リョナラーの娘は最高の魔術師になりたい
トウフHUIS
一章 NTRの負の連鎖は終わる
第1話 婚約者がNTRされたから永遠に呪う
◇1◇
古くから続く血族の魔術師ロベルスキ家の遠い親戚でギリギリ末席に名を連ねることを許されたウィンスキー家は代々パッとしない経歴を重ね、これといって注目される機会がなかった。
ボンクラではなく天才でもなかったそれなりな、当主とそこそこな魔術師を多く輩出してきた時代だけは古い名家というのが多くの者たちの認識だ。
魔術には語霊を用いて超常を起こす呪文と、自然界に満ちる流れを変え力を起す術式がある。
魔術を見つけた8人の賢者のうち、現在血族として残っているのはうち6人で、呪文の賢者であるダビウス・ロベルスキと術式の賢者ピューク・シルビスは婚約関係にあった。
両者は幼馴染で婚約は生まれる前から両親親族たちによって決められていたが、本人達も満更ではなく順調にいけば結婚するはずだった。
ところが賢者の一人、未来視のへベックという男が、ピュークを唆しダビウスのあらぬ嫌な噂を吹き込み寝取ったごとにより、破局する。
未来を知るという力を使ってダビウスのありとあらゆる行動を完封しピュークを略奪したへベックだったが死後までは考えつかなかったようだ。
ダビウス・ロベルスキとピューク・シルビスは名家の生まれでいくらへベックが未来視という力を持とうともダビウスを完封しようとも、ピュークがへベックのほうを好きになろうとも本来なら認められるわけがなかった。
それは、へベックはどこの血ともわからぬ貧困の生まれであった為だ。
しかし、へベックが例外になれたのは、本来、未来視というような特別な力を持って生まれない限り行うことができなかった占いを、魔術を用いて擬似的に力の一端を再現したことにある。
へベックが生きた時代、魔術も素晴らしい力ではあったがそれ以上に占いが重視されていた。
占いの賢者になったへベックをなんとしても手に入れたいと考えていた家は多く、ピュークの実家であるシルビスもその一つだった。
その後二人はいい感じに結婚し子供にも恵まれた一方で、地の底に落とされた絶望感を覚えていた人物もいた。
ダビウス・ロベルスキである。
ダビウスはもっとも愛していたピュークに裏切られ、貧民出身のへベックに見下され、ロベルスキの本家には見捨てられ、賢者という称号を得てからは金と権力に擦り寄る愚か者ばかりが寄ってくるようになり、人間に絶望していた。
自らを嫌い世界を憎み、それ以上にピュークとへベックを憎んだ。
寄り付く愚かな女たちを全て受け入れ子供を産ませた。女達はダビウスを金蔓としか見ていなかったが、ダビウスもまた女たちを子供を産ませる道具程度にしか思っていなかった。
子供たちにも、英才教育という名の洗脳を行った。
へベックがダビウスを貶める為にピュークにあらぬ噂を吹き込んだように、ダリウスはへベックが如何に狡く嘘つきであるか、貧民が如何に低能なものであるか、そしてピュークがどれだけ愚かな女であるかと教え込んだ。
ダビウスは呪文の賢者を経て更に力を強めた魔術である呪いを生み出した。
強大な代償を必要な代わりに永続的に効果を発動できる呪いの虜になっていたダリウスはピュークとへベックの血を注ぐ一族に呪いをかけた。
へべックは男性であり生まれが生まれならばへベックの名前が残ったであろうが、貧民出身だった彼はピュークの家に嫁ぐ形で、シルビスの名前が後世に残るごとになった。
ロベルスキの子孫はダビウスの遺言に倣ってシルビスの一族を呪った。
シルビスも黙っているわけがなく、攻撃的な魔術を撃ち込みロベルスキに殴り込みをかけた。
酷い時はシルビスとロベルスキが絶滅すると危惧されるほどの間隔で暗殺の応酬に明け暮れ、より酷い時は捉えた人質を奴隷の如く扱い、最後には殺してトロフィーの如く剥製を飾りあった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます