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ノーラの元のマスターも、


『いかにしてより強力なゴーレムを生み出すか?』


ってのにのめり込んでる<マッド>だったな。で、そいつの<最高傑作>がノーラだった。だが、ノーラを生み出すまでの<試作品>が野放しになってて、山を丸ごと一つ占拠してた。


それを知らずにのこのこ入り込んじまった俺の前に、いきなり、


<魔獣をベースにしたゴーレム>


が現れやがって。頭頂高十メートルくらいの、ミノタウロスっぽい奴だった。


俺は<不死者>ではあるものの、魔力も体力も一般人よりはちょっと強い程度でよ。精々、十人くらいの盗賊を一人で片付けるのが関の山でな。


「くそったれがーっ!!」


手持ちの武器、剣やナイフやモーニングスターや爆弾でなんとかしようとしたが全く歯が立たず、<ミノタウロスっぽい魔獣をベースにしたゴーレム>の爪で薙ぎ払われて上半身と下半身がおさらばしたところに、ノーラが現れた。


別に俺を守ろうとしてくれたわけじゃねえ。


「なんですかあなたは? なんでこんなところにいるんですか?」


最初はものすげえ冷たい目でそんな風に訊いてきやがった。ノーラに実戦経験を積ませるために、それまでの試作品のゴーレムを放し飼いにしてやがったんだな。


でも、試作品のゴーレムと邂逅したならノーラはただそれを始末するだけだ。


「お、おい! あぶねーぞ!!」


さすがに一見したら十代半ばくらいの少女にしか見えなかったノーラが<ミノタウロスっぽい魔獣をベースにしたゴーレム>の前に立ちはだかったもんだから、俺もそう声を上げちまった。


なのにノーラは、


「グオオオオオオオーッッ!!」


と吠えながら自分目掛けて振り下ろされた拳を、片手で受け止めてみせて。


「なあっ!?」


こん時は俺もまだ世間をそんなに知らなくてウブだったし、さすがに驚いたよ。今じゃ、


『ノーラの体を構成する魔力が魔法障壁そのものにもなってて、彼女の体を強化してる』


ってのは分かってるけどな。で、俺の目の前で、ノーラは、<ミノタウロスっぽい魔獣をベースにしたゴーレム>の手を掴んで振り回し、投げ飛ばしてみせた。


一方、俺の方も、腕だけで地面を走って下半身のところまで行ってすぐに再生して。


俺がそうしてる間にも、ノーラは、立ち上がった<ミノタウロスっぽい魔獣をベースにしたゴーレム>足にローキックをかまして転倒させ、倒れてきた顔面に渾身の右ストレートをぶち込んでた。


だけどさすがにそれだけじゃ片付かなくて、追撃の連打を食らわしてたのだった。


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