第54話 浮遊精霊ディーネ2
キャロはディーネとルピナスと一緒に遊びだした。キャロはその子供らしい無邪気さ故か、獣人族の特性なのわからないが、精霊に好かれるようだった。
ディーネの能力で分かったのは、攻撃魔法のスプラッシュアローを使えるという事だけだった。
「ルナから受け継いだんじゃないかと思うんだけど、それなら水の癒しも使えそうなんだけど、能力的な問題? それなら成長すれば使えるようになるかな……魔素をそのまま引き継いだ事が影響してなきゃいいんだけどね」
ここで考えていても結論は出そうにないので、先送りする事になった。
ルナは薬草粉末を作る作業に戻り、僕とシルフィーの会話に耳を傾けながら作業を続けるつもりらしい。
僕はというと、前から気になっていた事についてシルフィーに聞いてみる事にしたのだ。
「シルフィーってガザフや人間の暮らしについて詳しいし、色々な知識もあるよね。でも不思議なんだけど、エルフィーデ女王国の事を見て来たように詳しいのはどうしてなの?」
エルフィーデ女王国の噂をガザフで聞きつけたのかとも考えたけど、四大精霊のシルフの話しの内容等は、その場で聞いていた様に思えたのだ。
(遺跡研究所の精霊樹の役割の発表ってルナも知ってるくらいだから、ある程度の教養のある人達は知ってる事みたいだ。もしかして真実を知っているかも知れないガザフ辺境伯の屋敷に忍び込んで……)
僕が一人ちょっと怖くなるような想像を巡らしていると……
「精霊樹を通してエルフィーデ女王国の様子を知る事が出来るのよ」あっさりと答えが分かった。
「私の精霊樹は世界樹の枝木から植樹された精霊樹の枝が偶然ここに根付いたものなの、まあ人間で云うところの孫世代という感じかしら」
(思っていたよりもシルフィーは凄い精霊なのかもしれない)
「だから世界樹との繋がりを使って、エルフィーデ女王国の様子を時々、見に行ったりしていたの」
僕はエルフィーデ女王国の事を想像してみたが、ガザフと村しか知らない僕には想像すらつかなかった。
「それで同じ孫世代から生まれた精霊から色々と聞かされたりするんだけど……最近ちょっと気になる話題があってね」
そう言うとシルフィーは少し考え込んでいたが、やがて話し始めた。
「エルフィーデ女王国内で、現状のダンジョンの攻略階層更新の停滞を問題視しているようなの」
僕はなるほどと頷いていた。ダンジョンに潜り始めた僕にとって階層更新はまだまだ、世間話の域を越えない話題だったからだ。
「エルフィーデ女王国はダンジョンで発見される遺跡からの発掘品をもっと欲しがっているの?」
新たなダンジョン階層を調査しなければ当然の事ながら、新たな遺跡も発見できない。
ダンジョンからの利権を放棄する事で、発見された遺跡の技術や発掘品の所有権を主張するエルフィーデ女王国としては、新たな階層の攻略は重要案件だろうと思われた。
「確かに遺跡からもたらされる発見はエルフィーデ女王国の発展に寄与してるのは確かに事実よ。でも最も重要視しているのは、ダンジョンの役割についてなの」
僕はまた壮大な話になってきたなと思ったが、ダンジョンが不思議で奇妙な物だと感じていたので、この話題はとても気になったのだった。
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