04
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「……は?願いごと?」
彫りが深くいかにも『外人』という整った顔から、溶けるような低音で流暢な日本語がこぼれる。ディートリヒ……双子のギュンター兄だ。純粋なドイツ生まれだと言うが、軍人らしい無骨さと機械じみた無表情が混在している。
「なに、今更……お前知らなかったワケ?まあ、どうでもいいし、気にした事ないけど」
兄より少しだけ高めの声で、どこか攻撃的な口調の男はエルンスト。ギュンター弟で、明らかに増田・関の二人組を嫌っていた。
「そもそも、戦績なんて気にして数えてる奴いるのか」
「いや、普通数えるだろっ。他にここで気にする事あんのかよ!」
「「今日を生き抜くこと」」
双子特有のハモリで断言された。まあ、それはな、という微妙な空気が流れる。当の双子は何一つ気にしていない様子で撤収作業を始めているが。
「そんで、二人の願い事だけどさ」
めげずに話しかける増田に、ギュンター兄が綺麗な顔で凄む。
「……そもそも俺の弟に馴れ馴れしくするな。汚れる」
「えっ、俺そんなに汚れた存在だと思われてたの……じゃあ、ディーに聞くけどさ」
それでもめげない勇者増田の前に、ギュンター弟が立ちはだかる。
「兄さんに話しかけないで。減る」
「何が?何が減るのっ?」
叫ぶ増田の声も虚しく、双子はさっさと屋外練習場から撤退してしまう。それでも増田はへこたれない。
「それじゃあニュービー共!これで終わりだけど、なんか質問ある?」
「えっ、まさか、これだけっすか?その、メンバーは」
戸惑う新兵・塚本にニコニコしながら増田が頷く。
「そうだぞー?俺達、班長組、双子、んで赤鬼青鬼……で、お前らだな。やっと二ケタ!」
増田はおびただしい戦績を叩き出している服部班の実情に目眩を覚えた。
「んじゃ、模擬戦には遅れねえようになーって、二人にも聞いとかないと!二人の願いってなに?」
ニュービー二人は顔を見合わせて、同時に口を開いた。
「「蒼崎さん/紅蓮さんみたいになりたいっす!」」
「そーいうのは、お星様に願っとけっ!」
*
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