第28話
ケンタロウは、たまたま検査場の近くを通り、応援要請をもらった
『メイド服のウイルス持ち女が検査場で暴れるている』とその特徴だけでシズカ以外いないと踏んだケンタロウは上に『行こう。応援はいらない。知り合いだから、1人で大丈夫だ。刺激して余計暴れる可能性があるからな』と報告して検査場に向かった
そこにはケンタロウの信頼もあり、シズカとケンタロウの2人だけだった
床には検査場の性欲に塗れた顔をした検査員が死体として転がっており、シズカを慰め物にしようとしたことを察する
「はぁ、仕方ない逃げるか」
「へ?」
シズカは、殺されることを覚悟していたため、気の抜けた声が出る
「逃げるしかないだろうこれは。俺の失敗ってことで逃してやるよ。」
「・・・・でも、ケンタロウ様は?」
一瞬の恐怖でぐらつくこの国の中で警察は大きな信頼を得ている。一部では、最後の砦と呼ばれるほどに。そのため、この国での警察の任務失敗による罰が非常に重いことをシズカは知っていた
良くて、死刑。悪ければ、家族皆殺し
ケンタロウは御三家のうちの一つの家ではあったが、支えていた使用人は皆殺しにされるだろう
国から唯一支援されている団体だけあって、給料がいい。
だから、こういう罰が平気で与えられる
「じゃあ、一緒に逃げようぜ?三人で、親友同士さ」
シズカは目を見開いて、ケンタロウを見るがシズカは首を目を覚ますように横に振った
「ダメです。私のために2人を危険に晒すなんて」
「俺は構わないぞ。お前のためになら」
シズカは、一粒涙をこぼす
「ありがとうございます。でも、ごめんなさい。私が坊っちゃまを危険に晒すなんて、絶対にできません。坊っちゃまが危険に晒されるぐらいならこの命は捨てます」
ケンタロウは振られ「そうか」と少し呟いた
ケンタロウは、シズカが強情なのを知っている
これ以上の説得は無意味と判断して口を開く
「猶予は1時間、別れを済まして来い。集合場所は【あの場所】だ」
「はい」
ケンタロウは振り返らず帽子を深く被り、立ち去る
シズカはその背中を潤った目で眺めて深々とお辞儀した
「今までお世話になりました」
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なんだこの夢
ケンタロウは、布団から身体を起こした
虎の絵が描かれた襖に、開ければ庭が見える障子
藁の香りがする畳
ザ・和風と言った屋敷であった
着替えようと思い、布団から出ようするが何が手に当たった
眠気を飛ばすと、側近のシノブが寝ていた
普段は、同じ布団で寝たりなどしない
側近とはいえ、ただのビジネスパートナーの上に男女の差があるからだ
ケンタロウは困惑しながらも、シノブに布団を被せてから、俺は襖を開けて洗面台に向かう
欠伸をしながら、鏡を見ると
そこには泣いている俺の顔があった
「は?」
ケンタロウは、再び困惑しながらも涙を拭き取る
(シズカに何かあったのか?)
ただの夢ではあるが、不安で仕方がなかった
「義賊との決戦があるからだな。俺、緊張してんだ」
ケンタロウは、自分を騙して夢の内容を忘れようとした
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