第13話
なおちゃんたちは、驚きました。
一体どうすればいいんですか?
おばけの王様に会って、正気に戻すしかないね。
じゃあ早く行こうよ。
ヨシオ君が言いました。
ここにいたって、事態は悪くなる一方なんじゃないのかな?
おばあさんは言いにくそうにしながら、
そうは言ってもねえ。お城の周りには嵐が吹き荒れているし、何でも吸いこもうとする渦巻きも、あちこちにあるんだよ。
ふつうの人間では、いやおばけでも、城に行くのは難しいのさ。
可能性があるとしたら、おばけの王様が生み出した。おばけのたまごくらいだね。
なおちゃんは驚きました。
だって10年待ち続けてやっと会えたんです。もし失敗したら、ヨシオ君にもう二度と会えなくなってしまうのです。
なおちゃんは泣き叫びました。
いや!そんなの絶対にいや!もう離れ離れになんかなりたくない!
ヨシオ君が行くというのなら、私もついて行く。
おばあさんが諭すように言いました。
そんなことを言ったって、もし境界が破裂したら、みんな死んじまうんだよ。
私はヨシオ君がいない世界になんか、住みたくない!
なおちゃんは、おばけのたまごを抱きしめました。
おばあさんは、ため息をつきました。
やれやれ、これでおばけのたまごの呪いがもう一つ解けてしまった。
お嬢ちゃんは、おばけのたまごの中に入る覚悟はあるかい?
なおちゃんは、驚きました。
え、だっておばけのたまごの中には、一人しか入れないんじゃないの?
お嬢ちゃんが、命がけでヨシオ君といっしょにいたいなんて言うから、呪いが一つ解けて、たまごの中にもう一人入れることになったんだよ。
え、それじゃあいっしょに行けるの?
あのねえ。たまごの中にもう一人入れるとは言っても、不自然なことに変わりはないんだよ。
とても危ないことなんだからね。
無邪気に喜ぶなおちゃんを見ながら、おばあさんは釘を刺すのでした。
本当に覚悟はできたのかい?たまごの中から、出られなくなるかもしれないよ?
なおちゃんは花のような笑顔を浮かべて、うなずきました。
だって、ヨシオ君といっしょだもん。それだけで十分です。
おばあさんは、あきらめたように笑いながら言いました。
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