第31話 宗一郎たちの力2
龍之介が呼び出したアウラは軍神アレス。
厄災級11位の戦いの神である。アレスはこと戦いにおいて右に出るものはいないとされており、高い戦闘力と智略を持っている。
そのアレスと契約している龍之介にも恩恵はしっかりとあり、贈り物を使うとどんな武器でも達人級の腕を振るうことが可能となったり、戦闘力が跳ね上がったりと色々と化け物的な能力をしている。
シンプルゆえに強い贈り物だ。
「ふむ、久方ぶりだな」
「おう! 久しぶり! 今度一緒に戦ってもらう時が来るから感覚を取り戻しとかねぇとなと思って呼ばせてもらった。大丈夫だったか?」
「問題ない。我も久しぶりに龍之介やその友達と会えて嬉しいよ」
召喚されたのは龍之介よりもさらに身長が高い大男だった。
伊達に神様をやっていないということもあって、ちゃんとイケメンである。確か嫁さんもいたはずだ。
多分俺たちのアウラの中だと良心ランキング上位に入る男であり、俺たちとも普通に接してくれる。
「そちらの女性は初めて見るな。友達か?」
「は、初めまして。出雲透です」
「あぁ、我は軍神アレス。気安くアレスと呼んでくれて構わない。それより、透も面白そうなアウラと契約しているようだな」
アレスは面白そうな笑みを浮かべながら透に向かってそういった。
確か、閻魔とアレスも知り合い同士だったはずだ。というか、俺たちのアウラ全員が閻魔となんらかの因縁を持っているはずだ。
そう考えると、透もなるべくして俺たちと知り合ったのかもしれない。
とそんな呑気なことを考えていると、続々とアウラが召喚されていった。
「みなさんお久しぶりです」
湊のアウラ、英霊ラプラス。
彼も厄災級22位の立派な化け物である。戦闘力はあまり高くないが、高い智略と未来を完璧に見通せる予知の力を持つ。
それに加え、魔法陣にも精通しており、主に後方支援を得意とするアウラだ。
「みなさん。お久しぶりです」
佳奈のアウラ、英霊ソロモン。
厄災級20位のアウラで彼は魔法戦闘の最先端を行く男だ。
常に新しい魔法を発明しており、近接戦に持ちこなければ軍神アレスともいい勝負をするほどである。
なんと言ってもソロモン固有の能力が厄介なのだが、それはまた今度説明することにする。
「久しぶりじゃな。琴葉、また胸が大きくなったかえ?」
琴葉のアウラ、鬼神酒呑童子。
厄災級10位である彼女は鬼を束ねる長であり、高い戦闘力を持つ。物理攻撃もそうだが、鬼として個の力が強すぎるため、敵になると非常に厄介である。
酒呑童子は戦闘になるとたかが外れ、周囲のものを全て破壊しようとするので色んな意味で戦わせたくないアウラだ。
具現化すると常に誰かのおっぱいを揉んでるか酒を飲んでるかなので良く琴葉に怒られている。
ちなみに俺と一番気が合うのは酒呑童子である。
「ひっさしぶりー! 人の姿で参上!」
朱音のアウラ、龍神バハムート。
厄災級7位の彼女は今の見た目は150センチほどの小さな女の子だが、竜の姿になると100メートルは軽く超える大きさのドラゴンになる。
性格は破天荒であり、よく酒呑童子と暴れ回っている。
ちなみに人間の姿での名前はカレンというらしく、この姿の時にバハムート呼びをすると拗ねる。
「久しぶりだね。お、勢揃いじゃないか」
最後に宗一郎のアウラ、英霊アーサー。
厄災級2位と化け物な上に宗一郎はアーサーだけでなく他にも円卓の騎士たち全員と契約しているためすごいとしか言いようがない。
素の状態で戦うとミカエルが負けることになるけど、多分本気を出せばミカエルが勝つと思う。
これは身内贔屓じゃないからね!
ミカエルもリオンも覚醒すれば余裕でティアたちと同じerrorになるはずなのだが、各々が何か思うところがあるのか今の順位にとどまっているようだった。
言わずもがなティア、ロキ、アーニャの三人はこれよりも遥かに強い世界の理なので比べるだけ無駄だ。
でも、こう見ると、宗一郎たち全員が厄災級300位の中の上位10%以内に入っているのだからこの集団は異常としか言いようがない。
ちなみに俺は代表してミカエルに来てもらった。
ティアたちを呼んだら他のアウラが好戦的になるのが目に見えているし、透の心象的にも一番会っているミカエルの方が良さそうだ。。
まぁミカエル相手でも突っかかってくるやつ多いけど、一番マシなはずだ。
ということで、一通りアウラの自己紹介を終えると、透はずっと顔を引き攣らせていた。
「も、物語に出てくる人たちばっかりだ……」
「それをいうなら閻魔もだけどね〜。彼、元気にしてる?」
「多分。私もあまり閻魔のことを知らないから詳しくわからないんだよね」
「んーなんだったら今呼んでみたら? 最悪私たちがいるから何とかなると思うけど」
「名案じゃな。何かあったらミカエルと蒼に任せておけばなんとかなる。妾とバハ……カレンも見ておる故問題ないはずじゃ」
「じゃあ俺たちはパートナー同士で調整しようか。蒼、あとは任せるよ」
「なんでお前らまで他力本願なんだよ」
アーサーたちとも出会って長いので、別にいいんだけどね。
どうせならカレンたちも一緒に調子してきてくれていいんだけど、彼女たちは好奇心の方が勝ったらしく透のアウラ召喚を見守るつもりらしい。
今日は透のアウラ召喚はするつもりはなかったけど、まぁちょうどいいといえばちょうどいいのかもしれない。
何かあっても、この7人がいれば殺すことなく押さえつけることもできるはずだ。
強いて言うなれば、その時に酒呑童子あたりが調子に乗って暴れ出さないかどうかが不安だけど、透とはまだ初対面なのでその心配もないと信じたい。
慣れている俺たちにはこんな態度だが、外面は酒呑童子も厄災級にふさわしいのでそのテンションであることを願うばかりだ。
「蒼、大丈夫?」
「透さえ良ければ俺は止めないよ。どうせいつかは乗り越えないといけない壁だし。今なら何かあっても簡単に対処できるはずだよ」
「わかった。なら、召喚するね」
透は覚悟を決めた顔をして、一度目を瞑って深呼吸をした。
いよいよ閻魔と対面することになるのだろう。
鬼が出るか蛇が出るか……簡単にいうことを聞いてくれると助かるんだけどなぁ……
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