第12話 単独戦闘
一ヶ月後、俺は【
驚いたことに、カミラさんは【
せっかくいただいた好意なので、俺は仮の団員としてしばらく【
仮とついているのは、パーティーを離れた者は三ヶ月間別パーティーに所属できない、という冒険者ギルドの規則によるものだ。
そして結果、俺はなんとか居場所を作ることに成功していた。していると思いたい。
基本のポジションは前衛と後衛の間で、状況に応じて
訓練のときはカミラさんに連れて行かれて、
よくわからないが、それが効果的らしい。
そして給料がやたらめったら高い。
【
さすが最前線のパーティーってところだけど、それ以上のみなさんの厚意がありがたい。
こんな俺でもちゃんと使えるように、見出してくれているのだ。
俺を評価してくれる人もいるんだな、と最近はちょっと思えるようになってきた。
同時に俺もそこまで捨てたもんじゃないな、とも。
もちろん【
*
「ヴィム少年、君の戦闘能力を見せてくれないか」
何回目かの
「え、でも、戦闘は何回も」
「君単体の、だ。付与術師は自身に
「その、一応、【
「そうなのか?」
「いえ、でも、弱いですよ?」
俺、すぐ死んじゃいますよ?
ご迷惑おかけしますよ?
「いざというときは死なないように補助するさ。それに帰路もあとわずかで、君の仕事も概ね終わっている。次のモンスターが最後の大物だろう」
「はあ、でも、その、失礼ですが、あまり意味があるとは」
「意図があってね」
「……その、と言いますと」
「君は十分に頼もしいが、現在の運用の仕方では結構気を使うんだ。一人である程度戦えるとなると、もうちょっと雑に扱えるだろう?」
「……なるほど」
「次の
現状「気を使う」なんて言われると、断りにくい。
しかもちょっと過剰気味に丁重に扱ってくれているのは俺も感じているところだ。
半ば非戦闘員みたいな感じだし。そりゃやりにくさもある。
『大型の
全体伝達でジーモンさんの報告が入る。
大型
「うん、予想通りのお誂え向きだな。ヴィム少年、どうだ。油断するわけじゃないが、
「……頑張ります」
「よく言った!」
もしかしてカミラさん、俺の扱いわかってきてる?
『総員傾注!戦力確認の為、ヴィム君が一人で行く!我々はカバーに回るぞ!』
*
角ばった人型の土塊が、成人男性の二倍ほどの大きさで俺の前に立ちはだかっている。
顔に当たる部分には目もなければ耳っぽい形を造ろうとした気配もない。振動で情報を集めている、というのが主流な学説だ。
『ヴィム』
ハイデマリーから個人伝達が来た。
『私たちがついてるけど、油断しないでね』
そこは安心しろ、じゃないのかぁ……。
でも、こうやって気を引き締めてくれるのが彼女らしいと言えば彼女らしいか。
チラリと後ろを見る。
みんなが見守ってくれている。恥は晒したくないな。
「と言ってもなぁ」
しかし正直勝算がまあほとんどない。
理屈は簡単、それは付与術師が少ないところ以、かつ半ば非戦闘員扱いされる理由そのものだ。
簡単に言えば、付与術師は素がめちゃくちゃ弱い。
職業を取得した人間は、まず肉体が変化して通常の人間の十倍ほどの力を得ることになる。
魔力の操作に寄ったり武器の扱いに寄ったりもするが、まあ概ね普通の人間が十人束になっても勝てないくらいだ。
その上で力の使い方を覚え、向上していく。カミラさんくらいになるとまさしく一騎当千の強さだろう。
対し、俺みたいな付与術師は職業を取得したところで素の力は普通の人よりちょっと強くなるくらいなのである。
術士本人が自分に
そう考えれば、最終的に辿り着く付与術師の運用方法は単純だ。
職業を取得している仲間に随時
そして、そもそもこの付与術はそもそもかなり不便かつ強化幅が小さい。
単純に筋肉の出力を上げると言っても、普通にやったら精々倍率は一.一倍やそこらが限界で、しかも普段と感覚が違うからろくすっぽ動けなくなる。
要求される調整がかなり細かい上に成果は少ない。
だから付与術師はほとんどいないのだ。
素も弱い癖にあまり役に立たないのである。
利点は精々、肉体の変化が少ないので職業取得直後に戦いやすいくらい。
手脚がカタカタと震え始めた。
おかしいな、ビビってるわけじゃないんだけど、なぜか大物を相手にするといつもこうなる。
いや、やっぱ弱虫なんだな、きっと。
うじうじ考えていても仕方がない。最悪後ろに任せるつもりで、全力を尽くすしかない。
腰に差した
「『
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