阿鼻叫喚
扉を開けて外に出ると、そこは地獄だった。 多種多様な怪異共が、人を喰らっていたのだ。 血みどろになったアパートを、私たちは走り脱出する。
「な、何だよ…… これ、現実か?」
「残念だが夢ではなさそうだ。 血の匂いが現実的過ぎる」
アパートから出た私たちを出迎えたのは、腹に人間の頭をいくつもぶら下げた蜘蛛だった。 顔の部分には呪符、怪異ハンターも居たのだろう。
ギィィィッ ギィィィッ ギィィィッ 蜘蛛が鳴きながら追いかけて来る。
「走れ! 柳川! 走れないんだったらおぶってやる!」
「大丈夫だ! なんとか走れる! flyFさんから怪異庁の場所が来てるからそこに行くぞ!」
走る 人が喰われている光景を横目に 走る 血塗れの街を 何故今日暴れ出したんだ? 神器のせいか? 今は考えても仕方ない、まずは生き残ることだ!
路地裏ではゾンビ、公園ではナイフを持った白い仮面の大男、言い表せない形状の怪異、殺戮は止まらない。 餓鬼が私に追いつき、爪を振るう、神器は既に手に抱えられていた。 草薙剣は、輝いている。
「これでも喰らえ! クソ共が!」
剣を振ると餓鬼の頭は消え去り、塵となった。 怪異庁へ急ぐ、ビルが見えてきた。
「あれだ! 山下! 入るぞ!」
「おう! 行くぜ!」
エントランスに入る。 5人の死体、一匹の怪異の死骸が落ちていた。 エレベーターは止まっていない、急いでメールの指定階を押す。
『怪異ハンターの方々は、今すぐに出動してください』 機械音声が鳴る。 声に応える者はいない。
チーン
エレベーターが開いた。 祭壇のようなものには、バラバラになった巫女服姿の女性、囲うように立つのは四つ足の怪異たち。
「「お久しぶりですね、山下さん。 再開を祝う時間はないですよ。 神器の力を持つ者も一緒ですね?」」
「おい、知り合いなのか?」
「ちょっとした因縁があってね、柳川、神器を貸してくれ。 恩人の仇なんだ」
山下が私の手から草薙剣を奪うように取り、怪異へ斬りかかった。
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