第48話 どこ行く?

 本日、異世界16日目!


 今日はどこで狩りをするかを、近隣地図を眺めながら、みんなで話ししている。


 ここエンジェル領イガタウンは、広大なエンジェル平野のほぼ中心に位置しており、近くに川が流れてる以外は、見渡せる限りの平地だ。

 モンスターの拠点もかなり離れているため、比較的、平和な街である。

 逆を言えば、狩りには不向きな土地柄で、ここの冒険者ギルドの支部に、上位ランクが存在しない所以である。


 東には、手前にスライムが生息する森があり、その先には、ウサール王国の王都があるらしい。

 森の中には一本の道があり、商人たちは護衛を雇ってここを抜けてくる。

 もちろん、安全な道ではないが、比較的モンスターの強さは高くない。


 北には、ゴブリンが生息する広大な森があり、さらに北にある山を抜けると、カナール皇国の国境がある。

 山の麓には、ゴブリンの一大勢力が集落を作っているため、ここを抜けるのは容易ではない。

 山の反対側にも幾つかの勢力が存在する。

 むしろ、そちらの方が強力である。

 普通は人間がここを通って越境しようとは考えない。

 なので、今回のエマの逃走は皇国側の盲点となり、追っ手が来ていない。

 ただし、生き残れるかどうかはもはや運次第で、上位ゴブリンの集団、特にゴブリンキングとの遭遇回避次第である。


 南に行くと、だいぶ距離はあるが、砂漠地帯が広がる。

 距離があるため、この街から狩りに行こうという冒険者はいない。

 その向こうには、メヒカール帝国の国境があるが、ここも通常ルートではない。


 問題の西側には海が広がっている。

 実は、エンジェル領は、だいぶ距離は離れているが、海沿いに位置している。

 海には、ごく稀に伝説級の怪物が現れるらしく、非常に危険であり近づくことを禁止しているらしい。

 ちなみに、その海の先に伝説の大陸が存在すると噂されているが、誰も近づけないので真偽は分かっていない。



「それで、どうしよっか?

 北の森と西の海沿いには行けないから2択になるんだけど、南の砂漠はなんか行きたくないし、東の森がいいかな?」


「それでいいんじゃないですかね!」

「それでいいよ!」

「はい!森に入ったら、スライム以外もいると思いますよ!私が探すから大丈夫♡」

「私はお頭の言う通りに☆」

「うちもなんでもええわ。好きにせぇ!」


「ほんじゃ、決まり!

 東の森でちょっと奥に入るってことで。」


「「「「承知!!♡☆」」」」



 朝ごはんを食べに行くと、やっぱりいた!


「ザークさん!ミーザさん!

 おはようございます!」


「おー!今日もスッキリした顔してるな!わはは!」

「ザーク!朝から下品だぞ!

 みんな、おはよう!

 準備するから、座ってて!」


 ザークさんに東の森で狩りをすることを伝えて、今日は城に行く時間に帰ってこいと念押しされて出発した。


 カグヤ様号で東の森に到着!やっぱり速い!


「それじゃ、この辺はスライムだからエマが

メインで狩って行こっか?

 エマ!たぶん瞬殺だと思うけど、日本刀での戦闘に慣れてね!」


「はい!お頭〜☆がんばります!」


 歌姫なのに武器が日本刀って、うちの軍団って全員が前衛やな。徹底してるw

 まあ、その方がみんな強くなっていいんだけどね。

 午前中はスライム狩りをして、午後から森に入る予定。

 モニカのナビゲーションのおかげで、狩りの効率がめちゃくちゃ上がる。


 レディ・ナビゲーション♪ヨ・フレッシュ♪


「お頭〜♡なに歌ってるんですか?」

「すいません、特に意味はないです!」


 ただ、レベルはなかなか上がらないなぁ!


 森に入っていくと、ブルースライム、グリーンスライム、レッドスライムが混ざってきた。

 強さで言うとレッド、グリーン、ブルーの順で強い。

 グリーンに関しては、モニカとエマはまだ瞬殺というわけにはいかず、何発か入れないと倒せない。

 ただ、スピードが違うので大丈夫そうだ。

 レッドに関しては結構俊敏なので、僕とハガネ、コガネ、カグヤ様が対応している。


 今日の狩りで、モニカがレベル2に上がった!


「やった〜♡お頭〜♡上がりました!」


「モニカ!グッジョブ!

 ナビゲーションもしてもらってるし大活躍やな!」


「へへへ、お頭〜♡

 でも、これだけ尋常じゃないスピードで狩ってるのに、やっとレベル2ですよ!

 そりゃ、普通に人はほとんどレベル上がらないですよね?

 もう黒の軍団は最高です♡」


 ◇本日の成果(収納品)

 スライム魔心(黒9)30個

 スライム魔心(黒10)270個


 レッドスライムとグリーンスライムの一部の魔心が黒9になってる。


「それじゃ、今日はお城に誘われてるんで、そろそろ帰りましょう!」


「「「「承知!!♡☆」」」」


 カグヤ様号は、乗り心地抜群。

 乗り物というより肌の感触に近い。

 鳥じゃなかったら相当エロい格好になってるんやろな。


 街に戻ってきた。お城に行くのは2回目。

 キースさん久しぶりやな!


 お宿に戻らず、直接お城に向かう。


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