第102話 意地悪な楓お姉ちゃん

 



 ◆かえで視点




「は〜い、エルちゃんさっぱりしまちたね〜♡ あ、動いたら駄目だよ? もう少しでドライヤー終わるからねぇ♪」

「かえでねーたん! はあくはあく! えいやみるの!」

「うふふ.......映画ね。エルちゃん、舞香さんが厳選した映画は少しばかりあれだけど.......良いのかな?」

「ふぇ?」

「くすくす.......楓さん、そんな脅す様な言い方したら駄目ですよ。エルちゃんが怖がっちゃいます」


 食べ放題から帰って来た私達は、3人で仲良くお風呂に入りました。湯船に浸かりながら、舞香さんと映画の話しをしているとエルちゃんが興味津々と言った感じに食い付いてきたのです。舞香さんが今日持って来てくれた映画をこの後見るのですが、少しばかりホラー要素が強い映画なので、もしかしたらエルちゃんには刺激が強いかもしれません。


「あぁ.......エルちゃん、動いたらチュッチュするよ? あともう少しで髪の毛乾くから大人しくしててね♡」

「んみゅ!」

「うんうん♪ エルちゃんは良い子出ちゅね〜♡ チュッ.......♡ あ、キスしちゃった♡ 右の頬っぺただけじゃ中途半端だから、左の頬っぺたと唇にもチュッ♡」

「―――――――――!?」

「あらあら、エルちゃん遠慮しないで良いんだよ?」


 はぅ.......♡ もっちもちでスベスベ肌が堪らん! ぺろぺろしたいくらいにエルちゃんの肌は白くて綺麗です♡ 赤ちゃん肌のような触り心地♡ ん〜♡ 頬っぺたすりすり〜♡ 


「楓先輩、お風呂に一緒に入ってから少し.......いいえ、かなり気になって居たのですが、楓先輩のお胸は一体何カップあるのです?」

「ん? 私の胸? ん〜どれくらいあるんだろうね〜♪」

「私が出会って来た中で、楓先輩より胸が大きい人を見た事が無いですよ」

「そう? まあ、お胸が大きい秘訣はエルちゃんにお胸を揉んでもらったり、チュッチュとエルちゃんが吸ってくれるお陰かしら♪ これぞエルちゃん効果よ♪」

「ええぇ.......まじですか」


 正直言うと大きくてもそんなに良い事はありません。ブラジャーも特注品になってしまうし肩も凝る。歩く際も視線を下へ向けると胸が邪魔で足元が見えなかったりとデメリットが多いです。一ノ瀬家の家系はみんな巨乳.......お母さんも私と同じくらいかそれ以上でしたからね。葵ちゃんもデカイし.......定期的に葵ちゃんのブラジャーもお姉ちゃんの責務として確認してるのですが、最近また一段上の大きなサイズを身に付けていますね。今度一緒にお風呂に入ったら、私が揉んで測定してあげましょう♪


「エルちゃんのお胸はまだまだ小さいでちゅね〜つんつん♡」

「みゃああぁ!?」

「蕾みたいなサイズ.......エルちゃんが大きくなったら、私達みたいに大きくなるのかな?」

「私よりは大きくなりそうですよね」

「どうかなぁ.......舞香さん、良かったら私がお胸マッサージしてあげよっか♡ 私のゴッドハンドで揉むとバストアップが望めるよ〜♪ ぐへへ♡」

「うっ.......遠慮しておきます。楓さんはテクニシャンなので.......またイッちゃう」


 うふふ.......冗談です。舞香さんも結構弄りがいがあって楽しいです♪ 舞香さんのバストは丁度良いくらいの大きさで揉みやすいですね♪ 私もまだまだ他の女の子達と一戦交えなければなりません。私の突き進む百合の道は、まだまだ先が長いのです!


「かえでねーたん、まいかしゃん! えいやみゆの!」

「はいはい♪」

「今行きますよ〜」


 私達は小さな天使ちゃんに急かされながらリビングへと向かいました。エルちゃんは元気一杯です♪





 ◆2時間後◆





「ふぅぇぇぇぇえええええんんんんん!!」

「もお♡ よちよち♡ エルちゃん、ゾンビさん怖かった?」

「やっぱりエルちゃんにはまだ早かったですね」


 私達が視聴した映画のタイトルの名は、【深淵の森】と呼ばれるゾンビがメインで沢山出て来る映画です。この映画は、ゾンビがリアルで内容もかなり大人向けなので怖いです。映画開始15分くらいまでは、私の膝の上でエルちゃんは目をキラキラと輝かせていたのですが、次第にその瞳から光が消えて行き、最後は号泣して私にベッタリとくっついて今に至ります♡ 私と舞香さんは、エルちゃんの怖がる様子を見て終始悶絶してましたね。ゾンビ映画の内容が全く入って来なかった程に.......


「そろそろ遅い時間だし、お姉ちゃんと舞香さんの3人でベッドでお寝んねしよっか♪」

「ぐすんっ.......こわいの.......おちょわれるの!」

「うふふ.......お姉ちゃん達が付いてるから怖くないでちゅよぉ♡ ほら、寝室に行きましょうね〜」


 エルちゃんは余程怖かったのか、私の身体に必死にしがみついてプルプルと小さな身体を震えさせています。目に涙を浮かべながら私に抱き着いて来るなんて.......お姉ちゃんがゾンビになってエルちゃんを襲っちゃおうかしら♪


「うにゅ.......」

「ん? お眠でちゅか?」


 お、これはあやしてあげれば、エルちゃん寝ちゃいそうですね。エルちゃんは私の腕の中に居る時は本当に無防備になります♪ 


「なでなでちて.......」

「あらまぁ♡ 良いでちゅよぉ♡ いくらでもしてあげる♡」


 しばらくソファの上でエルちゃんの頭を撫でて上げると次第にすぅ.......すぅ.......と穏やかな寝息が聞こえて来ました。


「エルちゃん寝ちゃいましたね」

「そうね.......あんなに泣いてたんだもの。疲れちゃったんじゃないかな? 良かったら舞香さんもエルちゃん抱いて見る?」

「良いのですか!? 是非抱かせて下さい! はわぁああ.......♡♡ エルちゃんめっちゃ軽い.......赤ちゃん見たいで可愛い♡」

「うふふ♪ そのまま寝室へ連れて行きましょうか♪」

「はい♪」





 ◆一ノ瀬家・寝室◆




 エルちゃんをベッドの真ん中に寝かせて、左右に私と舞香さんでダブルサンドイッチです♪ 


「むにゃむにゃ.......ううっ.......やっ」

「余程怖かったんだね」

「うふふ.......エルちゃん、楓先輩にべったりですね」

「甘えん坊さんで寂しがり屋さんだからね〜♪ エルちゃんは今でも深夜に一人でトイレに行けなくて、涙目になりながら、私か葵ちゃんのどちらかを起こして一緒に行ってるんだよ♡」

「ええ!? 想像するだけでやばいです! エルちゃん.......本当可愛いなぁ♡」


 エルちゃんの可愛さは異次元ですからね♪ エルちゃんと戯れてるだけで、ストレスや嫌な事も綺麗さっぱり無くなるし何より穏やかな気持ちになれます。


「やぁ.......こないで.......すぅ.......すぅ.......」

「うふふ.......夢の中でゾンビに追い掛けられてるのかな?」

「みたいだね。エルちゃんが安心出来るように抱きしめてあげましょう♪」


 舞香さんはエルちゃんにデレデレです。こんな姿の舞香さんを見るのは初めてですね。これは完全に堕ちたかもしれません。


「んにゅ.......」

「あらあら、起きしちゃったの?」

「かえでねーたん.......おちっこ」

「はいはい♪ 舞香さん、ちょっとエルちゃんをトイレに連れて行くね」

「はい♪ 行ってらっしゃい〜」


 寝ぼけてるエルちゃんを抱っこして、寝室を出て2階の奥にあるトイレへと向かいました。


「ううっ.......」

「暗い所怖い?」

「こわいの.......」


 あぁ.......思わず涎が出そうでした。レディとしてはしたない行為をする所だったよ.......エルちゃんのお耳がピクピクと動いており、不安げな表情で私の身体を強く抱きしめる姿がマジで堪らないです♡ しかし、ここまで怯えるのは少し予想外ですね。


「エルちゃん〜トイレ着いたよ♪」

「かえでねーたん、あいあと」

「はい♪ どう致しまして♪ じゃあ、お姉ちゃん先にベッドの所に戻ってるね♪」

「..............」

「ん? エルちゃん?」


 もう♡ 無言でこちらを見つめちゃって♡ 本当に分かりやすいなぁ♪ 優しいお姉ちゃんとして、ちゃんとトイレの外でエルちゃんを待っててあげよう♪


「分かったよ〜お姉ちゃんがここで待ってるからね♡」

「んみゅ.......」


 どうしよう.......何だか笑いが止まらないよぉ。このまま寝室へこっそりと戻ったら、エルちゃん怒るかな? それとも寂しくて泣いちゃうかな? もうこれはどうしようも無いです。私の中に巣食う意地悪な小悪魔さんが囁いています。あぁ.......私って、意外とSなのかもしれないわ。


「かえでねーたん、ちゃんといゆ?」

「ちゃんと居るよぉ♡」

「あとしゅこしなの.......もうしゅこし」

「心配しなくてもちゃんと居るから♪」


 もう無理.......エルちゃんはお姉ちゃんを殺す気かなぁ!? そんな風に言われたら、思わず意地悪したくなっちゃうよ♪ 可愛い過ぎると言うのも本当に困っちゃうわね♡ よし、物陰に隠れてみよ♪ 


「ふぅ.......んぅ? かえでねーたん?」


 お、出て来たね♪ エルちゃんはキョロキョロと辺りを見渡しています。私の事を探してますね♪


「ぐすんっ.......かえでねーたん、どこぉ?」


 くっ.......笑いを堪えるのに精一杯です! 少し罪悪感もありますが、眼福♡ エルちゃんの年相応な愛らしい姿を見れただけで、私の寿命が10年は伸びたかもしれません。お次は壁を少し叩いて見ましょうか♪


「トントン〜♪」

「ひゃああああああ.......!? な、なにぃ.......!? ボ、ボクとやりゅのか.......!?」

「ドンドンドンッ!」

「はっ.......!? ましゃか.......かえでねーたん、たべられちゃったの!?」


 ごめんねエルちゃん.......もうお姉ちゃん駄目かもしれない。腹筋が吊りそう.......声出して笑いたい気分だよ♪ まあ、これ以上やるのは流石に可哀想だね。


「カサカサ.......」

「ぎゃああああああああああああああああああああああ!? ご、ゴキブリ..............!?」

「んみゃああああああああああぁぁぁ..............!?」


 まさか、いきなりゴキブリが出て来るとは.......私が大声で驚いたせいで、エルちゃんは身体をぴくっとさせてからもう見事な大泣きです。


「ふぅぇぇえええええええええんんんんんんんん!!!」

「あ、エルちゃんごめん! お姉ちゃん悪気は.......少しあったけど、エルちゃんを決して苛めるつもりじゃなかったの♪ よしよし♡」


 私が大声を出したせいで、舞香さんが何事かと言ったような表情でトイレの方まで見に来てくれました。


「楓先輩! どうしたのです!?」

「あ、ちょっとゴキブリに驚いちゃっただけだよ.......私の悲鳴でエルちゃんが驚いて今に至ります.......」

「何だ.......そういう事ですか。びっくりして思わず飛び起きてしまいましたよ〜良かった」





 ・・・数分後・・・





「ぐすんっ.......かえでねーたんのいじわゆ! もう、ちらないもん!」

「ごめんね、エルちゃん♪ お姉ちゃんと仲直りしよ♪」

「ふんだっ! かえでねーたんきやい!」

「ええぇ〜お姉ちゃんの事嫌いとか言いながら、そのお姉ちゃんに抱き着いてるのは何処の甘えん坊さんかなぁ?」

「ううっ..............」


 はぅ.......♡ 拗ねたエルちゃんも堪らないわ! 口では私の事を嫌いとは言うけども、言葉と言動が矛盾してますね〜エルちゃんは、私の身体にビクビクと怯えながら必死な様子でしがみついています♡ これは精一杯、エルちゃんの事を愛でて上げないとお姉ちゃんとして失格ですね♪


「いじわゆはメッなの! ぐすんっ.......」

「うふふ.......お詫びにお姉ちゃんのバーゲンダッツあげるから機嫌治してよぉ〜ね?」

「ふぇ? バーゲンだっちゅ!?」

「うんうん♪ しかも、期間限定の餡蜜きな粉味だよ」

「かえでねーたん、だいしゅき!」


 うふふ.......♡ エルちゃんは相変わらずちょろいわね♪

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