第24話
ゴブリンエンペラーとの戦闘。
それにより得られた恩恵と被害は大きなものだった。
まず被害だが、この避難所内での死亡者数は3名と少なかった。
だがここの避難所以外の避難所の被害が大きかった。
当然、○○市内の避難所はここだけではない。
ここ以外にも避難所があるのだ。
ゴブリンの巣があったのはここからそこそこ距離はある。
ここに来るまでの道順にあった全ての避難所は襲われ、壊滅した。
男子供は皆殺しにされ、女はいずれもその場で孕み袋として放置され、ゴブリンにいいようにされていた。
僕が助けに行ったときにはもう手遅れだった。
被害としてはこれくらいだ。
孕み袋とされていた女の人たちの記憶は残しておくものの、その記憶に何の感情も抱けないようにしておいた。
どうせ記憶を残していても大体察してしまえるのだ。
女だけ生かされ、大量のゴブリンがいるとなっては。
女がどう使われたかなんて一目瞭然だ。
残しておいてもいいだろう。それより大事なのは感情だ。
被害と被害者に関してはこんな感じだ。
次に恩恵。
それはゴブリンが作っていた巣が移住区として最適だったこと。
出入り口は一つしかないので守りやすく、部屋数も圧倒的に多く。一人一部屋上げても余るほどだった。
ここを僕の魔法で人間に最適なものへと変えればなに不自由なく暮らせるだろう。
魔物たちの蛮行によってほとんどの家は壊されてしまっているからな。
唯一無傷なのは僕たちの家だ。
まぁ僕たちの家だけ無事だったら目立つので僕自ら破壊したけど。
それともう一つ。
腐るほどいたゴブリンの総数が減ったので外出しやすくなったことだ。
今でもちらほら魔物は見るが、なんとか隠れてやり過ごせるレベル。
明日香なら一人でも外出できるだろう。
このおかげで○○市内の生存者全員とコンタクトをとることができた。
恩恵と被害はこんなもの。
そして最後。
最大にして最悪の問題点が一つあった。
それは、○○市外と一切連絡がとれないことだ。
通信機器などによる連絡は出来ず、○○市内を大きく囲むように果てなき巨大な壁が立っていて○○市外に出ることが出来ない。
自衛隊のヘリや僕でも乗り越えることが出来なかった。
空へ空へ昇っていても、ちっとも近づかないのだ。
何かしらの魔法だろう。
少なくとも自衛隊の人たちは○○市外から派遣されたわけで元からそうだったわけではないらしい。
悪寒の正体はこれだろうか?
原因がわかるまで気は抜けないし、明日香を一人で行動させることも出来ないだろう。
何が起きても不思議ではなかった。
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