第20話 愛
歌の端々で囁くような愛という言葉を
この舌に乗せることがどうも苦手だ
私が愛した者は
猫、夜の海、5月の紫陽花、冬桜、それから3時半過ぎに見るあなたの寝顔。
口にすれば嘘になりそうで
愛していると未だに口に出来ない
何歳になれば恋は愛に変わるものか
古いものから青く染まっていく空の明け方
待ちぼうけしてもあなたが欲しい枕の涙
愛はどこにあるのか
胸の奥への道はどこにあるのか
愛はどこにあるのか
たぶん孤独の裏側にあるんだ
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