第1話
「ただいま!86回目の地球!」
僕は誰もいない部屋で一人叫ぶ。
別に僕が痛い奴だからというわけではないよ?
約二年ぶりの地球なのだテンションが上がるのも許してほしい。
え?なんで地球が二年ぶりなのか?だって。
うんうん。そうだよね。まぁそこが気になっちゃうよね。
あれは遡ること一体どれくらいだろうか?
まぁいい。
まずは誕生から語るとしよう。
僕の名前は間宮 零。どこにでもいる(笑)高校一年生だ!
そんな僕が生まれた時には死産だと言われた。
脈もなく、呼吸もしていなかった。
誰もが諦めたその時、僕は一人でに呼吸を開始しギリギリのところで生をつないだ。
そんな僕から死の影はくっついて離れない。
別に病弱だったわけではない。
まぁ簡潔に言うと、僕は世紀の不幸体質として生を受けたのだ。
僕が飛行機に乗ればハイジャック、僕がバスに乗ればバスジャック、僕が車に乗れば交通事故。
僕が道を歩けば10分に一度は何かが僕の命を奪うべく僕に向けて飛んでくる。
僕の母校では何度も不審者が侵入した。
小中どちらも。
まだ高校ではないが、いつ不審者が高校に来るか……。
そして僕はこの人生で一体何度犯罪に巻き込まれたことか。
そんな不幸体質だった僕は奇跡的に14年も生きさせてもらった。
しかし、とうとうそんな僕にも最期がやってきた。
ある日、僕は安心安全クオリティのトラックにはねられ、死亡。
そして、異世界転移を果たした。
そこで言われるのはお決まりの魔王退治。
王様に頼まれ、魔王退治することになってしまった。
この長い長い苦労の旅の話はまた今度。
とりあえず重要なのは僕の不幸体質は異世界に行っても変わらなかったこと、
そして、現実世界に戻ってこれたということ。
現実世界に戻るトリガーは死ぬこと。
現実世界で死ねば異世界に行き、異世界で死ねば現実世界に戻ってくるのだ。
そして幾度も死に続けてようやく魔王を倒すことに成功したのだ!
ひゃっふー!
魔王を倒した瞬間に魔王城が崩れて死んだけどな!
しくしく。
さて、一人芝居はこの辺にしておこうか。
悲しくなってくる。
というか、僕のパパンとママンはどこにいるのだろうか?
僕のお母さんはバリバリのキャリアウーマンで、家にはいないことが多いのだが、売れない小説家でほぼ専業主夫のお父さんは家にいると思うんだが……。
この家に人の気配がない。
買い物かな?
僕はそう結論づけ、何も考えずテレビのリモコンを手に取る。
二年ぶりのテレビ、テンションが上がらないわけがない。
僕はウキウキのままテレビをつける。
「えー、現在未確認生物が○○市で暴れています。○○市内の市民は至急非難をお願いします」
テレビから流れてきたのはそんな言葉だった。
○○市ってここじゃねぇか!
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