マッドサイエンティフィック戦いストーリー エピソード1
河口ダメ人間
第1話 茜さす空 少女は処刑を宣告される
いつかの未来。これまたどこぞなのか。決闘なのだろうか。剣を手にしたと無手の女が向かい合っていた。
100m程の間隔を持って。
男女の男の方が女に告げる。切っ先を女に向けて、
「貴様のような雑魚はこの場にいらない。この世から!いねぃ!!!」
青年。男の方は190センチ程度。
重厚さの原因。上着を脱ぎ捨て女に切りかかる。
前に左脚。
その踏み込みは常人の眼には捉えられない。
どころではない。
先程まで彼が纏っていた上着の重厚さなど比べるべくもない、地が揺れるような衝撃音。そんな音と付随する衝撃波。
一足で女にたどり着く。
右脚を前に入れ替えての
青年の台詞からの一連の動作の間、165センチ程度の腰までの黒髪ロング、
戦闘時、発射された銃弾を止まったように認識し、その体感時間と同調した運動能力、それに比例するかのような膂力を持つ人間達の話。
ある時代とは意味合いが異なる。とある単語。
工学的超人が戦うだけのストーリー。
***
工学的超人。通称、
銃弾等々の通常兵器群?まぁそういうのを、身体能力だけで
ま、そんな力を生まれながらに持ってるから、戦闘訓練と、当然、
危ないもんね。理性を身に付けなきゃね。
私たちは戦略兵器なんだとさ。
しゃらくさい。つまらん。
そんなんで、これは才人の教育機関での一幕。一試合?うん。まぁ。
***
ザ・オリュンポス。それが、この場所の名前。僕たちの学び舎。
今日も、今日とて、夕暮れの教室に残って本を読んでいたんだよ。
嘗ての芸術作品群の1つ、当時では一般文芸の1つ。それを現代語訳したやつ。こんなんが一般に普及していたと思うと、笑えてくる。
男と男の恋愛小説。なぁにが、面白いかわからんね。
まぁ、それでも強制で受けさせられる兵法の授業だったり戦闘訓練だったりよりは遥かに面白いものだと思う。僕たち才人と呼ばれるものの青春はそれだけつまらないものだ。
青春という概念すらこんな読み物に耽っている僕くらいしか知らないものでみんな授業と訓練と授業と訓練。あぁ、気持ち悪い。真面目かよ。
僕たちは強者なのだ。なんで自由に振る舞ってはいけないんだよ。
まぁ、僕にはその資格は無いのだけれど。
何故か。それは。
まぁいいや。
教室を後にして、茜さす並木道を進む。立ち止まって太陽の方を見て綺麗だなんて思っていたときだ。正面に正装の男が立っていた。
わざとらしい金髪でオールバック。長身のその男はそれなりに整った顔だとは思う。その服装もさることながら、何よりその眼が自信に溢れたものだった。
後ろには5人ほどの同じような格好をした男女。
風が頬を撫で、気がつけばその男は僕の右隣。そして気がつけば僕の背後に。また気がつけば右手を取られていた。
「この程度か」
明らかに見下した言葉。
「く、この!」
振り払おうとしてもびくともしない。
「痛い!痛い!」
声に出しているのに離さないなんてどうなんだよ!
「黙れ」
静かな命令。貞操だとか命だとかの危機を感じ取って僕は何も言えなくなる。
「明日の正午。アリーナに来い。貴様を処刑する」
な!睨みつけてやろうと振り向いた。そのときには後ろには誰も居なかった。当然、右手の拘束が解かれたことで転んでしまった。
顔から転んでしまった。
無様に顔を押さえて丸まってしまう。
「普通の挙動をしただけなのだが」
僕は弱い。その事実を叩きつけられる。僕じゃ弱い。
「あーぁ可哀想」
「どうせ明日には消える命だ」
「弱すぎる……」
他の白服たちが矢継ぎ早に言葉を投げる。
そちらに視線を向ければすぐ近くに誰かが立っている。恐らくさっき僕を拘束していたあいつ。
「今殺してしまえば?」
白服の1人があいつに提案する。
「駄目だ。」
それを口にするのはあいつ。庇ってくれているわけじゃないのはわかってる。その次に出てくる言葉もわかってる。
「こいつは見せしめだ」
ほらね。
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