第41話 親子の未来


親子に席を外してもらって、今度は3人で今後のことについて話した。


「小瓶には毒が入っていて、水には解毒剤が入っていて解熱したと考えます。

透明な解毒剤を水に混ぜれば、殿下とエドワードにはただの水に見えます。」


「エドワード様と僕の前で、解毒できる水をエミリーに私のはアダムス司祭でした。

司祭が黒幕と見て間違い無いでしょう。」


今回の事件で黒幕も判明した。


「殿下、今後どうされるおつもりですか?

司祭を断罪されるのならば、私と息子も証言致しましょう。」


僕たちの証言があれば立派な証拠となる。


「今後のことについては、父相談しようと思います。

この国の教会のトップを断罪する権限は王である父が持っていますから。

エミリーの今後についても決まると思います。」


司祭の処遇は陛下のお心のままになるが、国外追放は確実だろう。

エミリーはどこまで知っているかで罪の重さが決まりそうだ。


「まだ終わっていませんし、謎も残っていますがお二人のおかけで解決しそうです。

フェイン伯爵、エドワード様、本当にありがとうございました。

親子のこともよろしくお願い致します。」


殿下が僕たちに頭を下げる。


「殿下、頭を上げてください。

アンは私たちの大切な娘であり、妹です。

我々はアンのために当然の行動をしたまでですから。

娘を大切に思い、守ってくださり、ありがとうございます。」


父は殿下よりも深く頭を下げた。

僕も同じくらい深く、深く頭を下げた。


「アンのことは今後も一生をかけて僕が守っていきます。

もう二度と悲しませたりしません。

絶対に幸せにします!!!」


僕は頭を下げながら唇を噛む。

アンを幸せにするのはこの僕だ!!!!!

と、叫びそうになるのを堪えた。

察した父が僕の足を思いっきりつねって協力してくれていた。




「今日から庭師として働いてくれるジュリアと、息子のレオだ。

屋敷の皆に紹介してほしい。」


屋敷に帰るとすぐにオリバーにジュリアとレオを紹介した。


「承知致しました。

ご主人様の執事、オリバーと申します。

わからないことがあれば私にお尋ねください。」


この屋敷の使用人たちはオリバーがまとめてくれている。


「よろしくお願いします!!!」


ジュリアが頭を下げると、レオも真似して頭を下げた。


「オリバー、明日はジュリアの引っ越しを手伝ってもらえるかな?

王城からそのまま連れてきてしまったんだ。

今夜の着替えも用意してあげてくれ。

レオにはエドワードが小さい頃着ていた服がちょうどいいだろう。」


さすがに慣れている。

父はよく人を拾う。

使用人はほとんどが父が引き取った人だ。

“人拾い伯爵“と言われているのを聞いたことがある。


「承知致しました。

お二人を部屋へ案内しますので、失礼致します。」


オリバーが二人を連れて父の部屋を後にした。


「エドワード、全てが終わるまで教会の付き添いは続けてくれ。

陛下から要請があれば、共に王城へと向かおう。

今日はもう休め。」


「はい、失礼します。」




もうすぐ、全てが終わる。

これでアンには平穏な日々が訪れる。

二度と悲しい思いもしなくて済む。

良かった、本当に良かった。




その夜、夢を見た。

女神様が出てくる夢だった。


「彼女を救ってあげてね。

目印があるからわかるでしょう?」


それだけ言うと女神様は消えていった。



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