7ページ
ノーラの元のマスターも、
『いかにしてより強力なゴーレムを生み出すか?』
ってのにのめり込んでる<マッド>だったな。で、そいつの<最高傑作>がノーラだった。だが、ノーラを生み出すまでの<試作品>が野放しになってて、山を丸ごと一つ占拠してた。
それを知らずにのこのこ入り込んじまった俺の前に、いきなり、
<魔獣をベースにしたゴーレム>
が現れやがって。頭頂高十メートルくらいの、ミノタウロスっぽい奴だった。
俺は<不死者>ではあるものの、魔力も体力も一般人よりはちょっと強い程度でよ。精々、十人くらいの盗賊を一人で片付けるのが関の山でな。
「くそったれがーっ!!」
手持ちの武器、剣やナイフやモーニングスターや爆弾でなんとかしようとしたが全く歯が立たず、<ミノタウロスっぽい魔獣をベースにしたゴーレム>の爪で薙ぎ払われて上半身と下半身がおさらばしたところに、ノーラが現れた。
別に俺を守ろうとしてくれたわけじゃねえ。
「なんですかあなたは? なんでこんなところにいるんですか?」
最初はものすげえ冷たい目でそんな風に訊いてきやがった。ノーラに実戦経験を積ませるために、それまでの試作品のゴーレムを放し飼いにしてやがったんだな。
でも、試作品のゴーレムと邂逅したならノーラはただそれを始末するだけだ。
「お、おい! あぶねーぞ!!」
さすがに一見したら十代半ばくらいの少女にしか見えなかったノーラが<ミノタウロスっぽい魔獣をベースにしたゴーレム>の前に立ちはだかったもんだから、俺もそう声を上げちまった。
なのにノーラは、
「グオオオオオオオーッッ!!」
と吠えながら自分目掛けて振り下ろされた拳を、片手で受け止めてみせて。
「なあっ!?」
こん時は俺もまだ世間をそんなに知らなくてウブだったし、さすがに驚いたよ。今じゃ、
『ノーラの体を構成する魔力が魔法障壁そのものにもなってて、彼女の体を強化してる』
ってのは分かってるけどな。で、俺の目の前で、ノーラは、<ミノタウロスっぽい魔獣をベースにしたゴーレム>の手を掴んで振り回し、投げ飛ばしてみせた。
一方、俺の方も、腕だけで地面を走って下半身のところまで行ってすぐに再生して。
俺がそうしてる間にも、ノーラは、立ち上がった<ミノタウロスっぽい魔獣をベースにしたゴーレム>足にローキックをかまして転倒させ、倒れてきた顔面に渾身の右ストレートをぶち込んでた。
だけどさすがにそれだけじゃ片付かなくて、追撃の連打を食らわしてたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます