第8話 オリエンテーションと部活
オリエンテーションは自然と時間が流れていく。
大体のことは高校のパンフレットを読んでいたため分かりきっている。
そんな退屈な集まりの中、隣の奴だけは何やらはしゃいでいるようだった。
「なぁ千慧〜、修学旅行どこ行きたい?海外もいいよな〜」
「……何か言った?ごめん、聞いてなかったわ」
前半の方、ぼーっとしてたからか何も入って来てなかった。
「聞いとけよ!?修学旅行の話だぞ!?」
んー、と千慧は前に表示されているスクリーンに目をやる。
まぁ、確かに修学旅行の話題だけどさ。
そこには歴年旅行先の写真や体験内容が記されている。
周りも、七桜と同じように修学旅行に目を輝かせているようだ。
「だってアレ、2年生になってからでしょ?」
「まじ!?俺らまだ行けないのか!?」
「普通に考えてそうじゃない?……バカなの?」
想像以上の七桜の驚き方についため息をついてしまう。
これ、入試前にもらったパンフレットに書いてあったはずなんだけど。
行事関係はほとんど載ってたはず。
「うぅー……、千慧が冷たいー」
「あーもう、次部活紹介なんだから黙って聞いとけ」
「あ、そうだった!何部にしようかな」
そう言って、七桜は静かに部活紹介に聞き入っていた。
こいつのこういった切り替えの速さというか単純さは、素直に羨ましいなと思うことがある。
何でも考え過ぎたりする自分に比べたら、どれほど生きやすいのだろう。
七桜は部活に対して楽しみを持っているけど、俺はそうでもない。
けど、1年生は強制的に入部させられるため、悩んでいる。
「新入生の皆さん、こんにちは。私たちは調理部です。火曜日と金曜日の週2で活動しています。料理よりもお菓子を中心に作っています。女子部員が多いですが男子部員も大歓迎なので、気になる人は見学に来てくださいね」
運動部の紹介は興味がなくて聞き流していたが、文化部の中でも調理部の紹介は何故かすんなりと耳に入ってきた。
週2なら先輩のところにも通えるし、案外やってみたら楽しいかもしれない。
ちょっと考えてみようかな。
「なー、千慧は何部にする?俺、迷ってるんだよね」
「調理部いいかもって思ってる」
「料理できんだー?すげーな。俺はバスケとサッカーで迷ってる」
「見学とか体験してみてから考えても良さそうじゃない?」
「それもそうかも」
七桜は納得したような表情で頷いた。
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