第100話 二宮マッマの過去 【100話特別編・作者の実話も混じっています】

 

「そうね.......なら、たまには真面目な話しをしようかしら。私が子供だった頃のお話しとかはどう?」

「え? マッマは子供時代のお話し!? 聞きたい!」

「凄い食い付きっぷりだね〜良し! ならば話そうではありませんか♪」


 私は懐かしむように自分の過去に付いて語った。





 ◆二宮彩花にのみやあやかの過去





 あれは、まだ私が穢れを知らないJK(常識を知らない小僧)だった頃のお話しです。端的に言えば、純度100%のピュア度MAXの小学生から高校生の間のお話しかな。私は何処にでも居るような少し.......いいえ、勉強が苦手で頭の悪いごく普通の女の子でした。


「私の学生時代のお話しを少しだけしてあげよう♪ そうえば、葵ちゃんは私の本名知ってたけ?」

「うん、二宮彩花.......だったよね?」

「うん♪ 合ってるよぉ〜」


 今思えば私の家庭は少し特殊だったのかもしれない。実の父は若い頃にサーキットでレーサーをして居ましたが、足に大怪我を負って引退。母親はモデルにスカウトされるくらいに容姿端麗な女性です。生活は物凄く貧乏でしたが、心は凄く暖かく幸せな家庭でした♪




 《家庭が崩壊するまでは..............》






 ――――――――――――





 基本的には父親も母親も家には居ない.......学校から帰って来た私は、冷めたご飯に焼肉のタレを掛けて食べたり、TKG.......卵かけご飯やインスタントの塩ラーメンにだしの素を入れて食べたりしたな。塩ラーメンにだしの素を入れるとあの安くて美味しいスガ〇ヤのラーメンに少し似た味になって美味しいのだ。あ、ふりかけもかなり重宝してました♪


「あの頃は多額の借金があってね」

「ええ、マッマの学生時代、波乱万丈だったんだ.......」

「色々大変だったわね.......」


 この頃の私は知らなかったのです.......当時、父親が洋服店を4店舗経営しており、経営も順調かと思われたが大赤字となり店は閉店、多額の借金を背負う事になったのです。私が住んでた一軒家は、借金の返済の為に売却。それでも足りない分は、父は会社員として働き、母親はビデオ屋で長時間働いて借金の返済の足しにしていたのです。私が小学生3年生くらいの頃だったかな。


「ゲー〇ボーイでポ〇モン等が当時流行ってたわね.......まあ、当然買える余裕は無く、私は友達と外で遊ぶ事が多かったけど」

「あ、そうえばありましたね。私はゲー〇ボーイはギリ世代では無いですが」


 私は葵ちゃんに色々な話しをしました。自分の過去を語る事は今まで一度も無かったのだけど、葵ちゃんが真剣に聞いてくれるので、つい色々と調子乗って喋ってしまいました♪


「母親は一向に減らない借金を返す為に毎日働いてどんどんやつれて行って、父は自暴自棄になり逆に借金をどんどんするようになって、まさに泥沼.......」

「うわぁ.......」

「でも、私はまだ幸せな方だよ。学校にも通えてたし、白いご飯もちゃんと食べれたからね〜でも、水道が止まった時は近くの公園にバケツで水を何度も汲みに行ったわね。あれは結構応えたわ.......」

「公園に!?」

「うんうん♪ まあ、今となれば良い思い出だよね」


 そして、家庭内は段々と冷めきって行き、父と母の仲が悪化。自己破産した後に離婚.......私が中学一年生の頃に大晦日の夜に母親と一緒に深夜3時に家出をしたのです。この時は本当にどうなるのかと不安で堪らなかった.......でも、母親が前もって長い期間を掛けて少しずつ準備をしていたのだ。家賃もかなり安いボロアパートに引っ越して、私は地元を離れて学校も転校しました。私は父も母もどちらも大好きだったので、どちらについて行くか決断するのがかなり辛かったです。父に別れの手紙を書いて置き手紙をした際は、涙で視界が見えない程に泣いてしまいました。あれからかなりの年月が経過したとは言え、私の中では昨日のように鮮明に覚えております。


「それでね、私は母親に付いて行くと決断したの.......中学一年生の頃かな。友達に別れも告げずに.......」

「二宮マッマ.......」


 当時好きだった人が居ました.......思えば、これが私の初恋だったのかもしれません。付き合っては居なかったですが、いつも一緒に良く遊んでたな。2人で出掛けたり彼の家に遊びに行く事も沢山ありましたが、一線を超えるまでとは行きませんでした。彼は親身に相談に乗ってくれたり、私の傍に良く居てくれました。今は彼がどうしているのか分かりませんが、私が何も言わずに姿を消してしまった事が今でも後悔しています。あの時に一言でも言って置けば良かった.......もしかしたら、その人と付き合って行く末は結婚すると言う道もあったのかもしれませんね。


「マッマ、その後どうしたの?」

「新天地で母親と一緒に頑張ったよ♪ 生活は更に困窮を極めてたけどね♪」


 狭くてボロい部屋.......同じ布団でお母さんと身を寄せ会いながら一緒に寝たのは良い思い出です♪ 過去に公園のベンチでお母さんと寄り添いながら寝た事もありましたけど、屋根や壁があるとでは、やはり天と地の差です。あの頃住んだボロアパートはまさに住めば都。狭くてボロい部屋でも私は満足していました。


「二宮マッマの話しを聞くと私はかなり恵まれて居たのだと再認識しちゃうよ」

「葵ちゃん、確かにお金は生活する上で大切だけど、一番大事なのは考え方だよ。この世の中、お金で買えないものも沢山あるんだから」

「ふむふむ.......」


 まあ、私が言えた事ではありませんね。偉そうには言えません.......


「まあ、お金が全てじゃないとか言いながら、そのお金の為に当時の私は愚行に愚行を重ねて居たけどね」


 お母さんも私を1人で育てる為に相当無理してたのは事実.......お母さんは、いつもこう言っていました。「私はあんまりお腹が空いてないから、彩花が食べなさい」とね。お母さんだって人間です。食べないと生きて行けません.......でも、お母さんはそんな私の為にいつも自分の食べる分をくれたり、私をグレさせないように沢山の愛情を注いでくれました。


「素敵なお母様ですね」

「うん♪ 優しくて、強くて芯のある.......私の母親は凄い人だよ♪」


 そんな中、私も自分に何か出来る事は無いだろうか.......そう考える事が多くなりました。せめて家事のお手伝いをと思い不器用ながらに色々したものです。そんな時にお母さんの誕生日が近付いて来たのです。私はお母さんにプレゼントを買おうと馬鹿なり考えて、やがて1つの答えに辿り着きました。どうやったらこの歳でお金を稼げるか.......それは、身体を使う事でした。


「知らないお兄さんだったかな.......お小遣いをくれる代わりに私は女の武器を使ったの.......」

「え、マッマ.......それって.......」

「うん、あれだよ」


 最初は知らない男性に自分のスカートを捲って下着を見せたり、服を脱いで触られたり、舐められたりするのに嫌悪感がやはりありました。怖かったのも勿論あります。だって、異性経験に関しては皆無だったのですからね。ですが、それを一度我慢するだけで何と一万円が貰えたのです。私に取って当時衝撃的でした。一万円と言う金額を自分で持ったのは初めてだったのです。私は二度三度とハレンチな衣装を着せられてそう言う行為を行いました。


「でもね、貰ったお金でお母さんにプレゼントを買ったのだけど.......今まで生きて来た中で、かつてないほどに怒られたよ」

「そりゃそうでしょ.......」


 この馬鹿娘がっ!! 自分の身体をもっと大切にしなさい!と泣きながら頬を叩かれたのは、今にも後にもその時だけだったかもしれない。そして、お母さんは自分がまともに稼げ無いせいで、娘に苦労を掛けてしまっていると自分を責めて泣き崩れてしまったのです。私も号泣して、本当に愚かな事をしたと心底後悔をしました。


「この後も色々エピソードは沢山あるけど、もうすぐ現場に着いちゃうから話しは終わりぃ!」

「ええ〜もっと聞きたかったのに.......」

「うふふ.......♡ いつもの二宮マッマに戻りますよぉん〜♪」


 人には様々な人生があります。悩みも尽きる事は無いでしょう.......ですが、1つだけ言える事は.......生きてさえ居ればどうにでもなると言う事です。なので、どんなに苦しくても辛くても生きるのです。私の名前.......二宮まーやにした理由は、人生まあいいやの精神で頑張ろう。思い詰めると泥沼に嵌り、自分で自分を追い込んでしまうのは良くないとそう思いました。全ては考え方次第.......まあいいや.......まーや。それが二宮まーやと言う名前の由来です。


「さてと〜今日も沢山お喋りしちゃうぞ〜♪」

「マッマ、暴走はしないでよね。私も一応止めには入るけど」

「大丈夫! 私はいつも健全なトークを心掛けて居るから!」

「はぁ.......心配だ」


 今日のラジオ番組は葵ちゃんも居るのでテンションが爆上がりです!

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