第11話

「おいおい、見ろよ。あの魔獣の群れ。完全にケンタロウに騙されたな!!」


窓が多いトラックの様なバスの様な半々の車にマサト達が乗る中、ツルピカの頭をした男がマサトに話しかけてくる


「ゲート。お前は何があっても暴れるだけなんだから関係ないだろ」

「それもそうだな!!」


赤髪を一つに纏めたスカイブルーの瞳を持つ女の子は、寝っ転がりながら二丁拳銃を振り回して遊んでいる


「危ないです。カリナ。」

「えー。だって暇なんだもん」


シズカがそれに対して注意すると赤髪の女の子はシズカの脚を枕にして答えた


「ははは、カリナ!!俺もやりてぇ、それ貸せ!!」

「俺もやるわ」


マサトとゲートがカリナに向かって身を乗り出す


「はい、リーダー」


マサトが片方の拳銃をカリナから受け取りクルクルと手で回したり空中に投げたりリフティングしてから手で掴み取り、引き金を引く


その瞬間、パンッという音が鳴り響き一番近くにいた魔獣の頭を撃ち抜く


「ひゅー」


仲間からの歓声を受け、手で答える


「ひゅーじゃないです。真面目にやってください」


そういうシズカの文句にマサトは笑顔で返し何も言い返さない

というより言い返せない


「なぁカリナ!!俺のは?」

「私とリーダーの二つしかないよ。残念だったね」

「そうか!!なら仕方ない」


ちょろいなと皆が思うが誰も口にしない


「みんなぁ〜。結構群れの中心にぃ〜近づいてきたよぉ〜」


垂れ目の薄いピンク色の髪の女の子が助手席から覗いてくる

しかしその目は、睡眠取りたいという大きく主張をしているようにぼやけている


「クーシャ?もう少し危機感持とうよ?」


そんなクーシャにカリナはピシッと指を指され注意される


「そんなのぉ〜。拳銃で遊んでた人に言われたくないなぁ〜」


確かにここにいる誰もが危機感を持っていない

しかし、マサトたちは決して油断はしていなかった


いつでも、抑撃の準備は誰もができている


運転席から男の声がする


「いつも通りでいいのか?リーダー」


冷静な言葉に対して裏腹に声が少し昂っていて楽しみにしているのがわかる


「ああ、大丈夫だムッツリフライ」

「ムッツリではない。」


マサトはフライと呼ばれる男の肩を叩く


「いつも通り。誰が一番多く狩れるかだ」

「うぉっしゃぁ!!言い訳は無しだからなカリナ!!」

「ちょっと待って、リーダー。今回は魔獣の質も考慮したやつにしよ。ね?」


そんな光景を見てシズカは溜息をつく


「なんだ!!シズカ!!やる気ないな!!」

「ちゃんとやってくださいね」


シズカはそう言ってスナイパーライフルを取り出して車から乗り出し、魔獣の頭を撃ち抜く


「シズカ〜。ずるいよぉ〜」

「関係ありません。競争ですから」


シズカはクールな顔をしてそう答える

マサトはそれにニヤリと笑い、車の窓から乗り出し愛銃を構えて連射する


すると、右翼の魔獣が次々に倒れていく


「あ!!ずりぃぞ!!マサト!!」

「お前らもやればいいだろ。今日の晩飯奢りたくなかったらなぁ?」


俺はゲート達にドヤ顔で見下した感じで言う


すると、シズカ以外の仲間からピシリと音がしそうな空気になった


「やってやる!!」

「お、俺も」

「フライは運転でしょ。しかもフライの獲物、飛び道具じゃないじゃん」

「斬撃くらい飛ばせる!」


ゲートに続いて身を乗り出そうとするフライが後ろ座席にいたカリナに体を引っ張られ席を固定させる


「お前、これ最下位が今日の晩飯おごりだっていうこと忘れてないか?離せ」

「私は金欠なの!」


カリナは左手でフライを抑えつつ、右手で魔獣を倒していく


「知らねぇよ。離せ。なっ!クーシャまで」

「命優先〜」


そう言いつつクーシャはフライを足で運転席に固定しつつ窓から身を乗り出し、レーザー銃を撃ちまくる


「クソどもがぁ」

「いいじゃない。フライの好きなハーレムよ?」

「お前らを女として見ているやつこのメンバーにいねぇよ」


フライは悪態をつきながら魔獣の猛攻の中を掻い潜る


「クソッ、リーダー。どこら辺で止める?」

「突っ切るぞ」

「クソォーーーーーー、もう運転なんて絶対しねぇ」


マサトはお前しか運転できないだろと苦笑する


「やばっ、弾切れた。リーダー、貸した方返して」


カリナは、フライを引っ張りつつ片手で外に拳銃を向けて撃ち放っていた


そして、それを見てマサトは奢りはフライ確定だなと思い再び苦笑しながら、拳銃を床を滑らせ渡す


カリナは、体を捻らせて滑ってきた拳銃を右手で上からタイミングよく抑える


「サンキュー」


カリナはそのまま拳銃を持ち変えて、窓の外に弾を打つ


「フライ確定だな!!俺はもう28体だ!!」

「24体ぃ〜」

「早くない?!私まだ18なんだけど」

「31体です」

「38だ」


その報告を聞く中、フライの運転が少し荒くなる


「ちょっ、フライ!」

「焦んなくていいぞ、今回の競争。お前抜きでいいから」


マサトがニヤリとしながらそういうと、運転の粗が無くなる


「本当か!ありがたい」


フライの感謝の言葉が通り過ぎたと同時に仲間からの不満が俺の耳にたどり着く


「えー、ちょっとリーダーつまんないじゃん」

「坊っちゃま、それは甘えです」

「黙れ黙れ、リーダーの言うことは絶対だ」


そう言いフライが上機嫌に運転を再開させる


「酔っちゃったぁ〜」

「じゃあ、クーシャも抜きで」

「やったぁ〜」


そう言いながら、レーザー銃を外に放っていく


「わ、私も弾切れちゃった」

「ほれ、弾なら持ってる」

「あーん。シズカぁー、リーダーが私に冷たいー」


カリナは、シズカに抱きつく

それを無視してシズカは集中するがボソリと「今回の奢りは大丈夫そうですね」と呟いたのをカリナが聞いて絶望の表情をしていた


「もう、やってやる!」


そう言ってマサトが渡した、弾を二丁の拳銃に詰めて窓から車の上に飛び乗る 


「落ちるなよー。奢り確定少女ー」

「うるさいフライ、あんたのせいだからね。」


そう言ってカリナは、フライの頭を叩く

フライは叩かれたことに納得できないらしくクラクションをバンバン鳴らしながら反論する


「俺関係なくない?!どちらかと言えばリーダーの」

「あっ、お前ら知ってるか?フライの昨日表紙隠しながら読んでた雑誌の内容なんだけどな、そのタイトルがひと」

「俺のせいです。はぁぁぁい」


マサトのせいにしてこようとするフライを圧力で屈しさせる


「うおおおお!!あっ!!カリナ!!!俺の取るな!!」


段々残っている魔獣の数が減ってきて取り合いになってきているようだ


「早い者勝ちでしょ!あっ、クーシャ、あなたもう競争から抜けてるんだから、少しは譲りなさいよ」

「全てはパーティのためぇ〜」

「ほら、もうあと1体だ。いただき」


そうやって争っている中、マサトは最後の一体の額を撃ち抜く


「あああーーーー」

「「「「「カリナーごちで〜す!!」」」」」

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