第2話「絶体絶命…」

私は走っていた…


手には手錠がついたままだ


大丈夫かな…?


警官のスキを見て逃げた


公務執行妨害…? 逃亡罪…?


何でこうなったんだ…


そうだ、アイツだ!


本当の犯人?


アイツを捕まえないと…


どこへ行った…?


なんか見られてる…


キャーッ!


手錠か… 手錠を見られたんだ


ちっ、違うんです! これには訳が…


女の人が逃げて行った


だめだ…これは


サイレンの音がする


通報された…?


とにかく逃げよう


あっ! 警官が追ってきた!


私は一軒家の庭に逃げ込んだ


植え込みに隠れてやり過ごす


「どこだっ? どこへ逃げたっ?」


警官の声…


警官達が遠ざかって行った


ほっ…とした私の背後から…


「ワンッ ワンッ ワンッ!」


な、なんだ? 犬?


違う…? 私を見て吠えているんじゃない…


この家の犬か…?


「だ、誰かいるのっ?」


浴室らしき窓を覗き込んでいる男がいた


「キャーッ! 痴漢よーっ!」


浴室からは女の叫び声


覗き男は急いで逃げ出した


玄関からバットを持った主人らしき男が出てきた


「お前か…? 痴漢は?」


バットは私に向けられている


「いや、違います… 私では…」


聞いちゃくれない


バットが振りかぶられた…


「ワンッ! ワンッ! ワンッ!」


後ろからは犬が…


絶体絶命…


「ち、違う…私じゃない…」

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