第22話
「ほっ!」
僕は受け身をとり、そしてすぐさま立ち上がる。
いきなり僕を襲ったモノの正体。
それはゴブリンエンペラーの死体から漏れ出る黒いモヤだった。
漏れ出る黒いモヤの量はどんどん増えていき、そして最終的には見たことある形へと落ち着く。
異形の化け物。
以前会った奴と同じように気配は一切なく、背丈も僕の三倍くらいで、足も手もないただの黒い物体。
だが、そこにはいくつもの顔が浮かんでいるということはなかった。
ただその代わりに黒いウネウネとした触手が無数に伸びていた。
どうしようもないまでの悪寒が僕をずっと蝕んでいた。
「……」
ぶるり!
異形の化け物の体が震え、触手の数は倍以上。
太さ、長さもともに増加し、無差別に振り回し始めた。
「やっべ!『燃えつきろ!』」
一言。
僕の一言ともに豪炎が吹き出し、異形の化け物を燃やし尽くさんばかりと襲いかかるが、何の効果も見られない。
むしろ、触手が炎を纏ったまま振り回されるため、事態を悪化させることにつながってしまった。
触手がすべてを破壊せんと暴れだす。
正門や壁を破壊していく。
「た、待避ー!」
自衛隊の人たちが一目散に逃げていく。
まぁ当然の反応だろう。
彼らにできることなんて微塵もない。
「零くん!」
明日香が僕に向かって叫ぶ。
「大丈夫!さっさと逃げて」
僕は明日香に怒鳴り返し、魔法を解除する。
これ以上燃やしていても何も意味はないだろう。
いや、別に何もこの化け物は炎を無効化するわけではないのだろう。
おそらくだが、魔法を無効化するのだろう。
「ふっ!」
僕は異形の化け物の触手を切り落としていく。
だが、どんどん新しい触手が生えてくるのできりがない。
本体を切りに行こうにも触手に阻まれどうしようもできない。
「あー!クソ!」
どんなに切っても切っても終わりが見えない。
僕は今まで発動させていなかった魔眼と未来予知を開放する。
こいつらは割といろんなモノが見えすぎてしまうのであまり使いたくない。
異形の化け物から溢れ出す異形の魔力の奔流に気持ち悪くなるも、魔眼と未来予知のおかげで触手がどう動くか、見えるようになる。
全ての一撃を最小限の行動で回避し、触手を切り落としていく。
無駄を。
無駄を削ぎ落とし、行動をどんどん効率化させていく。
もっともっともっともっと早く!
「フィナーレだ」
僕は神刀に大量に魔力を流し込み、一気に加速する。
障害物たる触手をすべて切り裂き、笑う。
そして、僕は異形の化け物の本体を一刀両断した。
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