スマホやパソコンの画面の向こうにいるのは、学校の同級生達や先輩達や教師達や近所の人達と同じ、生身の人間だよ。君は、先輩や教師や近所の人達に失礼な物言いをするのか? 面と向かって大声で悪口を言うのか?

かつてインターネットをするには、<電話代>が必要でした。<パケット代>ではなく、電話代です。<ダイヤルアップ接続>という方式で<アクセスポイント>まで電話を掛けることでインターネットに接続していたのです。ですから、インターネットをし過ぎると電話代だけで大変なことになったりもしたのです。


そして、深夜、電話がかけ放題になる<テレホーダイ>というサービスが開始され、テレホーダイが適用される時間帯はインターネットに繋ぎ放題になりました。


その頃は確かに、『インターネット接続の設定ができる』こと自体がある種の<スキル>であり、ごく一部の人が利用できるものでした。ゆえに、


<選ばれし者>


という感覚は事実あった気はします。ですがそれは幻想でしかなかった。技術が発達し、携帯電話でさえインターネットができるようになるに至って、<選ばれし者>だけが利用できる特別なサービスではなくなっていったのです。


にも拘らず、利用する側にはその現実に則って自身の意識や認識をアップデートしていくことができなかった……


『ネットとリアルは違う』


という幻想を信じ、携帯電話やパソコンの画面の向こうにいるのが生身の人間であることを、新しくインターネットを始める周囲の方々に理解していただく努力を怠っていた。


それが現在の、


『ネット内なら何をしてもいい』


などという誤解を生んだのではないですか?


私は親として、私の子供達には、


「スマホやパソコンの画面の向こうにいるのは、学校の同級生達や先輩達や教師達や近所の人達と同じ、生身の人間だよ。君は、先輩や教師や近所の人達に失礼な物言いをするのか? 面と向かって大声で悪口を言うのか? 仮面を被り変声機を使って相手から自分であることを分からなくすればどんなに酷いことを言ってもいいと思うのか?」


という意図で諭してきました。


なぜそれができなかったのでしょう? とても残念です。


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