ハンドレッドヘッドシャーク
「神器……ですか?」
耳慣れない言葉に私は首を傾げる。
「草薙剣、知ってるだろ? 神器を持つものは、怪異を根源ごと消滅させることが出来るんだ。 もちろん怪異達もそれを知っている。 最近奇妙なことばかり起きただろ?」
言われてみれば、草薙剣を使った時以降から、ありえない頻度で怪異に出会っている。
「君は神器を捨てたい、我々は神器を使い、怪異を消滅させたい。 何が言いたいか、分かるね?」
「捨てられるんだったらそうしたいんですが… 見てもらうのが一番だと思います。 一週間、見守っててください、そうすれば理解出来るはずです」
捨てる捨てないではなく、そもそも今手元にないのだからしょうがない。 見てもらうのが一番だ。
「どうやら訳ありのようだな、いいだろう、手荒な真似は余りしたくない。 一週間だな?」
「はい、分かってもらえたようで何よりです」
物分かりのいい人で良かった。
会話に入れずに沈んだ顔をしている山下に、声をかけてシャキッとさせた。
「了解した。 今日はこれで帰ることに……ん?」
部屋にあったz級のDVDが怪しげに揺れて、寄せ集まり、サメの形を取った。
「「どウも、ニンげんノミナさん。 ハンドレッドヘッドシャークです」」
「「私をコノDVDカらダしてクれたのはアリガたいです。 しかし、アナタがたは餌、ワカリアエない。 残念です、イタダキます?」」
部屋の景色が変わり、深海へと沈められた。
flyFさんが巫女服姿に変身して、呪符を構えている。 服装のことは後で詳しく聞かせて貰おう。
山下は服を脱ぎ、鍛えられた腹筋を出しながらファイティングポーズを取っている。 変態みたいだ。
ハンドレッドヘッドシャークがハンドレッドトゥースを使い、ハンドレッドな攻撃を仕掛ける。 flyFさんが噛みつきのタイミングで、呪符を口内へ叩きつけ、ハンドレッドヘッドシャークを爆散させた。
ハンドレッドヘッドシャークはすぐに再生を始める。
「しぶとい奴だ。 柳川! 神器のお披露目チャンスだ! 派手に決めろ!!」
山下がz級ホラーのDVDを私に投げ渡す。 あの状況でよく持って来れたな。
「ありがたい! 来てみろクソサメ! このDVDに宿し製作者の怨念よ、力を貸してくれぇ!」
DVDが光り、草薙剣と化した。
サメが高速接近する。 マッハ100を超えた。
私は草薙剣を横に構え、サメを待ち構える。
マッハ200、接近、私は剣を振り、サメを切り裂いた。
「お前はZ級以下だ。 クソサメ野郎」
部屋が再び元へ戻る。 flyFさんと山下は、ガッツポーズをしていた。 意外とノリが良い人らしい。
草薙剣は既に消えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます