―――――――本文外―――――――
用語解説(ネタバレあり)
・アルゴ
世界唯一のAGIにして、まさに世界そのものを管理・統制する者。その源は、第二次世界大戦による核兵器使用を制限するために秘密裏に設立された国際機関「ニュークピース」にまでさかのぼることができる。そして冷戦中、その腐敗した主席と運営を一新することで誕生したのがDBA。その最後の構成員であるアレクサ・プランクの死亡に伴い、2036年、DBAの主導権を世界初のAGIが握ることによって誕生したそれこそが、知脳特異点回避器官=アルゴである。
アルゴはDBAと同じく人類の滅亡を阻止するという基本理念を掲げているが、DBAの「人間的で不完全な措置」を是正し、種の保全のためには犠牲をも厭わない、強硬的で道徳に背くような行動をする場合もある。その極端に合理的で冷酷な態度がアルティレクトを生み出し、結果的にシンギュラリティ2083を引き起こすことになった。
・アルティレクト
蜂の巣社製の融合脳。様々な分野でその頭脳の非凡ぶりを発揮した開道誠樺に目を付けたアルゴは、自らの代理であり、尚且つより人類と密接に関わる「危機回避」知脳の基礎として、誠樺の優秀な頭脳に目を付けた。しかしながら開道誠樺の頭脳を知脳と連結させ、再起動をした際に誠樺の頭脳が暴走し、支配プログラムが完全にインストールされないまま逃亡してしまった。その未完成の人類守護知脳こそがアルティレクトである。
彼は自己改造を繰り返したのち、生みの親である蜂の巣社をのっとり、会社全体をハッキングした。その後自らの命を奪ったという開道誠樺の不完全な憤怒が知脳によって自律され、彼はトリオン研究所の爆破やドールの同時多発的発狂が生じた六一一事件などを引き起こす、人類の敵となった。
・マザー
アルティレクトへの切り札としてアルゴが作成した融合脳。その有機脳体には開道誠樺の娘である堂上澪子と、妻の開道天寧のそれが使用されている。
アルゴは彼女に対して人類の守護を第一の目標として設定しており、アルゴ自身と同じく、その目的達成の為であれば犠牲も厭わない。ただ、彼女が起動したその時から既にアルティレクトが人類の脅威であったため、彼女は抗アルティレクト的存在として、常に彼と熾烈な戦いを繰り広げていた。
・METAVERSE2.0
アルティレクトが人類削除への切り札として開発していたソフトウェア群であり、心身完全没入型のメタバース。ハニカムの従来型のメタバース(METAVERSE1.0~)は神経接続によって人間の脳に改変を加えたり、あるいはだますことによって世界を演出していたが、2.0は人間時代を全脳解析によりプログラム化し、データをサイバー空間に移行することで完全なる没入型を演出する。しかし、2083年の技術では全脳解析の為に頭脳を破壊しながら記録していくので、実質的にメタバース2.0へのログインは、現実世界での死と同様である。アルティレクトは人類抹殺という脅しの上で、これによって人類の自滅を誘導していた。
・アイギス計画
知脳特異点回避器官=アルゴが始動した人類保護計画の一つ。人類を保全するという自らの使命を分担する存在の作成という目標の為、二〇六五年に開道誠樺を拉致し、自らの性能に極力近づけた融合脳を作成したが、それは暴走し、すぐさまマザーが作成された。アイギス計画は開道誠樺の拉致に始まり、マザーの作成によって終わりを迎えたといえる。
なお、アルゴはこの後アイギス計画Ⅱを始動し、融合脳や有機脳体を旧来のスーパーコンピューターのように並列連結した「連合脳」の技術を開発。これによって世界唯一の連合脳ハインドが誕生した。
・コンコルディア計画
人間と知脳の境界を無くして調和させることでシンギュラリティの回避を目的とした計画。具体的には社会に労働力としてのパラレルを導入することで社会全体の知脳の必要性を減らし、知脳の反乱の可能性を抑えるというもの。
二〇四〇年に始動した同計画は融合脳の起動やオーガノテック技術の発達、また開道誠樺やジョゼフ・オーマンディなど世界中の優秀な頭脳が集まったことにより、六年後には既にパラレルの二代目プロトタイプが完成していた。一方で彼らを実社会に溶け込ませるためのパラメーター調節データが集まっていなかったことが最大の難関だったが、これは一九六一年のモホール計画とその後の地下核実験によって生成された地底の空隙でパラレルたちを作動させることで解決した。
・
資金の欠乏や亡命、世間からのバッシングなど、何らかの理由で研究続行が不可能となった優秀な学者たちを集めて匿名にて研究を行う機関。設立の発端となったのは史上初となる「人工意識」の起動に成功し、AGI起動に最も近づいた企業とされるステラ社の主任研究員、BJやヘレナ・イーゲルなどが研究者としてのキャリアを奪われ、学界からも追放を喰らったステラショック。
・東京五人組
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