第37話 二人のリコールとは?~差し出す手紙と差し出される手紙~
「だから落ち着けよ! 【アンダリエルさんに託す二人のノルマ】が達成できたら
「【ヴァンデリアへの謝罪】と【カムエンペの長の
「具体的に何日ですか!? まさか【ディネルース様やエイル様、さらには長も引き連れて、我々だけ置き去り】なんてこと、無いですよね!?」
エセ双子は必死になっていた。
とうとう里への返却を宣言されてしまった二人。
今や──というよりはリコール関連に関しては常に冗談で済まない。
しかし、冗談で済まないのは今回の件も
なにせ、下手をするとマーメイド絶滅まで宣言されたのだ。
彼的には、里で少し頭を
当初はお仕置きも
黙って返却だけすると──それはそれで精神を
仕方なく、セージは
最低限の
「いやさすがに具体的な日数の
「はぃ。そこは
「ヴァンデリア滅亡はともかく、【ポロトコタム】へは近くまで来て
「あとさっきも言っただろ? 各種族のハイエルフから招待を受けた代わりに俺の村を案内はするけど、フォレストエルフと違って他の種族は長がいないんだから。引き継ぎも無しに長期間も
「それはそうなんですけどぉ……」
「そのまま捨てられないか心配で……」
「ああもうわかったよ! ほら! 本当はエアルウィンさんにお願いするつもりだった、【カムエンペ】への手紙! コレもう二人に預けとくから! これに【二人が
ずっと泣きそうな顔だったエルフ二人。
だがそれを聞き、いくらか
すぐにキラキラした瞳へと変わる。
「な、なんと! 王から
「我々も中身を拝見してもいいのですか!?」
「なんで二人が中身を見るつもりなんだよ!? お前ら
封蝋。
語るまでもないが、手紙に対する封の証。
要は、届ける前に開かれてないかの証拠である。
それと、出す側の立場によっては家紋を
「!? 絶っっっ対に見ませんので!!」
「ぜぜぜ絶縁!? 恐ろしいことをおっしゃらないでください!!」
そして【絶縁】という新たな単語。
二人はその言葉の
普通は──もはや、普通など意味のない言葉なのかもしれない。
世間において、男を振り回すのは美少女側なケースが多いハズである。
いわゆる美少女特権、とでも言ってしまえば身も蓋もないが。
「しかし──【二人以外のハイエルフを連れて帰宅】か。ふむ……」
「セージ様ッ!? お待ちを!!」
「そんな魅力的な提案みたいに検討なさらないでください!!」
「いや、ちょっと考えただけだって。さっきも事情は言ったけど、本当にそんなつもりはないよ。ただ何というか……個性こそあれど、外見が美人なのはハイエルフ全員
「残念!? いま残念っておっしゃいました!? 我々、仮にも王族ですよ!? これでも高貴な立場なんです!!」
「こう見えて! カムエンペに戻れば『姫様姫様』ってチヤホヤしてくれるんですよ!?」
「それはあくまで立場上だろ。だから、外見や
セージの言うことは
王の立場で
いや、侵略国ですら王が先陣を切るケースは少ないのかもしれない。
「外見や肩書きでなく中身……っ!? これは──エルフィ!!」
「ええ!! いま、気づきました! もしや、私たち──【普通に美人っぽく
「ああ、改めて二人がアホだと認識したわ。それ、今さら言う? おかしい……他の人の証言だと、『
「王よ! いまは太陽の話などしておりません! そんな事はどうでもよいのです!!」
「我々が子どもを無事に産めるかどうかの
「子ども!? ちょっと待てよ! まだ始まってすらないのに、そんなこと言われても! 仮に順調だとしても、君ら何段階くらいすっ飛ばしてんの!?」
「すっ飛ばすと申しますか──」
「王の
「まだ
「あぁあっ!? エルフィ! なんてことを!」
「アイナこそ! 発言の順番が違ったら同じことを申し上げてたでしょう!?」
とうとう発言の順番という配役にすら
とはいえ、すでにセージも【エセ双子】という扱いをしている。
今さらどころか、とっくに双子的なメッキは
「あ、あの~……」
そして今回、当事者であるハズのエアルウィン。
なのだが、エセ双子の勢いに押され、存在感が薄れてる。
「あっ、エアルウィンさんスイマセン。決して、ないがしろにするつもりでは」
「あ、いえ~。そういうことではなくてですね~、陛下にコレをお渡ししようと~」
彼女は三人で騒いでいたことを気にしていたわけではないらしい。
そして、その
その様子を見たセージは──
『はっ!? この人も【胸の谷間】から取り出さなかった!? アンダリエルさんといい──そういう決まりでもあんの!? そろそろ箱の大きさについてツッコみを──いや待て! スルー……スルーだ俺!!』
アンダリエルの時と同じである。
セージは頭を
「これ、アレですよね。フォレストエルフの時と同じやつ。ただ……単に色が青いだけで、デザインが一緒というか」
内心など一切
戦闘力ではないナニカが確実に上昇している。
「はい~、アンダリエル殿のものと同じ~──セイヤ様のお仲間である、チフユ様からのものですね~」
こうして──エセ双子へフォレストエルフ
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