第44話

体の汚れを落としてから、温泉に入るとゲートを見つけた


「お前も風呂か?」

「おう!!フライはどうした?!!」

「エ○本探し」


マジであいつ懲りないよな

マサトの身体に温泉の熱が染み渡る


「いいお湯だな!!」

「ああ」


ゲートのマッチョ姿を見ると自分が恥ずかしくなってくるので目を逸らす


「鍛えすぎだろ・・・」

「毎日、シズカスペシャルを1000回やってるからな!!」


シズカスペシャル

名前を聞くだけで身震いしてしまう


あんなのを1000回


「あんまり、頑張り過ぎんなよ。回復薬で金欠にもなるだろうし。休みも必要だからな」

「ああ!!だが、みんなの盾になれることが嬉しいんだ!!俺は辞めねぇ!!」


マサトは、微笑みつつどこか哀しげな表情でゲートを見る

そして目を逸らし目をタオルで隠して岩に寄りかかる


熱が身体に伝わる感覚が強くなり、マサトは口を開く


「なぁ、ゲート。お前は何でそんなに優しいんだ?」


マサトは興味本位でゲートに聞いた


「やさしいつもりはないぞ?!!」

「・・・俺達はお前の仲間を一度殺している。罪滅ぼしのつもりなら逆効果だぞ?」


ゲートがどういう表情をしているのかはタオルでわからなかったが、いつもの大きく張った楽しそうな声ではなかった


「そうだな。リーダーに惹かれたというのもあるが、俺の初めて護りたいと思ったのが『笑うピエロ』だったんだ」

「ハハ。理由になってねぇよ」

「そうだな!!ガハハハッ」


ゲートは自己犠牲精神がとても強い

この言葉はおそらく本心だろう


他人を助けるために自分を簡単に捨てる

そんな本物のヒーロー


それがゲートだ

哀しいな・・・・


「他人を護りたい。か」

「他人じゃない!!俺たちは仲間だ!!」

「そうだな」


本物のヒーローの末路は悲惨なものだ


他者のために生きる

とても素晴らしいようにも聞こえはするが


実際はそんなのクソだ


他人に利用されて使い潰される

現に俺がやっていることのように・・・


マサトは大きく溜息をつき、誤魔化すようにタオルを取る


「お前にはぬるま湯にもっと使って欲しいよ」

「ん?!!このお湯も結構ぬるいぞ?!!」


罪悪感を塗りつぶすようにどっぷりと熱すぎるお湯に身を寄せた

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