彼氏
イライラを保ちつつ登校時間となる。このままではいけないと私は登校中になんとかイライラを心の内に隠す努力をした。教室につく頃には表面上は穏やかないつもの私を演じる事が出来ていた。
その後何気ない一日の学校生活が終わろうとしていた。私は下校の準備をして廊下に出る。
すると彼氏と知らない女子生徒が階段へと並んで歩いているのを発見した。私は朝の一件でのイライラが蘇ってくるのを感じる。
私の彼氏は俗にいうイケメンで女子生徒からの人気もそれなりにある。私は女子生徒からの人気はさほど気にしていなかったが、彼からの猛アプローチもあり交際が始まった。私の方は彼に対してのハードルが低かった事もあり、交際を続けていくうちに徐々に好きな気持ちが大きくなっていった。
そうなると彼氏が女子生徒から人気がある事が気になりだした。彼に近づく女子生徒は多く、彼は良くも悪くもあまり物事を深く考えるタイプではないので自然と仲良くしてしまうのだ。本人としては何も意識せず、普通に接しているのだろうが相手にしてみればときめきを感じてしまうし、私としてはやきもきしてしまう。
そういった面があるので私の蘇ってきたイライラはどんどん増幅されてピークに達する。二人を駆け足で追いかけ、彼氏の制服を掴み強くひっぱり二人だけの空間へと誘導した。
私は朝のイライラをも一緒にぶつけるかの様に文句を言った。彼氏は突然の事だったし、怒っている内容も理解できていないようでオロオロした表情をしていた。しかし、次第に言われのない怒号から次第にイラつきを表情に現してくるようになった。それが私の火に油を注いだ。
私は彼氏を平手打ちしその場から駆け出した。彼氏は追ってこない。気持ちのどこかで理不尽なのかなと感じる気持ちはあったが気にせず駆け抜ける。
校舎裏の開けた場所について私は肩で息をしながら呼吸を整える。次の瞬間、体の奥底から振り絞るように声をあげる。
「バカヤロー!!」
すると雲一つない空から一筋の光が現れ、その感情を吸い取ったかのように感じた。心なしか気持ちが軽くなっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます