第五章 武官諸志
第二十五話 序・五
はじめは些細なことだった。「わたし」のいる場所からそっと離れる。ただそれだけで「それ」は均衡を失った。壊すのがこんなにも簡単で――愉しいことだと知っていたら「わたし」はもっと早くに実行していただろう。そのぐらい「わたし」の日々は退屈で陳腐で無為だった。
「それ」が少しずつ狂って歪んでいくのを「わたし」はただ見ているだけ。
最後の最後の瞬間に「わたし」すら失われるそのときまで、「わたし」は全てを放棄する。
ああ、そうだ。「わたし」はもう終わりたいのだ。そんなことも「彼女」に出会うまで「わたし」は知らなかった。
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