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戦略核並みの超火力魔法自体、いくつもあって、それを編み出した連中が魔王ドレーアを倒そうと挑みかかった。それこそ、文献にあるだけでも千人レベルで。なのに一人としてドレーアを倒すことに成功した奴はいねえ。魔王が今も存在してるのがその証拠だ。
つまり、地球の熱核兵器を用いても魔王ドレーアは倒せない。話によると、ドレーアは自分よりレベルが下の力の一切合切を無効化することができるらしい。それは翻って、魔王自身が戦略核以上の力を持っているということだ。
確かに、リョウが実際に<ゲッ〇ー線>をエネルギーとして使えるならなるほど熱核兵器も裸足で逃げだすようなトンデモパワーを発揮もできるんだろう。しかし、この世界には魔法や魔力はあっても、<ゲッ〇ー線>みたいなそれこそトンデモパワーが確認されたって話は聞いたこともねえ。
この世界は、文献で確認できる分だけでも文明ができてから軽く二万年以上経ってるらしい。しかもここの人間は、基本的に地球人とは比べ物にならないくらいタフだ。たぶん、日本でならそれこそ歴史に残るレベルの凶悪犯だろうが、ヘタすりゃ幼児にさえ勝てないだろう。普通の主婦でも、キレりゃフライパンくらい素手で丸めちまうぞ?
そんな連中が一万年かかって倒せねえ奴を、リョウが倒す?
『ヘソが茶を沸かす』
ってなあこういうのを言うんだろうな。
こいつの師匠とやらも、何を思ってそんなことを吹き込んだんだか……
「お前の師匠、最後になんて言い残したんだ?」
恐る恐る問い掛けてみると、リョウは、
「なんか、緑色の光に包まれながら、『そうか…魔法とは……命とは……進化とは……』とか言いながら消えてったな」
「ガチモンじゃねえか……」
それこそ頭を抱えることしかできなくて、
ドワォ!!
って感じだよ。てか、それのどこに<魔法少女>要素があるんだ……? と思いつつ、
「で、お前のそのカッコは誰の影響だ……?」
と訊いたら、
「師匠の奥さんがあたしのために作ってくれた」
「って、結婚してたのかよお前の師匠!?」
ここまでの印象でまったくその発想はなかった。だから思わず叫んじまった。
ゲッ〇ー線に頭を汚染され尽くしたダンナに、魔法少女オタの女房って……
最狂のカップルだな……
「ちなみに奥さんは、師匠とケンカして出て行っちまった」
「ああ、さいですか……」
でも、腹が膨れて自分の身の上を話したら気が抜けたのか、リョウはその場で横になって眠っちまった。
『……寝顔だけ見てると、普通の女の子なんだがなあ……』
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