すずめ
あなたの命日が近づく夜に
しとしとと近づく月の夜に
わたしは好きじゃない人のため口紅を買う
限定のブリックレッドどうか気づいて
見てくれないわたしを見て
はみ出た口紅をうまく拭けないの
あなたの命日が近づく朝に
カラスがうるさい冷え込む朝に
わたしは好きな人のためミニスカートを穿く
ヒビの入ったスマホケースを握って
鳴らない着信音を待って待って
待ちくたびれて階段を降りる
あなたの命日が近づく夜に
とぼとぼと歩く帰り道の夜に
わたしはあなたのため影踏みをする
探せば水たまりの底まで落ちてしまう
その八重歯を妬んだわたしが泣いてしまって
すずめのように水浴びができたら
この影を見ないままでいられるのに
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