【17】 万能ヒール

「まいどあり」

「ありがとー! カイト、あんたを少し見直したわ。だってこれってさ、いろんな人たちを救えると思えない? お金が必要な人は世の中にたくさんいるもの」


 そうソレイユに言われ、俺は気づいた。


 確かに……


 世界には星の数ほどの冒険者がいる。その中には貧窮ひんきゅうしている者もいるだろう。どうしようもなくお金が必要なヤツはいる。今回のソレイユみたいに。


 逆もしかりだ。


 上を目指したくて、なかなかレベルの上がらない冒険者もいるだろう。金のある者は、俺を頼りレベルを買い取ればいい。それで楽々最強に近づける。で、俺は稼ぎまくれるし。



 そういった人たちに手を差し伸べ、助ける。


 Win-Winじゃなかろうか。



「ソレイユ、ありがとな。大切なことを気づかせてもらった」

「ううん、あたしは何もしてないわ。じゃ、ルナもありがとね」

「はい、ソレイユ。またいらして下さい」


「もちろんよ。なにかあったら頼るわ。じゃあね~!」


 手をブンブン振って、ソレイユは元気よく店を出て行った。



「元気なヤツだなぁ」

「ええ、ソレイユはいつも明るくて良い子です。……あ、そうだ、カイト様」

「ん」

「おケガ、治療ちりょうしますね」

「え……」


 俺のり傷に触れるルナ。

 すると、


「ヒール」


 ふわっと暖かい感じがすると、傷口が完治かんちした。いや、それどころか体の疲れとか無くなった。身は軽くなり、ストレスさえも吹き飛んだ。


 こ、こんな一瞬で?

 あれは本当に『ヒール』だったのか?


「ルナ……癒術師だったのか。プリースト?」

「いいえ、わたしはただのメイド。純粋にあなた様をお支えしたいと願う女です。それではダメですか?」

「……いや、分かった。共に頑張っていこう」

「はい♪」

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