんと、花のような笑顔の東子ちゃんが俺に向かってお礼を言ってくれてるんだぜ!
最高じゃねーか!!
これだけで、今日まで生きてきて良かったと思ってしまった。
俺が二人に見惚れていると、南ちゃんが
「それで木村君。君は、私と東子のどっちを選ぶのかしら?」
いきなり、爆弾発言をしてきた。
「なに言ってるの姉さん!キム兄は・・・」
南ちゃんの爆弾発言を聞いた東子ちゃんは、俺の事を気遣ってくれたようだが、実は二人の気持ちについてどうするべきか、俺はさっきTDW城の展望フロアにいる時に改めて考えていたので覚悟を決めて話す。
「いや、いいんだ東子ちゃん。俺も覚悟を決めたよ。改めて二人の気持ちについて考えたんだけど、やっぱり今の俺には恋愛は無理だと思う・・・」
俺の話を聞いて、二人とも少し落胆しているようだ。
そんな中、俺はさらに話を続けた。
「でも必ず、二人の気持ちにちゃんと考えてから答えを出すから!だから・・・それまで待ってて欲しいんだ・・・」
俺は俯きながら二人に伝えると、二人が俺の両手を握ってきた。
俺は顔を上げて、二人を見ると・・
そこには、泣きながら笑顔で俺の手を握っている東子ちゃんと、今にも泣きそうな顔をしている南ちゃんがいた。
俺が驚いていると、まず東子ちゃんが
「ううん、いいんだよキム兄。私は気長に待ってるからさ!そりゃ多少は不満もあるけど、キム兄に救われるまでの
そう言って、東子ちゃんは俺の手を離す。すると今度は南ちゃんが
「そうね、東子の言う通り木村君にはちゃんと後悔の無いよう答えを出して欲しいわね。それと・・・」
南ちゃんは途中で話をやめて、俺の耳元へと顔を近づけてから
「この前の続きがしたければいつでも言ってね。私はどんな時でもオーケーだ・か・ら」
と、俺にだけ聞こえるくらいの声で囁いてきた。
「はひっ!!」
俺はうまく表情を作れず、思わず変な声を出してしまう。
(この前のってまさか祝勝会の時の・・・)
それを聞いて東子ちゃんが大声をあげる。
「ちょっと!今なんて言ったの姉さん?!」
東子ちゃんは、南ちゃんに近づきながらそう言うと、今度は南ちゃんが
「どうしたの東子?何か問題でも?」
「いやいやいや、問題大ありだよ!見てキム兄を!なんだか知らないけど、凄く変な顔になってるじゃない!一体なにをしたの?」
東子ちゃんが俺に指をさしながら言うと、南ちゃんは
「ふふふ、お子様な東子にはまだ秘密よ!」
そう言って、南ちゃんは手をひらひらさせる。すると東子ちゃんが
「なんだってー!いくら南姉さんでも怒るよ!」
怒った顔をしている東子ちゃんは、結構怖かった。
なんて言うか、女王様みたいな感じの雰囲気を出していた。
アレには逆らえ無いと、本能が言っている。
すると南ちゃんは両手を組んで
「ふん!東子が私に勝てると思ってるの?」
東子ちゃんを煽る!もの凄く煽る!!
美人姉妹喧嘩の再開!
なんだか二人の後ろに龍と虎が見えて来た。
スタンドかな?
このままじゃ不味い!と思った俺はなんとか仲裁しようとした
「ちょっと待って二人とも!まぁ落ち着いて話を・・・」
すると俺が話していた途中で
「「木村君(キム兄)は黙ってて!!」」
二人からキツイ言葉をくらう。
俺は二人の圧に負けて
「はい!」
と言って黙る。
その後
俺は、そのまま二人が落ち着くまでの間ずっと黙っていた。結局、10分程してようやく落ち着いた二人に俺は、
「そろそろ帰ろうか二人とも?」
すると南ちゃんが
「そうね。もういい時間だし、東子もいるからあんまり遅くまではダメだしね!」
「くーう、今だけは自分が高校生という事が憎い!」
「まぁそう言わずにさ。それに、二人ともありがとうね。二人のお陰で俺はようやく一歩を踏み出す事ができた気がするよ」
「ふふふ、木村君がここまで感謝しているとなんだか調子が狂うわね!」
「それに関しては私も南姉さんに同感!なんだか、キム兄はもっと軽い感じかと思ってたよ!」
東子ちゃんが失礼な事を言ってきたので、俺は言い返す
「おい!何、人のことを軽いとか言ってるんだよ!この・・・」
俺は途中で言い淀んでしまった。
確かに東子ちゃんの言う通り、現在俺は南ちゃんと東子ちゃんと言う、超絶美人姉妹と一緒にデートをしているわけで、側からみれば明らかに俺が堂々と二股をかけているようにも見えてしまう訳で、東子ちゃんが言う事も、あながち間違っていなかったりする。
「ちょっとキム兄、なんか言ってくれないとさぁ・・・照れちゃうじゃんか」
「ごめん」
俺が照れていると、先に進んでいた南ちゃんが
「ほら二人とも、何やってるの?早くいくわよ!」
と言いながら手招きしている。
うん可愛い。招き猫ならぬ招き南ちゃんは、多分相当ご利益がありそうだ。
俺たちは最後に、売店で記念のストラップとお見上げを買ってから、車へと向かった。
「それじゃあ出発するよ」
「お願いね、南ちゃん」
「よろしく南姉さん」
「はーい」
俺と東子ちゃんの返事を聞くと、南ちゃんは車を走らせる。
こうして、波乱だったデートは終わりとなった。
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これにて第四章の終了となります。
ついに判明した京の過去と、新たに登場した幼馴染の楓。そして、恋愛に関して真剣に考えるようになった京は、どのような答えを出すのか?これからに期待!!
次回は間話をいくつか投稿した後、第五章の方へと入っていきますのでよろしくお願いします。
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