御曹司のお料理スキル養成生活
たっくす憂斗
-プロローグ- どうしてこうなった?
諺の意味を知って何になるというのか。
日常的にも使用頻度は少ないし、現に意味を知っても別にそうは思わないなんて人もざらだ。
いつもの会話に諺ばっか入れてくる人とか見てどうよ? 単純に残念な人として見られるのがオチだ。
それに、早起きは
これらは、人生論について全くもってそうは思わない人がいること間違いなしだ。
そして、
その根拠として、何らかの原因には必ず未来において何らかの結果が結びついてくる、という意味の因果応報。
このように、数ある諺の中には別の諺が対立するのも存在する。
他の例にも、
本当に、諺だけでは自分の人生にとって、何が正解なのか分からない。
さて、そんな前置きはともかく、俺こと
世界を股にかける大手総合商社、結城商事の創業者である結城
中でも祖父の結城
祖父のおかげで結城商事の売り上げが、莫大に黒字へ上ったのも事実だ。
そんな恵まれた環境もあってか俺は文武両道を目指すべく、勉学にとことん励み、スポーツにも惜しみなく情熱を注ぎこんできた。
学業ではたまに学年トップを獲得したり、部活ではエースに
1年後には主将としてチームの皆を引き抜いていく、そんな姿を
だがな、今この現状は予想の斜め上を行き過ぎている。全く想像できなかった。
上の諺を借りると、まさしく一寸先は闇だ。
何故なら放課後の時間、俺は今、料理をしているからだ。
時刻は午後5時頃。
俺が今、所属している部は料理部。
エースとして活躍している自分の姿は、どっかへ消えてしまった。
チームの主将になるという将来像は、
ひらっひらの赤いギンガムチェックのエプロンをつけて俺は何をやっているのだろうか?
と、
「あなたねえ、そんな使い方したら手切るわよ」
「は、はい」
俺に向かって痛切な言葉を吐き出しているのは、
「ユーキ…あたしゃこれから心配でたまらないよ」
「ご最もです」
反対に、優しく言ってくれるが今後において
俺がおぼつかない様子で包丁を持ち、具材を切っているのを見て、見事に
その二人の姿を見て
家庭科室で今日も俺は、女子部員二人に
更に女子二人の落胆した言葉が続いていく。
「あなた、よくそんなんで大会に挑戦すると言ったわね」
「ま…これから頑張ろ」
「そ、そうですね」
「せ、精一杯頑張ります…」
「ええ、頼んだわよ。けど無理は禁物よ」
「そーそー、あまり思いつめすぎないでね」
ムチと
御曹司であるが故、自分の身の回りのことは全て専属メイドに任せっきりだった。
そのため俺は料理だけでなく、家事全般のスキルがゼロなのである。
そんな俺が、高校生主体の料理大会に挑もうとしているのだ。
だが俺が苦手な分野にまで打ち込んで実績を取ろうと決心したのには、確固たる理由があった。
何故俺が、こんなわざわざ嫌いなことに挑もうと決めたのか。
それは、新学期が始まる始業式の1週間前のことから始まる。
あと、俺のこの奇妙な人生を皮肉ったような新しい諺、誰か生み出してくれませんか?
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