第85話 葵お姉ちゃんに弄ばれるエルちゃん
◆
「戸締り良し♪ エルちゃん、お姉ちゃんとお出掛けしに行こっか♪」
「んみゅ! あおいねーたんとおててつなぐの!」
「うんうん♡」
今日は違う道を通ってお散歩しよう。エルちゃんに色々な物を見せたいからね♪ 今日はエルちゃんの為に社会勉強と言う名目でお出掛けをしよう!
「あおいねーたん! ボク、おしゃかなたべたいの! あまくておいちいやつ!」
「あらあら、たいやきの事かな? 良い子にしてたら買ってあげるよ♪」
「ボク、ふたちゅ食べゆ!」
はぅ.......♡ エルちゃんがぴょんぴょんしていて可愛い♡ まだ歩き始めて5分も経ってないのにもう悶え死にそうだよ.......でも、私はお姉ちゃんとは違って、お外ではイチャイチャしないよ。ちゃんとメリハリを.......と言いたい所ですが、もう無理かもしれない。
「やっぱ平日は人が少なくて良いね〜」
「あおいねーたんは、おちごとしないの?」
「うぐっ.......い、今はお休みしてるだけだよ♪」
私は決してニートでは無いからね!? でも、そろそろVTuberの活動を本格的に復帰しても良いかもしれないな。最近新しい子が出て来て居るし.......長年に渡って築き上げた西園寺モモネはまだまだ現役だ。若手に負けてはいれないね。
「しょうなんだ! ボクもおちごとちたい!」
「え? エルちゃんが?」
「んみゅ!」
もしかして、エルちゃんはお小遣いが欲しいのかな? まあ、エルちゃんの事だから欲しい物はおおよそ察しが付くけどね。
「ボクね! ゆめがありゅの!」
「おお! それは良い事だよ♪ どんな夢なの?」
「バーゲンだっちゅのあいしゅをね! まとめて3つたべゆことなの!」
「ぷっ.......」
エルちゃんごめんね.......思わず笑ってしまった。エルちゃんの夢が可愛すぎるよ.......この事をお姉ちゃんにもし言ったら、恐らくバーゲンダッツのお高いアイスを10万円分くらい纏め買いして来そうだな。この事は内緒にして置こうかしら.......エルちゃんの小さな夢を壊すのは可哀想だし。
「バーゲンだっちゅ.......じゅるり.......」
「あらあら、食いしん坊さんだね〜でも、確か将来の夢は冒険者? じゃなかったけ?」
「それもなの!」
冒険者かぁ.......確かにそんな職業があったら楽しそうだよね。未知を既知にする.......自由気ままに冒険するのは憧れるよね。
「はわわ.......!? あおいねーたんあぶないの!」
「え?」
ん? 何か危険な事があると言うの? 辺りを見渡しても何も無いよ? 上には飛行機が飛んでいるだけだし.......
「むむっ.......!? おーこくのひみちゅへいきか.......!?」
「え、秘密兵器? エルちゃん、あれは飛行機と言う乗り物だよ♪」
「んぅ? ひこーき?」
「くすくす.......うん、そんなに怯えなくても大丈夫だよ♪」
最近の子はすぐにテレビに影響されてしまうのかな? 王国の秘密兵器と言う単語を何処で覚えたのだろう? エルちゃんと一緒に居るだけで、私の腹筋が笑い過ぎて鍛えられてしまう.......エルちゃんって、純粋で天然だよね♡ 真に受けて勘違いする所が堪らなく愛おしいもん♡ お姉ちゃんが好きな子には意地悪をしたくなるものだと以前に言っていた事が、今ではよく分かるよ〜エルちゃんは罪な幼女だね♡
「ふぇ? ひこーき? んぅ.......?」
「うふふ.......そのうち理解出来る日が来ると思うよ♪」
「ぐぬぬ.......むずかちいの」
「ほら、エルちゃんあれ見て」
「なぁに?」
「がぉぉおおおおお!! お化けだぞ〜!!」
「ぴゃあっ.......!?」
本当にエルちゃんはからかいがいがあるね♡ リアクションが面白くて可愛くて.......やめられない♡ 純粋なエルちゃんを弄ぶのも少し罪悪感を感じるけど、それ以上にエルちゃんに意地悪したくなる欲望の方が勝っている。
「もう! いじわるはメッなの!」
「ごめんごめん〜エルちゃん、電柱の後ろに隠れて無いで出ておいで〜」
「もう、いじわるちない?」
「うんうん♡ 多分」
この何気無いひと時が至福の時なのです♪
「エルちゃん、早く行かないとたい焼きさん泳いで逃げちゃうよ? 良いの?」
「むむっ.......!? あおいねーたん! はやくいくの!」
「良しエルちゃん、抱っこしてあげるから、こちらにおいで♡」
「んみゅ!」
はい、可愛い天使ちゃんGET! エルちゃんは本当にちょろいなぁ.......たいやきが泳いで逃げる訳無いのにね♪
「エルちゃん捕まえた!」
「んぅ? たいやきにげちゃうの!」
「エルちゃん、ごめんね。たいやきは泳いで逃げないんだ♪」
「むぅ.......はめられたの!」
「あらあら〜頬っぺた膨らませて可愛いね♡ 頬っぺたつんつん〜」
茶番はこれくらいにして、まずはスーパーに行きましょうかね。エルちゃんを弄りすぎると拗ねちゃうと行けないからね〜確かスーパーの入口近くに屋台があった筈だ。たい焼き、みたらし団子、大判焼き、お好み焼き、たこ焼きとか色々売ってた気がする。エルちゃんが見たらきっと興奮して喜ぶに違い無い。
「エルちゃん、今からスーパーに行くよ〜」
「わ〜い! あおいねーたん、だいしゅき!」
「私も大好きだよ♡ でも、1つだけ約束してくれるかな? 私の言う事はちゃんと聞いて、おりこうさんにしないとスーパーに行かないよ?」
「んみゅ! だいじょぶなの!」
うん、少し怪しいけど手を繋いでおれば、きっと大丈夫でしょう。エルちゃんを初めてスーパーに連れて行った時は、それはもう大変だったからね。試食コーナーで沢山食べ回っていたり、パン屋さんでパンをそのまま食べてしまったり、女の子なのに男性トイレへと入ったり、気付けばお菓子コーナーの方で、カゴの中に大量のお菓子を入れて、レジでお会計するもお金が全然足りなくて泣いていたりと.......色々とあげるとキリがないね。
「んみゅ? あおいねーたん、あれなぁに?」
「あれは公園と言うお遊びが出来る場所だよ」
「こーえん.......」
「気になるの? 少し行ってみる?」
「んみゅ!」
エルちゃんを抱っこしたまま公園へと向かいました。そんなに大きな公園ではありませんが、鉄棒、滑り台、ブランコ、砂場と言った遊具は色々とありますね。
「エルちゃん、試しにブランコで遊んでみる?」
「あちょぶ!」
「よし、じゃあ私が後ろから押してあげよう♪」
通常サイズのブランコと隣にお子様向けの安全性を考慮したブランコがあるね。エルちゃんはまだ幼いから、遊ぶなら後者の安全性を重視したブランコかな。スイングシートと呼べば良いのかな? まあ、自分からは降りる事は出来ないかもしれないけど。
「エルちゃん、この遊具はブランコと言ってね。ブラブラして遊ぶんだよ♪ 私が後ろから優しく押してあげるから、試してみようか」
「ゆ、ゆれてるの!」
「この揺れを楽しむんだよ♪ それじゃ行くよ〜!」
ブランコを押してあげるとエルちゃんは、真顔でプルプルと身体を震えさせていました。もしかして、エルちゃん怖がってるのかな?
「エルちゃん大丈夫?」
「あおいねーたん、こわいの.......おしゃないで」
「ぐふふ.......♡」
あぁ.......私も本当に良くないよね。押すなと言われると押してしまうのが人間の性.......エルちゃん。悪いお姉ちゃんでごめんね♡
「えい!」
「ぴゃあっ.......!? おしゃないでって、いったのに!」
「え? 押して欲しいの?」
「きゃぁぁぁあああああああああ…!!!」
少し強めに押しただけだけど、エルちゃんはもう絶叫マシンに乗った時のように叫んでいます。
「あおいねーたん、きらいなの!」
「え、そうなの? あ、手が滑っちゃった♡」
「うぅ.......ぐすんっ.......」
「ごめんごめん、抱っこしてあげるからちょっと待っててね♡」
危うくエルちゃんが泣いてしまう所だった。私も流石にそこまで鬼じゃないですからね? ちゃんとこの後は私がお姉ちゃんとして、エルちゃんの事をケアしてあげるのです♪
「よしよし〜ほら、もう怖くないですよ〜」
「いじわる.......」
「あれれ? エルちゃん拗ねちゃったの?」
「すねてないもん! あおいねーたんなんて.......だいきらいなの!」
「ええ〜そうなの? でも本当は?」
「.....................しゅき」
はぁ.......危うく涎が出てきそうだったよ。やっぱり、私にも楓お姉ちゃんと同じ血が流れているんだなぁ。何か新たな扉が開かれた気分だよ。
この後葵お姉ちゃんは、エルちゃんをめちゃくちゃに愛でるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます