第46話
「ねぇリーダー。私のことは見捨てて。もう、多分無理・・・」
クリスタル状のなにかに入ってるカリナがマサトに言う
「無茶言うなっ! 託されたんだ! 絶対見捨てねぇ!」
研究室のような部屋の中、マサトは叫びながら、何が何だかわからない機械をあらかた壊していく
「クソッ、全部壊したのにまだ開かねぇのか!?」
マサトは機械を破壊することを諦めてクリスタルを壊そうと何度も打撃や射撃を入れる
「お願・・・い、よ。お願いだから、もう・・・やめて」
マサトは何度も何度もクリスタルを攻撃する
「リーダー!」
その大きな声でようやく正気に戻り、声の方向に目を向けると所々ポリゴンとなって消え去っているボロボロのカリナだった
「私はもう無理みたい」
「そんなこと! ・・・言うなよ。いつものくだらない冗談だろ?」
「リーダー。リーダーもわかるでしょ?」
マサトは涙を流しながらクリスタルに頭を擦りつける
すると、少し高い位置にいるカリナは座り込んでマサトの額をクリスタル越しに合わせる
「リーダー。」
「なんだ?」
「落ち着いた?」
「五月蝿ぇよ」
マサトは、大量の涙を地面に落とす
「私ね。リーダーには本当に感謝してるんだ。捨てられてた私を拾ってくれて。毎日楽しい日々を過ごせて。本当ならもっと早く道端で一人寂しく死んでたはずだった。それなのに、幸せを教えてくれた。遊びを教えてくれた。友情を教えてくれた。恋も教えてくれた」
カリナはマサトに手を伸ばそうとするがクリスタルが邪魔をして、むっと不満そうに顔を顰める
「リーダー。最期にお願いがあるの」
カリナはクリスタル越しに手を合わせる
「笑って?」
マサトは、カリナを驚いた顔で見つめてから、無理矢理、笑顔を作る
「ふふ。ひどい顔。」
崩れていくカリナはとても綺麗な笑顔で満足そうに口を開く
「私は貴方の、皆んなの笑顔が好き。あの時、私に笑えって言ってくれてありがとう。」
そう言った瞬間カリナはクリスタルの中で消え去った
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